スペイン・バルセロナで開催された「Mobile World Congress 2013」(MWC)で、大きな注目を集めたのがMozillaだ。Firefoxブラウザで知られるMozillaは「Webがプラットフォームになる」というコンセプトで開発したモバイルOS「Firefox OS」を投入し、Android(Gogole)やiOS(Apple)に対抗する。
ただ、2013年には、Tizen Associationや「Ubutnu」のCanonicalもそれぞれモバイルへの進出を計画しており、競争の激化が予想される。こうした中、Firefox OSはどのような戦略で、モバイルOS市場の競争を勝ち抜こうとしているのか。
Firefoxエンジニアリング担当バイスプレジデントのジョナサン・ナイチンゲール(Jonathan Nightingale)氏に聞いた。
――(聞き手 : 末岡洋子) 2012年のMWCでFirefox OSを発表してから1年、ついに搭載端末の登場が発表されました。
ジョナサン・ナイチンゲール氏 2012年にFirefox OSのアイデアを発表しました。すでにTelefonica、Deutsche Telekom(T-Mobile)と協業していましたが、当時は発表にすぎませんでした。
今年は、この2社を含む23社との提携を発表しました。世界中の通信オペレーター、それに携帯電話メーカーも4社入っています。手に取ることができる製品(会期中、ZTEが初のFirefox OSスマホ「ZTE Open」を発表している)も披露しました。Telefonicaは今夏にも端末をリリースすると述べており、2014年には数社の通信オペレーターが市場でFirefox OSスマートフォンを展開することになりそうです。
―― ZTE Openはローエンドスマートフォンという位置づけですが、Firefoxブラウザのファンや開発者たちは、ハイエンドのスマートフォンを使いこなすユーザーです。ハイエンドのFirefox OSスマートフォンが登場する予定はありますか。また、タブレットへの対応はどのように考えていますか。
ナイチンゲール氏 Firefox OSはローエンドからハイエンドまでをカバーしています。Webがローエンドに制限されることはありません。パワフルなデバイスの上でFirefox OSを動かすと、すばらしい結果が出ています。
端末メーカーにはZTEやHuawei Technologiesといった(ローエンド端末の開発に強い)メーカーだけでなく、LGも参加しています。25日にはソニーモバイルもTelefonicaとの提携を発表しました。どのような端末を開発するかは発表していませんが、(LGらは)トップの端末を開発することができるメーカーです。
タブレットも同じで、メーカーから発表はされていませんが技術的な準備はできています。
―― LiMo Foundationなど、複数の通信オペレーターが参画するOS開発は、これまであまりうまくいっていません。複数メーカー、通信オペレーターが参画するFirefox OSは成功するのでしょうか。
ナイチンゲール氏 LiMoはコンソーシアムで、あらゆる決断を投票で決めるため、意志決定のプロセスが遅かったといえます。また、モバイル業界があまりにも速く動いていたということもあるでしょう。
一方、Firefox OSでは、各社の意見に耳を傾けてはいますが、提携メーカーに投票権はなく、われわれMozillaがプラットフォームの方向性を決定していきます。提携を通じてMozillaのエンジニアは、提携企業のニーズを汲み取っていきます。コラボレーションの例として、Telefonicaからニーズの高かったデータ通信コスト管理アプリを統合しました。他の通信オペレーターにもメリットがあると思ったからです。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.