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» 2017年01月26日 06時00分 UPDATE

なぜ日本で個人間決済ははやらない? 割り勘アプリ「paymo」の代表に聞いてみた (1/2)

電子決済がなかなか日本で普及しない理由と、今後日本でも伸びると予測される個人間決済ツールの「割り勘」用途について、AnyPay代表取締役の木村新司氏に聞きました。

[石原亜香利,ITmedia]

 個人間のモバイル電子決済ツールといえば「LINE Pay」や楽天銀行の「Facebookで送金」があります。これらは便利ではあるものの、日本ではそれほど普及していません。一方で、米国や中国では、モバイルウォレットやモバイル送金決済サービスが広く日常で使われています。

 決済プラットフォームサービス「Anypay(エニーペイ)」と割り勘アプリ「paymo(ペイモ)」を手掛けるAnypay社の代表・木村新司氏に、なぜ電子決済や個人間決済ツールが日本で普及しないのかを聞いてみました。

割り勘アプリ「paymo」リリース発表会での木村新司氏(2017年1月19日)

木村新司

AnyPay代表取締役。1978年生まれ。東京大学理学部物理学科卒業。ドリームインキュベータ、シリウステクノロジーズ取締役を経て、アトランティスを創業。同社をグリーに売却後、投資家としてGunosy創業に関与、共同最高経営責任者(CEO)を務める。同社上場(2015年4月)。Gunosy共同最高経営責任者(CEO)退任後、個人投資家として、数十社のスタートアップ・ベンチャーに投資。2016年6月にAnyPayを設立。創業者兼代表取締役に就任。


国も注力する「キャッシュレス決済」

 日本政府による「日本再興戦略改訂2014」では、「2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催等を踏まえ、キャッシュレス決済の普及による決済の利便性・効率性向上を図る」旨が盛り込まれています。2020年に向けて、日本の決済市場は大きく変わっていくと木村氏は予測します。

 しかし、実際のところ、電子決済は米国や中国と比べ、日本ではなかなか普及していないのが現実です。その理由を木村氏はこう語ります。

 「日本で電子決済が広がらないのは、人口当たりのATMの数が多いことで、お金をすぐに下ろせる環境があること、そしてこの環境があることで、デビットカードがそれほど普及していないことの2つにあると考えます」

伸びている友人間のスマホ送金

 こうした電子化決済の中でも、今中国と米国で急速に普及が進んでいるのが、「友人間」におけるモバイル送金決済ツールだといいます。簡単にいえば、友人同士でレストランで食事をした際に、現場では代表者がまとめて支払い、後から割り勘して飲食代をスマホで効率的に集金するという使い方です。

 「海外ではモバイルウォレットやモバイル送金決済サービスが普及しており、特に中国では『WeChat Pay』、米国では『venmo』というモバイル送金決済ツールが急速に伸びています。日本でも、かつてガラケーがスマホに置き換わったように、決済の転換点が訪れると予測しています」(木村氏)

 木村氏は個人間のコミュニケーションを介して行われる“割り勘”用途に注目しており、「割り勘は通常、複数の人たちで行われるので、バイラル的に利用者が増える見込みがある」と自信を見せます。

“本人確認”の煩雑さ

 現在でも、日本ではすでにモバイルの個人間決済ツールがいくつか存在します。これらがそれほど普及していない理由はどこにあるのでしょうか。

 「電子決済が普及していない理由と同様、まずデビットカードが普及していないことが理由と考えています。そうなると、電子決済にはどうしてもクレジットカードを使用することになるため、決済手数料がかかることで、ハードルが上がります」

 「もう1つの理由は、本人確認が必要なところにあるのではないでしょうか。“送金”には身元確認が必要になります。アメリカでは、日本のマイナンバーのような市民IDが普及しているため、そのIDとクレジットカードがあれば送金可能です。しかし、日本ではまだマイナンバーが普及していないので、身分証明といえば免許証になってきます。個人間決済の際にわざわざ免許証を出さないといけないのは面倒ですよね。この2つが個人間決済ツールがいまだに普及していない理由と考えます」

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