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» 2013年03月18日 22時22分 UPDATE

ATTT/Mobile IT Asia:M2M普及のカギは「エコシステム」「技術の進化」「標準化の進展」――ドコモの高原氏

「M2Mは、300万、400万台という世界から、何千万、何億台という世界に飛躍的に伸びていく」――。ユビキタスサービス部長を務める高原氏が、M2Mの普及を後押しする要素について解説。3月にリリース予定の最新通信モジュールも紹介した。

[後藤祥子,ITmedia]
Photo NTTドコモ ユビキタスサービス部 部長の高原幸一氏

 「M2Mは、300万、400万台という世界から、何千万、何億台という世界に飛躍的に伸びていく。世界の通信オペレーターは、M2Mの成長を取り込んでいく必要がある」――。こう話すのはNTTドコモでユビキタスサービス部の部長を務める高原幸一氏だ。

 M2M(Machine to Machine)は、ネットワークに接続された機器同士が相互に情報をやりとりするという通信形式。これまで自動車の運行管理や遠隔検針、モバイル決済システム、オンライン検量システムなどでの利用が主流だったが、今後はさらなる利用の拡大が見込まれるという。

 M2Mの普及を加速させるために必要な要素は何なのか、なぜ今、世界の通信キャリアがM2Mに注目しているのか――。同氏が、第4回 国際自動車通信技術展/第2回 モバイルITアジアの講演で、M2Mのトレンドを技術面とビジネスモデルの両面から解説した。

M2Mの普及、エコシステムがカギに

 M2Mといえば、自動販売機内の商品がなくなったことを通知したり、エレベーターの故障を通知したり、自動車の運行管理をしたり――といった用途が主流で、NTTドコモのモジュールも、こうした分野で約300万台が稼働している。

 しかしこれからは、もっと身近な製品に通信機能が搭載されるようになってくると高原氏。すでに自動車、モバイルゲーム機などに3Gモジュールが搭載され始めており、Wi-FiやBluetoothを搭載した小型のコンシューマー製品も増えている。それにもかかわらず、爆発的な普及に至っていないのは、M2Mのエコシステムが上手く循環していないためだというのが同氏の見方だ。

sa_d3180.jpgPhoto ドコモのモジュール契約数の推移と主な導入業種

 M2Mの世界にはまずデバイスが存在し、これからはさまざまなデバイスが何らかの通信機能を持つようになる。そして、デバイスレイヤーの上には、これらのネットワーク対応機器の接続を効率よく管理するためのプラットフォームレイヤーが不可欠だ。また、通信機能を持つデバイス向けには、さまざまな機能を持たせるためのアプリケーションも必要で、アプリ開発の経験が少ないメーカーを支援するアプリケーションイネーブラーのレイヤーも重要になる。こうした仕組みをしっかりと作り込むことで、M2M事業への参入障壁が下がり、テレマティクスやスマートホーム、センサーネットワークなどの新たなM2Mの市場が拡大するというわけだ。

 ドコモは、2GネットワークのDoPa時代から長年にわたって通信モジュールの開発を手がけてきた実績があり、2012年12月には国内外の通信モジュール回線を一元管理するためのM2Mプラットフォームの提供を開始している。同社はアプリ開発を手がけるシステムインテグレーターと協力しながら、モジュールからクラウドサービスまでを一気通貫で提供するエコシステムを構築し、M2Mの普及を目指す考えだ。

Photo M2Mの普及を加速させるエコシステム
sa_d3192.jpgPhoto 国内外の通信モジュール回線を一元管理できるドコモのM2Mプラットフォーム

標準化の進展とモジュール技術の進化がM2Mの普及を後押し

 さらにM2Mの普及を後押しするのが、M2Mに関連する技術の標準化の進展や、モジュール自体の進化だ。

 今、標準化が進んでいる仕様の1つが「Embedded SIM」だ。例えば、国をまたいで通信モジュールを内蔵した製品を利用する場合に、いちいちSIMを差し替えずに使えるようにするための仕様で、この仕様が策定されると、モジュールに内蔵されたSIMカードを遠隔操作で書き換えることで、その国の通信キャリアのSIMに設定できるようになる。

 現状ではまだ標準化されていないが、こうした操作を実現するための機能を、どんな形でグローバルで管理するべきかを標準化する動きがあるという。これはドコモを含む10社の通信オペレーターから成るファーストトラックで検討されており、今秋をめどにインタフェースが決まる見込みだという。

 ドコモは2月にスペイン・バルセロナで開催された通信イベント「Mobile World Congress 2013」でも、組み込み機器のモジュールに搭載されたSIMカードにネットワーク経由で任意の通信キャリアの回線情報を書き込む実験を行うなど、サービスの実現に向けた取り組みを強化している。

 さらにモジュール自体の機能も、高速通信への対応や小型化にとどまらない進化を遂げており、高原氏はドコモが開発しているモジュール「UM03-KO」を例に挙げて説明した。

Photo ドコモのモジュール投入ロードマップ

 UM03-KOの特徴の1つは、モジュールの中に汎用的なセンサーのインタフェースを備えている点だ。M2M市場では、デバイスが持つセンサーのデータをモジュールを通じてネットワークで送るというニーズがあるが、これまでのモジュールは、インタフェースとしてRS-232(シリアルポート)のみを提供していたため、センサーデータを送るためには、外部に別途変換のためのインタフェースを用意する必要があった。UM03-KOならセンサーを直結するだけで済み、周辺に変換回路を用意する必要がない。

 もう1つが、モジュール内へのJavaアプリの実行環境の搭載だ。例えばこれまでのモジュールでは、あるデバイスの温度が一定以上に上がった場合に、ネットワークを通じてアラートを送信するような仕組みを作るためには、外部にプログラムを書くような作り込みが必要だった。UM03-KOにはJavaが内蔵され、プログラム領域も用意されるので、温度センサーをモジュールに直結し、モジュール内のプログラムに「温度が上がったらメールを送る」というふうに書き込めるようになる。

sa_d3185.jpgPhoto UM03-KOの特徴

 さまざまな通信モジュール製品を国をまたいで容易に利用できる仕様が策定されれば、グローバルで使える製品の開発が進み、モジュールが進化すれば、開発ベンダーの参入のハードルが下がって市場が活性化する――こうした要素の相乗効果で、今後、M2M市場が拡大に向かうというのが高原氏の見方だ。同社ではM2Mの主要分野であるテレマティクス分野にも注力しており、技術開発とエコシステムの両面からM2Mの普及拡大に取り組む方針だ。

sa_d3207.jpgPhoto スマートデバイスを活用したドコモのテレマティクスサービス「ドコモ ドライブネット」は、普通の話し言葉で情報検索を行える。スマートフォン向けコンシェルジュサービス「しゃべってコンシェル」で培った技術が生きている

sa_d3210.jpgPhoto 自然な言葉でクルマと対話”といえば、思い出すのが米テレビドラマ「ナイトライダー」のK.I.T.T。ドコモは3月31日まで、ドライブネットアプリでK.I.T.T役の野島昭生さんの音声を配信中。ダウンロードするとナビ音声がK.I.T.Tの声になる

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