―― MVNO各社が新料金プランを出す中、5G対応は会社によって方向性がまちまちです。IIJは、無料のオプションとして対応しましたが、これはなぜでしょうか。
亀井氏 私たちで出しているAndroid端末にも、5G対応のものが増えています。せっかくご購入いただいたのに、ピクトに5Gが出ないのもどうなのかと考えました。設備の都合上、われわれからは4Gか5Gかの区別ができないため、(通信速度に)差をつけるのは難しいのですが、出すのであればドコモとauは同タイミングでと思い、6月から対応していきます。
佐々木氏 オプションにしたのは、5GのSIMカードだと3Gが使えなくなってしまうからです。つまり、オプションにせず、全てを5GのSIMカードにしてしまうと、4Gの端末に挿したときにデメリットしかなくなってしまうということです。また、端末によっては5Gのオプションをつけていると、動作しないケースもあります。ドコモ側で5Gに接続するための機能を落とせば、3Gと4Gでつながるようになるので、5G非対応の端末なら、オフにした方がいいということになります。
―― なるほど。5Gオプションというより、4Gを間に挟んで3Gを取るか、5Gを取るかの選択になるということですね。ちなみに、5Gを取ったとして、速度は十分出るのでしょうか。
佐々木氏 P-GW(MNO網と接続するための終端装置)のチューニングにもよりますが、空いている時間帯であれば、5Gオプションをオンにした方がスピードが出る場所は多いですね。1Gbps出るかといわれると難しいかもしれませんが。ただ、今の段階では積極的に訴求しているというわけではなく、せっかく端末に載った5Gがつぶされてしまうのはもったいないというところからスタートしています。まずは、5Gの世界を垣間見てくださいというのが、6月時点での訴求になります。
―― SMS付きやフルMVNOで5Gオプションが使えないのはなぜでしょうか。
亀井氏 開放されている仕様では、SMSプランでの5G対応ができないからです。eSIMについては、フルMVNOが5G対応していないからというのが理由になります。
―― ギガプランで大幅な値下げをしましたが、今後は6カ月や1年に限定した期間限定のキャンペーンは減っていくのでしょうか。
亀井氏 定価で勝負しましょうというのは大前提ですが、キャンペーンをやらないわけではありません。
矢吹氏 現実的にはやると思います。できれば、キャンペーンは他社もやめてほしいと思っていますが(笑)。キャンペーン合戦になってしまうと、結局は巨大資本を持っているところが勝ってしまいますからね。
―― 新プランで、加入者の獲得目標はありますか。
矢吹氏 上からも求められていますが(笑)、これだけマーケットが動いている中で数値を作ると、変な方向に行ってしまいかねないので、まずは値下げをして出すところに集中しています。それを大きくしていく中で、改めて考えていきます。
IIJmioのギガプランは、料金プランの全面的な刷新を意図していたものだ。もともとは2020年夏ごろに投入しようとしていたものだが、システム開発が遅れ、2021年6月ごろに新料金プランを投入する予定だった。これを4月に巻き上げたのは、ahamo開始以降、急速に競争環境が変わってしまったためだ。矢吹氏らの発言を見る限り、金額自体も当初の想定から変わり、より安価な料金になっていることがうかがえる。
MVNO同士の競争も激化しているが、ギガプランはそれを一歩リードする価格設定でインパクトを出すことに成功した印象を受ける。ただし、いくら安くても通信が安定していなければ、安かろう悪かろうになってしまう。インタビューでは、通信品質も向上させていくという話も出ていたが、4月1日以降、トラフィックのパターンは大きく変わる可能性もある。ここにどう対応していくのか、今後の評判を左右しそうだ。
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