彼女はiPhoneを使いこなせない 〜嫁とスマホの100日間戦争〜連載スタート(1/3 ページ)

» 2015年11月15日 06時00分 公開
[中山順司ITmedia]

 「スマホは多機能で便利。一度使うとガラケーには戻れない」「直感的に操作できるので、取扱説明書なしでも自然に操作が身につく」

 一般にはそう言われているが、本当にそうだろうか?

 使いこなせているのはITリテラシーの高い、ガジェット好きなコアユーザーに限られるのではないかと私は踏んでいる。確かにスマホユーザーは増えた。だが、そのポテンシャルを最大限まで引き出せず、機能をフル活用できていないユーザーも多数存在すると思う。

 スマホは個人に強く密接した機器であるため、使い方が極めて属人的になる。非効率でトンチンカンな使い方をしていても、外部から指摘を受ける機会がない。よって、スキルに大きな差が生まれるのだ。

半年持たずに、iPhoneからガラケーに戻った父

 個人的な話になるが、父(74歳)が4年ほど前にiPhone 4を購入し、半年持たずにガラケーに戻ったことがある。購入直後に画面を見せてもらって驚がくしたのだが、使っている機能は電話とメールのみ。「1回もアプリをダウンロードしたことがない。どこから持ってくるのかも、その方法も分からん」とのこと。もちろん、App Storeの存在も自分のApple IDも知らなかった。

 インストール方法を教え、一件落着。だが、数カ月後に画面をのぞいて再度驚がくした。オセロと将棋のアプリだけが並んでいた。父のスマホは「(電話もできる)手のひらサイズのオセロマシン」以上でも以下でもなかった。「大して使っていないのに、月額料金は元のケータイより高いんだよなあ」とぼやいていたが、案の定、数カ月後に使い慣れたガラケーに戻ってしまった。

スマホは本当にユーザーフレンドリーなのか?

 「知識もないのにスマホに手を出すから」と笑うのはカンタンだが、ちょっと待ってほしい。ユーザーフレンドリーな操作性をうたうのであれば、ITリテラシーの低い人でも難なく使いこなせてこそ、だと思うのだ。使えない人を笑いの対象にするのではなく、“操作でつまずく瞬間”や、“おっくうに感じてガラケーに戻りたくなる原因”を検証するほうが、気付きも多いし、よほど建設的ではないだろうか。

 そんなことを考えていた矢先、事件は起こった。

 普段あまりモノを欲しがることのない妻に、こう切り出されたのだ。

 「……あたしもiPhoneが欲しいんだけど」

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