ユーザーが許せる幅を探せ!──ドコモが考える「大画面と幅と気持ちよさ」の関係それは“3ミリ刻み”の戦いであった(1/4 ページ)

» 2013年11月07日 10時45分 公開
[長浜和也,ITmedia]

大画面と薄型とユーザーの使いやすさのバランスは?

 10月10日に2013-2014年秋冬モデルを投入したNTTドコモは、今ちょうど次のシーズンに向けて次期モデルの企画を携帯電話、スマートフォンメーカーとともに進めている段階にある。2013年夏モデルで“ツートップ”戦略を打ち出し、2013-2014年秋冬モデルの発表直前にはiPhone 5sとiPhone 5cを発表した。2013-2014年秋冬モデルのラインアップでは、夏モデルから数を増やしたものの、全体としてラインアップは集約傾向にある。

 ドコモに限らず、最近のスマートフォンで目立つのが大画面化へのシフトだ。夏モデルでは、解像度1080×1920ピクセルのフルHDで、サイズは5インチというのが、ハイエンドモデルでほぼ横並びとなっていたが、秋冬モデルでは、GALAXY Note 3の5.7インチや、今回日本市場では登場したかったもののXperia Z Ultraの6.4インチなど、さらなる大型化の兆しも見えている。

 大画面ディスプレイは確かにユーザーの視認性や表示できる情報量の面で有利だが、その一方で、片手でディスプレイを操作できなくなる……、どころか、片手で本体を保持するのも難しくなってくる。

 ディスプレイサイズと視認性と操作性は携帯デバイスのトレードオフの関係で、両方を満足させることはとても難しい。このバランス加減が設計やデザイン、製品企画の力の見せ所であって、製品の差別化になる。

 この絶妙なトレードオフのバランスをNTTドコモはどのように考えているのだろうか。今回は、NTTドコモ プロダクト部プロダクト企画担当 デザインマネジメント担当課長の宮沢哲氏と、プロダクト部プロダクト企画担当主査の木下修爾氏、そして、プロダクト部プロダクト企画担当デザインマネジメント担当主査の高間亮行氏に聞いた。木下氏はシーズンごとのモデルで登場するラインアップを管轄し、高間氏は端末のデザインを担当している。宮沢氏は、彼らのまとめ役というポジションになる。

 なお、このインタビューは2013年夏モデルの発表が終わり、これから秋冬モデルに向かって企画を考えていこうという時期だった。ここで彼らが話していることが、先日発表した秋冬モデルでどのように具体化したかを考えるのも興味深いだろう。

操作性を考えると4インチディスプレイが限界

──ハイエンドスマートフォンのディスプレイサイズがほぼ5インチでそろってきましたね。

木下氏 (2013年夏モデルの)ラインアップではディスプレイサイズでいうと、4.3インチから5インチで用意しました。ドコモは、本体の“持ち感”を左右する本体の横幅を重視しています。比較的小さなディスプレイを搭載して横幅を抑え、小柄なユーザーや女性のユーザーを重視したモデルも用意しました。ただ、主流は4.7インチから5インチのディスプレイを搭載するモデルで、このあたりがメインのサイズになると思っています。コンパクトなものからディスプレイサイズが5.2インチという大きなものまで用意して、多様なユーザーの需要に応えたいです。

 ただ、本体が大きくなると持ちにくくなりますね。人間の手の大きさは限界があるので、そこで、画面は大きくしたいがボディの幅はできるだけ狭くして持ちやすくしたいと考えました。ARROWS NX F-06Eは、5.2インチのディスプレイを搭載しているが、幅は70ミリにおさえて、見やすさと持ちやすさを両立しています。

狭額デザインで大画面ディスプレイながら本体の幅を抑えたARROWS NX F-06Eの後継として2013-2014年秋冬モデルでは「ARROWS NX F-01F」が登場した

──ディスプレイが3インチ以下のモデルや5.2インチより大きいモデルは?

木下氏 操作性の観点や見やすさを考えるとディスプレイサイズは4インチが小型化の限界と考えています。5インチより大きなモデルは、GALAXY Noteシリーズなどで挑戦したいです。ユーザーからは、“もっと大きくてもいいから見やすいデバイスを”という要求もあります。競合の動きやユーザーの要求をみながら検討していきたいです。

「GALAXY Noteシリーズで挑戦したいです」の言葉通り、2013-2014年秋冬モデルでは、GALAXY Note 3 SC-01Fを投入した。5.7インチディスプレイを搭載して本体の幅は79ミリ

       1|2|3|4 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

最新トピックスPR

過去記事カレンダー

2024年