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» 2020年11月09日 17時58分 公開

IIJ勝社長、サブブランドの20GBプランは「大きな影響はない」が、楽天モバイルの影響は認める

IIJ(インターネットイニシアティブ)が11月9日、2020年度上半期の業績を説明した。モバイルサービスは法人向けが好調だが、個人向けは苦戦。Y!mobileとUQ mobileが発表した20GBプランの影響は少ないとみるが、楽天モバイルの影響はあるようだ。

[田中聡,ITmedia]

 IIJ(インターネットイニシアティブ)が11月9日、2020年度上半期の業績を説明した。

 テレワークの需要増に伴い業績が伸び、増収増益の達成に加え、2020年度の売り上げを2100億円から2120億円に、営業利益を87億円から113億円に上方修正した。

IIJ 好調な業績を受け、売り上げや営業利益を上方修正した

 モバイルサービスについては、2020年度上期の総回線数は314万で前期比11.3%増に、総売上は235.8億円で前期比3.2%増になった。

 回線の内訳を見ると、法人向けが96.8万で、2019年度第2四半期の65.1万から右肩上がりで伸びている。フルMVNOサービスも法人向け売り上げが大きく増えており、回線増に貢献。渡井昭久CFOは「法人だけで100万回線が視野に入っている」と手応えを話す。

 一方で個人向けの「IIJmio」は2020年度第2四半期で104.5万回線。2019年度第4四半期の107.5万、2020年度第1四半期の106.3万から純減しており苦戦している。MVNE向け回線数も2019年度以降、110万前後で推移しており横ばい。渡井氏は「個人向けとMVNEの個人向けサービスは、競争環境もあるので、大きく数字が伸びているという状況ではない」と話す。

IIJ モバイルサービスは法人向けが好調だが個人向けは苦戦。契約数で法人が個人を逆転する日も近い?
IIJIIJ 勝栄二郎社長(写真=左)と渡井昭久CFO(写真=右)

 勝栄二郎社長は、総務省が10月27日に発表した「モバイル市場の公正な競争環境の整備に向けたアクション・プラン」について言及。接続料について「3年間で2019年度比5割減」という具体的な目標が掲げられた点について「歓迎したい。必ず3年間で(接続料の低減を)実現いただきたい」とコメント。「データの通信量が増えていくと思うので、(接続料は)さらに引き下げの余地があるのではないか」と期待を寄せた。

IIJ 将来原価方式で算出される接続料は、FY20〜FY22の3年間でドコモは計43.3%減、KDDIは計52.1%減となる見込み

 アクション・プランには、eSIMの普及促進に取り組むことも明記されている。IIJもフルMVNOの仕組みを活用してeSIMサービスを提供しているが、現在はデータ通信専用となっている。「IIJのeSIMは、音声に対応できていない。ドコモが開発する(であろう)eSIMを売ることが考えられるし、フルMVNOでも音声やSMSにわれわれが取り組めるようにしてほしい」と要望を述べた。

 政府の値下げ要請に応えるべく、ソフトバンクが「Y!mobile」で、KDDIが「UQ mobile」で4000円前後の20GBプランを発表した。MVNOユーザーをさらに奪うことになる恐れもあるが、勝氏は「それほど大きな影響はないと感じている」とコメント。「われわれのサービスは3GBや5GBのライト層がメイン。20GBプランは、われわれが担っている市場と領域が違う。今のところ対抗策は考えていないが、これからの接続料引き下げの経緯を見た上で、新しいプランを考えていきたい」とした。

 サブブランドの20GBプランよりも勝氏が脅威に感じているとうかがえるのが「楽天モバイル」だ。楽天モバイルは月額2980円(税別)で自社エリアでは使い放題のプランを提供しており、1年間無料。IIJmioに来るはずだったユーザーの一部が楽天モバイルに流れてしまっているのでは、という見立てだ。「第2の端末(サブ回線)として無料プランを使ってみたいというのも要因にあると思うが、いずれ収まると思う。新しいプランを検討しているので、巻き返しに出たい」と勝氏。楽天モバイルの無料化が終わるタイミングを勝機とみているとしたら、IIJmioの新プランは、楽天モバイルの「2980円」を意識したものになるかもしれない。

 新型コロナウイルスの影響で販売店への出足が鈍った件については、「少し戻っている」と勝氏。一方で「iPhoneのリリースが少し遅れた、Huaweiの新しいモデルが売れなくなってきたという、新しい端末を契機に売り上げを伸ばしていくことには支障があった」と話す。

IIJ 鈴木幸一会長

 IIJは10月30日からKDDI回線を用いた5Gサービスを提供しているが、回線は「KDDIに限らず、ドコモ等についても使っていきたい」と勝氏は述べる。コンシューマー向け5Gサービスについては「検討している」が、「(個人向けは)まだエリアが限られており、利用が進んでいないので、進捗(しんちょく)状況を踏まえて検討したい」と述べるにとどめた。

 NTTドコモのNTTへの完全子会社化についてのコメントを求められた鈴木幸一会長は、「意見はない」としつつ、「NTTグループとして大きく変動していくだろうと思っている。ドコモさんの在り方そのものでいろいろな齟齬(そご)があったと思う。長期的に考えて、ネットワークとしてワイヤレスや光が一元化することで、1つのビジョンの中で収れんされることで、新しい通信業のポジションを作っていくのだと思う」との考えを述べた。

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