メモリとハードディスクを増量しIEEE 802.11gをサポート――日本IBM ThinkPad X40(3/3 ページ)

» 2004年03月23日 20時57分 公開
[長浜和也,ITmedia]
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 IBMの開発担当者は「X31よりも小型化軽量化を実現」と述べているが、X40でようやく1.3キロを切り、ほかのメーカーが投入している携帯重視型ノートPCと同程度にまで到達した。しかし、昔からのThinkPadユーザーが知っているような、「突出した軽さ」というレベルには達しておらず、それが、熱烈なThinkPadユーザーに、今ひとつ物足りなさを感じさせているようだ。確かに、同じ重量で2スピンドルノートPCが存在するし、14.1インチという大型液晶を搭載して1.5キロを切った製品も出現している。

 だが、ThinkPadの真価はカタログスペックに表れないところにある。それが、故障時にすぐに対応してくれる充実したサポート体制であり、また、「ThinkVantageテクノロジー」とIBMが呼ぶ、セキュリティー、信頼性、耐久性、操作性を向上させ、管理ソフトを削減する様々な技術の存在だ。

 X40にも、これらの技術をユーザーに提供する各種設定ユーティリティがインストールされ、専用ハードウェアが実装されている。これらの技術の反映がPentium Mの搭載や1.3キロを切る軽量化よりも、ユーザーがThinkPad X40の選択する理由として注目すべきだろう。

ThinkPad X40でサポートされた「IBM ハードディスク・アクティブプロテクション・システム」の設定ツール。この機能は落下した衝撃を感知してハードディスクの物理的破壊を防ぐもの。ただし、衝撃設定が鋭敏で乗り物の揺れで動作しないように、検知する衝撃の強さを設定したり、乗り物特有の揺れを無視するようにこのツールで設定できる
「ThinkPad 機能設定」ユーティリティに用意されたセキュリティーチップのタグ。ThinkPad X40にはハードウェアセキュリティのために、専用のチップ(セキュリティーチップ:TPM)を搭載している。初期状態でこの機能は利用できないが、IBMのサイトから専用ソフトウェアをダウンロードしてインストールすることで有効にできる。このほか、ThinkPad X40には、リカバリー用ユーティリティ「IBM Papid Restore Ultra」やプロジェクタ投影ユーティリティ「プレゼンテーション・ディレクター」など、使い勝手を向上させるユーティリティが多数用意されている

 携帯重視ノートPCの評価となると、「世界最軽量」「世界最薄」という数値がクローズアップされることが多い。そういう見方ではThinkPad X40に突出した優位性は見出せない。しかし、操作性、サポート、信頼性、安全性といった数値に表せない指標において、ほかのメーカーの競合製品はThinkPad X40にまだまだ追いつけない。数値になりにくいこのようなメリットは、紹介しにくくかつ把握しにくいものであるが、道具としてノートPCを使い込むユーザーにとって、この要素は高く評価すべきだろう。

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