連載
» 2015年04月02日 10時38分 UPDATE

山根康宏の中国携帯最新事情:中国4G市場加入数1億件で世界市場のパワーバランスが変わる (1/2)

2013年12月に4Gサービスを正式に開始した中国。それから1年が過ぎ、総加入者数は3億件を突破する勢いだ。中国3事業者が展開する4Gの現状を紹介しよう。

[山根康宏,ITmedia]

4G加入者1億人突破。もうすぐ3億突破も

 中国の4Gサービス開始は2013年12月18日だった。そして、2015年1月末に4G加入総数は1億件の大台を突破した。4G加入数は中国移動だけでもここ数カ月間連続して毎月1000万件以上増えており、2015年に同社だけでも2億5000万件を突破する勢いだ。3Gでは他国に大きく後れを取った中国だが、4Gでは急激に加入数を増やして契約数では一気に世界トップに躍り出た。2015年中には3億件を超えることは確実だろう。

 中国で4G免許を受けているのは中国移動(China Mobile)、中国電信(China Telecom)、中国聯通(China Unicom)の既存大手3通信事業者だ。3社ともTD-LTE方式での事業免許を受け、それぞれ2014年12月、2015年2月、同3月に相次いでサービスを開始した。だが、先行した中国移動とほか2社との間にあった4Gに対する温度差が大きく影響して、現状は中国移動が1人勝ちという状況になっている。

 中国移動は4Gの開始以前、2008年にTD-SCDMA方式で3Gサービスを開始した。TD-SCDMAは中国の国策としてW-CDMA、CDMA2000に対抗しうる”第三の3G方式”として新興国を中心に国際展開を行う予定だった。しかし、商用化技術が確立する前にサービスを開始したことが影響して加入数は伸び悩み、一時はW-CDMA方式の中国聯通、CDMA2000方式の中国電信に3G加入数で並ばれてしまった。

 その反省から、中国政府と中国移動はTD-LTE方式を4Gサービスで推進するために商用化に至るまでの開発を慎重に進めて、本サービスの開始はネットワークカバレッジと端末のどちらも十分な状態になるまで引き延ばしてきた。そのおかげで、2013年12月18日の4G開始時点において、カバレッジは国内主要都市に広がっており、端末も数機種とはいえハイエンド、ミッドレンジ、エントリー、そしてモバイルルーターと十分な種類を用意できた。

kn_yamane03_01.jpg 本格的な4G時代を迎えた中国。中国移動が抜きんでた加入者数を誇る

kn_yamane03_02.jpg 中国移動の営業所店内。「4G LTE」の文字が目立つ

 中国移動は端末面でも中国メーカーとの協業を強化し、2014年に入ってからは4G対応のTD-LTE端末の調達を増やしていった。また、国際展開を図るために、5モード11バンド(5M11B)、すなわち「TD-LTE」「FDD_LTE」「TD-SCDMA」「W-CDMA」「GSM」の5つの通信モードと、11の周波数帯(バンド)の端末開発をメーカーに要請した。ただ、5M11B対応のチップセットが当初はQualcomm製しかなく、中小メーカーはコスト的に対応できなかったため、TD方式のみに対応した3モード(3M)機の調達も認め、MediaTekの安価なチップセットを搭載したTD-LTE/TD-SCDMA/GSM対応の3M端末が次々に登場した。

 この中国移動の4G開始と合わせるように、中国では端末の価格下落が一気に進んだ。2013年8月にXiaomi(シャオミ、小米科技)が従来のハイエンドスマートフォン「小米」シリーズの低価格ラインアップとして「紅米」を投入。1999元とハイエンド製品としては低価格だった小米に対し、紅米は1000元を切る799元という価格で話題となった。

 紅米スマートフォンは3Gのみの対応だったが、2014年になるとCoolpad(宇龍通信)やHuawei(華為科技)が紅米対抗のスマートフォン新ブランドを立ち上げ、4G対応ながら1000元を切るモデルを次々と投入してきた。その結果、中国のスマートフォンは1000元(約1万9250円)以下の4G対応モデルばかりとなっていった。それに合わせるように4Gの加入者も急増し、単月の4G加入数は2014年9月に1000万件を突破、12月には1883万4000件と過去最大を記録している。

kn_yamane03_03.jpgkn_yamane03_04.jpg 低価格スマートフォンの草分けともいえる紅米。紅米も4G対応モデルをそろえてきた(写真=左)。大胆なカラーで話題のLenovo「レモン・スマートフォン」。599元(約1万1530円)ながら4Gに対応する(写真=右)

 4Gスマートフォンの低価格化とカバレッジの拡大により、中国移動の4G加入者数は急激な伸びを示している。2014年10月には3G加入者が3Gサービス開始以来初の純減となるマイナス157万人を記録したように、中国における3Gから4G乗り換え需要も高まっている。

 中国移動によれば、2014年の4G端末販売台数は1億台を超え、基地局の数は中国で70万基に達したという。端末の数はM2M向け通信モジュールなどを含め1300種類以上、端末メーカーは200社以上、低価格端末では60ドル以下の製品も登場した。

kn_yamane03_05.jpgkn_yamane03_06.jpg 中国移動の4G加入者推移(写真=左)に、総加入者と2G/3G/4G加入者数の推移(写真=右)

       1|2 次のページへ

Copyright© 2016 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.