先週、米Googleが2011年に6200人以上の人員採用を予定していると発表したことに関連して、Wall Street Journalは特に驚くほどでもない事実を明らかにした。新規採用者の多くがモバイルアプリケーションの開発者になる見込みだというのだ。同紙は次のように述べている。
この件に詳しい関係者の話によると、Googleはスマートフォンなどの携帯端末用アプリケーションを作成するソフトウェア開発者を多数採用する計画だ。これはハイテク業界で特に活気がある分野においてGoogleが米Appleに対抗することを狙った新たな戦略だ。
6200人の採用を予定しているGoogleがモバイル分野のエキスパートを多数雇い入れたいと考えていることは、同社がソーシャルソフトウェアの専門家を雇いたいと考えていることと同じくらい明らかなことだ。つまり、どちらも「そんなことは当たり前じゃないか」ということだ。
ただ、この場合の当たり前というのは、つまらないという意味ではない。われわれは今、エキサイティングな時期を迎えている。GoogleとAppleの間で新たなプラットフォーム戦争が起きているのだ。これは、かつて米MicrosoftとAppleの間で繰り広げられた戦いの展開を見守っていた人々には想像もできないような状況だ。
Appleと米Verizon Wirelessが提携し、2月10日からVerizonがiPhoneを販売することを考えれば、GoogleがAndroidをさらに勢いづけるために新たな手段を講じようとしているのは100%間違いない。
Androidは昨年12月以来、米国のスマートフォンプラットフォーム市場をリードしている。さらに米Canalysによると、Androidは現在、世界市場でも首位に立った。
しかしスマートフォンの販売台数だけがすべてではない。それに劣らず重要なのが、優れたソフトウェアアプリケーションを開発することだ。iPhone向けには30万本以上のアプリケーションが開発されたのに対し、Android向けはまだ13万本余りだ。
GoogleはAndroid用アプリケーションの多様化も進める考えだ。今のところ、Android向けにはGoogle SearchやGoogle Mapsといった既存ソフトウェアから派生したアプリケーションが中心だ。
Wall Street Journalによると、Googleでは今後、ゲームアプリケーションや、foursquareのようなソーシャルロケーションベースのサービスが開発される見込みであり、Google Checkoutの開発に携わったベンジャミン・リン氏が採用業務を統括している。
GoogleはAndroidで「NFC(Near Field Communication)」技術をサポートしてAppleの機先を制したが、今夏にはiPhoneも同技術に対応し、AppleのiTunes Storeとの相乗効果でNFCが一気に普及する可能性もある。
Appleはこれまでに7500万台前後のiPhoneを販売した。コンシューマーがiPhoneを通じてNFC機能を手に入れ、同端末が小さな財布の役割を果たすようになったらどうなるか想像していただきたい。
これはGoogleにとって困ったことになるだろう。同社も同じことをやりたいと考えているからだ。Android搭載端末で商品を購入できるようにすることで、ユーザーを自社のプラットフォームに囲い込みたいのだ。
プラットフォーム戦争は既に始まっている。しかも戦線は1カ所だけではない。Googleはソーシャルプラットフォーム戦線で米Facebookとも戦おうとしているのだ。しかしGoogleは3年前にAndroidを送り出すのに時間をかけすぎたために、Facebookの姿を見失ったのではないかと思う。
これはGoogleの重大な失策の1つとして記録されるかもしれない。恐らく同社はデスクトッププラットフォームをFacebookに譲り渡し(最近では誰もがGoogleではなくFacebookで検索している)、その代わりにAppleから奪ったモバイルプラットフォームの王座を維持することになるだろう。
企業向け情報を集約した「ITmedia エンタープライズ」も併せてチェック
Editorial items that were originally published in the U.S. Edition of “eWEEK” are the copyrighted property of Ziff Davis Enterprise Inc. Copyright (c) 2011. All Rights Reserved.
Special
PR