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» 2021年02月08日 19時35分 公開

勝社長 IIJmio新料金プランは「競争できる」も、キャリアには「公正な原価」を求める

インターネットイニシアティブ(IIJ)が2月8日、2020年度第3四半期の決算について説明した。業績は好調だが、個人向けMVNOサービスは厳しい戦いを強いられている。2月24日にIIJmioの新料金プランを発表予定だが、キャリアには「公正な原価」を求めていく。

[田中聡,ITmedia]

 インターネットイニシアティブ(IIJ)が2月8日、2020年度第3四半期の決算について説明した。第3四半期の売り上げは1560.7億円(+3.6%)、営業利益は101.3億円(+67.1%)で増収増益。2020年度の売り上げは2120億円から2130億円に、営業利益は113億円から135億円に上方修正した。

IIJ 左から、渡井昭久CFO、勝栄二郎社長、鈴木幸一会長

 勝栄二郎社長は好調の要因について「コロナ禍でリモートワークが増えたことで、IPサービス、セキュリティ、クラウドのニーズが非常に高まっている」と説明する。こうした領域は「IIJの本業そのもの」と自信を見せた。

IIJ 第3四半期は増収増益となり、2020年度の業績を上方修正した

 MVNOサービスにおけるNTTドコモの接続料が想定以上に下がったことも増益に寄与した。2019年度の接続料は「過去の苦い経験もあり、5%減と見込んでいた」(勝氏)が、実際は13.4%減だった。その分の原価が浮く形となり、第3四半期で約7億円のコスト減となった。

IIJ モバイル接続料の算定方式が、2020年度から将来原価方式に変更。その前年の2019年度は、当初ドコモが計画していた6.0%減から13.4%減に改定された。2020年度の接続料は、2018年度の実績に基づく2019年度の接続料(未確定)から、16.0%減との予測値が出ている

 第3四半期でのモバイルサービス全体の売り上げは354億円で、前年同期比で2.9%増加となった。特に好調なのが法人向けサービス。回線数は第1四半期の92.3万、第2四半期の96.8万から103.7万へと右肩上がりで伸びており、渡井昭久CFOによると「IoT案件が着実に増加している」という。特にネットワークカメラの案件が伸びており、「店舗のマーケティングや監視など、多岐にわたってネットワークカメラが使われている」と手応えを話す。

 MVNEと個人向けサービス「IIJmio」については横ばいで、「競争環境が継続していく中で、少し売り上げが伸びていない」と渡井氏。そんな中でIIJは、2月24日にIIJmio向けの新料金プランを発表する予定。勝氏は新料金プランについて「3月1日から先行予約を受け付け、4月1日から提供する」「現行プランの契約者は無料で新プランに移行できる」ことを明かした。

IIJ モバイル・IoT事業の進捗(しんちょく)

 既に大手キャリアがオンライン専用の安価な20GBプラン、一部のMVNOがそれらに対抗する新料金プラン、そして楽天モバイルも新料金プランを発表した。IIJmioの新料金プランについて勝氏は「いろいろな事業者に対抗できるような意欲的なプランを検討している」「競争できる新しいプランを目指していきたい」と意気込みを語った。

 2020年12月にはドコモが「ahamo」、ソフトバンクが「SoftBank on LINE」を発表済み。ドコモはサービス開始前でありながらMNP転入超過になるなど好調だが、第3四半期まではIIJmioで影響は見られないとのこと。

 大手キャリアが安価な料金プランを発表したことについて勝氏は「競争が激しくなるのは歓迎する立場。国民一人一人が大きなメリットを受けるのは大事」としながらも、「キャリアとMVNOの原価は公正にすべき」とのスタンスを貫く。2019年度の接続料が想定より安くなったとはいえ、MVNOとキャリアの原価は同等にしてほしいと訴える。

 「MVNOに対する原価と、自分(キャリア)のサービスの原価が、自分たちにとって有利になると、MVNO事業は成り立ちにくい」と勝氏。MVNOとキャリア双方の原価が同等なのかは定かでないが、仮に同等だとしたら、「それを証明するためにも接続料の根拠は開示すべき」と訴えた。

 実際、2020年度のドコモの接続料について、勝氏は「自分(ドコモ)たちの利潤を少し削った、ニーズが増えているという説明はあったが、数字の根拠は必ずしも明確になっていない」と話す。今後の接続料については「キャリアがそろって新しいプランを出しており、自社サービスの原価が相当下がっていると感じている。その理屈から言えば、われわれMVNOに対する接続料も相当下がっていくのでは」と期待した。

 テレコムサービス協会MVNO委員会が総務省に対して接続料の低減を求める要望書を提出したが、IIJもこのスタンスには賛同。「MVNO事業が成り立つためには、原価の公正さが必要。キャリアとわれわれに対する原価が同じで、初めて公正な競争環境が整う」(勝氏)

 政府主導で大手キャリアが値下げに踏み切っている状況について、鈴木幸一会長は「キャリア3社は反省すべき」と批判した。

 「NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクと私どものような回線を借りてサービスを提供するところ(MVNO)と、公正な競争が成立するような接続料を提示すべきだと繰り返し申し上げたが、なかなか現実にならなかった。一方で、3社とも高い利益を上げている。MVNOという形で競争者が出たときに、適正な価格で『接続』というサービスを提示することは、競争上当然のこと。政治家の介入がないと適正な接続料を提示できないことについて、キャリア3社は反省すべきだと考えている」

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