その他にも、高いニーズを持つ商品があります。それが、「お菓子セット」です。お菓子セットと言っても、地域限定のご当地お菓子や、限定スイーツではありません。スーパーやコンビニで買えるごく普通のお菓子を、出品者が独自に「セット組み」して販売しているものです。
実際に売られていたお菓子セットを例に挙げてみると、こんな感じです。
販売価格 300円
そうです。この「お菓子セット」の見所は、何といっても、「明らかに家にあった残り物でしょ!」感。「コアラのマーチ」「ピュレグミ」まではいいとしても、それ以下のものは全部「大袋を開封した後ばらした」もの。
この「個包装お菓子」がセット内に組み込まれているパターンは、見ているとなぜだか気恥ずかしいような気分になってしまうんです。こういうのって、なんだか親戚や友達の家で出されるお茶請けみたいで、親しい関係の人にしか見せないものというか、なんというか……。皆さんも是非「お菓子セット」で検索して、この気持ちを味わってみてほしい!
他にも、「ベビースターラーメン」のような「吊り型」のお菓子を切り離して1袋だけ、とか、明らかに誰かの手土産をばらしたでしょ! みたいなやつもよく見かけます。
金額的には、コアラのマーチとピュレグミだけで定価300円くらいするとおもうので、お得といえばお得ですが、さすがに薄利すぎませんか? これもまた、少しでもおやつ代を浮かせたい中高生がメルカリでお菓子を買っていたりして……。だとしたら、出品者もお母さんに内緒で台所にあったお菓子を売っている中高生だったりするのかな。
想像してみると、涙ぐましくてたまりません。このように、出品者も購入者も利益100円くらいじゃない? というような取引が多いのも、メルカリの特徴の1つです。
メルカリ世界を探検していると、ユーザーたちの間に「暗黙のルール」がたくさん存在することが分かってきました。これは公式に定められているものではなく、ユーザーが独自に作り出したもののようです。
メルカリで商品を購入するときの手続きは至って簡単。出品ページの「購入手続き」のボタンを押して、支払い方法や配送先を確認した後、「購入」ボタンを押すだけです。あっという間に手続きできますね。
欲しいものを見つけたら、誰かに買われてしまわないよう、すぐにボタンをタップしたくなります。しかし、それを許さないユーザー達が多数存在するのです。
そんなユーザーのプロフィール欄には、必ず「即購入禁止!」と書いてあります。その記載を見つけたら、まずは出品ページのコメント欄で「購入宣言」をしなくてはなりません。コメント欄で「買いたいです!」と伝え、出品者から買ってもいいという許しを得られた場合のみ、お金を払うことができるのです。
しかし、これはもちろん公式のルールではないので強制力は全くありません。むしろ公式では「3分でかんたん売り買い」をうたっているくらいなので、運営会社の意図とは違った方向に文化が発展してしまった感じもあります。
即購入禁止勢はかなり多数派なので、逆に「コメントなんていらないよ」という出品者は「即購入可!」と記載しているのが、なんだか面白いです。
先ほどの「即購入禁止!」のように、メルカリでは出品者のプロフィール欄に各々が自分ルールを記載しています。ネットショップでいう「利用規約」のようなものです。
例えば、「返品不可」のような基本的なことから、「値引き交渉できません」「値引き交渉大歓迎!」「仕事のため平日は出荷対応できません」というものまで、人によって定めたルールはさまざま。
なんだか「メルカリのサービスを利用している」というよりも、「メルカリという世界の中で色々な人がお店を出している」というような感じですね。そのため、メルカリにおいてはプロフィール欄を読んでもらうことが、トラブル回避のためにとても重要となるようです。
絶対プロフィールを読んでほしい! そんな思いから生まれた文化が、「パスワード」です。プロフィールを無視して購入手続きされないよう、多くの出品者がユーザー名の後に「プロフ読んでください!」と記載しています。そしてその通りプロフィールを読むと、最後に「プロフィールを最後まで読んだ証拠として、コメント欄に“1111”と書いてください! 」と、書いてあるのです。
このパスワードをコメント欄に書きこむことで、購入権を得ることができるという仕組みです。こんなやり方、よく考えたなあ。もちろんこれも非公式なルールなので、システム的な強制力はありません。
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