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» 2013年08月12日 13時02分 UPDATE

バラして見ずにはいられない:悲運の名機「MEDIAS W」の突き抜けた個性を分解して知る (1/3)

肯定にしろ否定にしろ、登場したときの衝撃を覚えている関係者は多い。「コンパクトで大画面でマルチディスプレイ」に挑戦した“W”をその内部から検証する。

[柏尾南壮(フォーマルハウト・テクノ・ソリューションズ),ITmedia]

独自性で苦労するスマートフォンメーカー

 携帯電話の進歩は、ボディの小型化とディスプレイの大型化がせめぎあう歴史ともいえる。レンガのように大きかった初期のモデルは、その中身の大部分がバッテリーだった。バッテリーが小型になるとボディも小さくなる。しかし、これではディスプレイも狭くなる。2つ折りの携帯電話の登場は、大きなディスプレイと操作に適したサイズのキーパッドの両立のために求められた必然の進化だったといえる。

 実装する機能も増強してきた。カメラを搭載し、ワンセグ放送を視聴できるようになり、3Gや4G、そして、無線LANによる高速データ通信で、動画ストリーミングや通信対戦ゲームも快適になった。高画質な映像コンテンツ需要の高まりもあって、現在のスマートフォンでは、キーパッドをディスプレイに統合し、タッチパネルを内蔵した大型ディスプレイがボディ正面のほとんどを占めるようになった。

 ただ、サイズに限りのあるスマートフォンで、その正面のほとんどをディスプレイが占めるようになると、モデルごとの独自性を出すのが難しくなる。OSは同じ、形状も似ており、本体に印刷しているロゴを見なければどこのメーカーで何のモデルか区別がつかないユーザーも多いだろう。その中でメーカーはわずかに残った領域で独自性を追求している。シャープは早くから大画面化を重視した。いまや、防滴防じんはほとんどのメーカーが訴求している。そして、今回取り上げる「MEDIAS W N-05E」を開発したNECカシオモバイルコミュニケーションズはボディの薄型化に注力していた。

 多くのスマートフォンでボディの厚さが10ミリ以上あったころ、同社のスマートフォンは7.7ミリの薄型モデルを開発した。「薄いボディといえばMEDIAS」と多くのユーザーがいうほどに、同社の薄型化戦略は成功することになる。

 2013年4月18日、薄型化路線を継承しつつ、4.3インチタッチパネル内蔵QHD液晶ディスプレイを“2枚”搭載して、必要に応じてシングルディスプレイとデュアルディスプレイを使い分けられる「MEDIAS W N-05E」(以下、N-05E)をリリースした。

kn_barashin05e_13.jpgkn_barashin05e_14.jpgkn_barashin05e_15.jpg 4.3インチディスプレイを搭載した“普通”のスマートフォンと思いきや(写真=左)、山折りのボディを開くと(写真=中央)、2枚のディスプレイを利用できる「MEDIAS W N-05E」は(写真=右)、その特異な機構で多くの関係者が注目した。しかし、注目度と販売実績が必ずしもリンクしないことも多くの関係者は知っていた

kn_barashin05e_01.jpg MEDIAS W N-05Eを構成する本体カバーとディスプレイユニット、バッテリー、各種基板。ボディがサブディスプレイ(写真の上側)とメインディスプレイ(写真の下側)に分かれるため、構成パーツは多く見えるものの、ボディの厚さは12.2ミリに抑えている

 その数年前に京セラが米国で似た形状の端末「Kyocera Echo」を発表し、その斬新なボディで話題となっていたが、N-05Eのボディはさらに薄く、重量も軽かった。本体のサイズは、約64(幅)×136(高さ)×12.2(厚さ)ミリで、重さは、約183グラムだ(Kyocera Echoのボディサイズは、56.5×115×17.2ミリで、重さは約193グラム)。この薄さで2つ折りの機構を採用し、容量2100mAhのバッテリーを搭載する。3G連続待受時間は650時間と長い。参考までに6.1インチのディスプレイと容量3900mAhのバッテリーを搭載したHuaweiのAscend Mateの3G待受時間は216時間だ。

 文字入力には大きめのキーが便利だが、タッチパネル内蔵ディスプレイが2枚あるため、片面すべてをキーボードとして使用して、キーピッチを広く確保することも可能だ。2枚のディスプレイを連携して1つの大きな画面で利用できるモードも備えていたので、視認性も優れていた。

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