「iPhone 6」と「iPhone 6 Plus」は第8世代目となるiPhoneだ。2014年9月9日(現地時間)、米カリフォルニア州クパチーノのフリントセンターで開催したプレスイベントで発表され、9月19日に発売された。日本ではNTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクモバイル(現ソフトバンク)が取り扱い、Apple StoreではSIMロックフリーモデルも販売された。なお、9日のイベントでは「Apple Watch」も発表された。
【訂正:初出で冒頭の製品名に誤りがありました。「iPhone 6 Plus」と訂正しました(2017年8月29日午後6時)】
iPhone 6/6 Plusで大きく変わったのがディスプレイだ。このモデルから2種類のサイズのモデルが同時に発表されるようになり、iPhone 6は4.7型に、iPhone 6 Plusは5.5型に大きくなったRetina HDディスプレイを搭載。それに伴って本体サイズも大きくなったが、厚さはiPhone 5sよりも薄くなった。
本体デザインも変更された。アルミニウムを使っているのは同じだが、iPhone 5/5sは側面がダイヤモンドカッターで斜めにカットされ角ばったシャープなデザインだったのに対し、iPhone 6/6 Plusは丸みを帯びて全体的に柔らかい印象になった。なお、電源キーの位置が、それまでの上部から右側面に変更された。
プロセッサは、第2世代64bitアーキテクチャで設計された「A8」を搭載。モーションコプロセッサも「M8」に進化し、気圧計を搭載したことで高度の計測も可能になった。通信速度はiPhone 5sの下り最大100Mbpsから下り最大150Mbpsに高速化。LTEの周波数帯は、iPhone 5sよりも7つ多い20バンドに対応した。また、キャリアアグリゲーションやVoLTE(日本での対応は2015年4月9日から)にも対応。
新たにNFCをサポートし、Touch IDと連携させた「Apple Pay」を10月に導入した。ただし、Apple Payに関しては、日本ではFeliCaを搭載した「iPhone 7/7 Plus」が登場するまで待たなくてはならなかった。
アウトカメラは、画素サイズや画素数、F値はiPhone 5sから据え置かれたが、iPhone 6/6sでは新たに位相差AF(オートフォーカス)の「Focus Pixels」を採用し、AFがより速く正確になった。撮影した動画を高速で再生する「タイムラプスビデオ」、インカメラには新たに1秒間に10枚の写真を連写できる「バーストモード」が加わった。また、iPhone 6 Plusのみ光学式手ブレ補正機能を搭載した。
OSはiOS 8を搭載。画面が大きくなったことに伴い、横画面表示が強化されたほか、アイコンを拡大表示する機能や、ホームボタンをダブルタップすると画面表示全体が下に下がって指が届きやすくなるUIを用意した。通知センター上からメッセージに返信したり、Facebookの通知に「いいね!」を押したりできるようにもなった。iPhoneから家の照明や鍵、監視カメラ、各種プラグやスイッチなどが管理できるようになるスマートホーム機能「HomeKit」も新たに用意された。
iCloudは使い勝手が改善された。それまでのiCloudは、フォトストリームで写真を同期したり、データをバックアップしたりといった使い方が主なものだったが、iOS 8で用意された「iCloud Drive」はPCからはファイルをフォルダにドラッグ&ドロップして保存できるようになり、一般的なストレージサービスと同様の使い方ができるようになった。
要望の多かった、サードパーティー製の文字入力アプリも利用できるようになったほか、Touch IDがサードパーティーのアプリにも導入可能になった。
iPhone 6/6 Plusの日本での発売日には、SIMロックフリー版を求める外国人客がApple Storeに大勢訪れ、一部の店舗ではトラブルも発生した。その多くは、当時発売時期が未定だった中国で高く売るために入手しようともくろんだ中国人バイヤーと見られている。この件によって、翌年のiPhone 6s/6s Plusは事前予約販売が行われ、発売日に予約なしでは購入できなくなった。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.