インタビュー
» 2012年08月02日 10時30分 公開

開発陣に聞く「らくらくスマートフォン F-12D」:集大成であり新しいスタート地点 “らくらく”13年目の超進化(後編) (1/2)

ドコモの「らくらくスマートフォン F-12D」は、13年続く「らくらくホン」シリーズで培った使いやすさと、スマートフォンならではの大画面や便利さを兼ね備えたシニア向けAndroid端末。新機軸のシニア向けスマホは、どのように作られたのだろうか。

[房野麻子,ITmedia]

 NTTドコモのらくらくホンシリーズで初めてAndroidを採用した富士通製の「らくらくスマートフォン F-12D」(以下、F-12D)。開発陣インタビューの後編では、F-12DがAndroidスマートフォンでありながらGoogleアカウントを使わない理由や、新たに用意された専用のパケット定額サービス「らくらくパケ・ホーダイ」について聞いた。

photo 左からドコモの細井氏、今田氏、大堀氏

Googleアカウントを“取らない”使い方

―― F-12DのOSはAndroid 4.0を採用していますが、最初から4.0でやろうということだったのでしょうか。また、4.0だからこそ、できたカスタマイズなのでしょうか。それとも、Android 2.3でもここまでできたのでしょうか。

今田氏 開発時からAndroid 4.0を選択しています。販売時期によって複数のモデルを共通化する部分もありますから、開発効率を考えながらOSを決定しました。

大堀氏 Android 2.3で同じようなことができるのかは、検証していないので分からないですね。

photo 「らくらくスマートフォン F-12D」

―― OSのバージョンアップは可能なんでしょうか?

今田氏 F-12DはOSのバージョンアップはしないと割りきって開発しています。これは、Googleアカウントがいらないスマホというコンセプトにも関係していて、(Googleアカウントが)無いとOSのアップデートはそもそも難しいからです。

 Googleアカウントを取らないので、基本的にはこの端末内で閉じた状態で使うことになります。新しいOSが出たからといって、何かしないと使えないとか、不便があるというものではありません。そういったモデルなので、バージョンアップをせずに使っていただく方向でやっています。

 端末ファームウェアの更新などは、必要に応じてドコモから提供します。

―― Googleアカウントは“取らなくても使える”ではなく“取らない”という考え方なんですね。

今田氏 “取らない”ですね。Googleアカウントを取る設定画面がありません。

―― 分かりやすさを重視して、という理由ですか。

大堀氏 そうですね。端末には電話番号とひも付いた暗証番号があり、弊社の場合はspモードパスワードやネットワーク暗証番号があります。そこへさらにGoogleアカウントのパスワードが必要――となると、らくらくホンユーザーにはハードルが高いかなと思いました。しかもGoogleのパスワードは英数字の組み合わせです。初期設定は誰かがやってくれるとしても、常にパスワードを覚えておくことは難しいと思います。

今田氏 Googleアカウントの必要性が、どこにあるのかということも考えました。Googleアカウントがないと何ができないのかを考えると、今回のターゲットであるユーザーには、なくても十分対応できるのではないかと考えたのが1つ。もう1つは料金の件になりますが、Googleアカウントを取らないからこそ、今回のような手軽な料金プランを検討でき、実際に導入できました。

photo

―― Google Playは使えませんが、ドコモのdメニューは利用できますね。iモードを使っていたユーザーだったら、そういった楽しみ方もできますね。

今田氏 それに近いことはできますが、それよりは内蔵アプリをちゃんと用意したことがポイントだと思っています。ニーズがありそうなものについてはすべてプリインストールするということで、ワンセグ、ラジオ、歩数計、落語が聞けるものなど、ひと通り内蔵し、買った段階ですぐに楽しんでいただけるようになっています。PCのエントリーモデルは色々とアプリケーションソフトが入っていて、改めてソフトを入れなくても十分楽しめますが、それに近いものを準備したつもりです。

 あと、シニアの方が見たい、使いたいとおっしゃるものに、天気、株価、乗り換え案内があるのですが、それらはこのdメニューの中に準備させていただいています。先日、株主総会のときにらくらくスマートフォンの展示説明員をしていたのですが、そこでシニアのみなさんに聞かれたのが「天気は見られるのか」「株価が見られるか」「乗り換え案内は使えるか」の3種類です。

 確かにスマートフォンの魅力には、アプリを自分で探してインストールし、カスタマイズしていく点がありますが、今回の端末はそれよりも、大画面でWebサイトを見たり、写真を拡大して見たりといったタッチ操作をしてみたいというニーズに応えた端末です。

 カスタマイズのニーズはそれほど高くはないと判断しましたがの、最初から必要なものをしっかり用意して端末を作り込めば、十分楽しんでいただけると思います。

―― 基本的にアプリは、dメニューからダウンロードするということですね。

今田氏 そうですね。弊社のサービスとして提供しているものだけをダウンロードできる仕組みを用意しています。

―― 設定するアカウントとしては、電話番号とspモードメールのアドレスだけということでしょうか。

今田氏 そうです。従来のフィーチャーフォンとほぼ同じですね。

―― dメニューにはコンテンツプロバイダ(CP)のコンテンツやサービスがありますが、それらはすべて利用できるのでしょうか。

今田氏 通常のスマートフォンのdメニューですと、CPさんのサイトからアプリをダウンロードしようとすると、結局Google Playに飛んでしまいます。通常のdメニューのCPさんのサイトはF-12Dでは表示されませんが、CPさんにご協力いただいて、専用dメニューの中にらくらくスマートフォン用にカスタマイズしたサイトを準備しています。先ほど紹介した、ニーズの高いサービスを提供されている一部のCPさんにご協力いただいています。

※初出時、「dマーケット」に対応している旨の記述がありましたが、正確には対応していません。お詫びして訂正いたします

―― フィーチャーフォンのらくらくホンですと「らくらくホンセンター」という専用の電話受付センターがあり、コンシェルジュ的なサービスを受けられますが、らくらくスマートフォンにも同様のサービスがあるのでしょうか。

今田氏 メニューにらくらくホンセンターの大きなボタンを配置しています。そこに電話をかけるとフィーチャーフォンのらくらくホンセンターと同じところにつながり、同じスタッフが対応します。さらに、有料で契約が必要ですが、「あんしん遠隔サポート」のメニューも用意しています。フィーチャーフォンでやっていたサポートは、スマートフォンでも継承しています。

 また、今までも電話教室を各地で開催してきましたが、今後はスマートフォン版の電話教室も展開します。せっかく購入していただいても「よく分からないから使わない」というのが一番もったいない話ですし、使って楽しんでいただきたいので、ドコモとしても最大限のサポートをしたいと思っています。

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