「Viiv」PCをデジタルリビングの主役にしたいIntelIDF Fall 2005(2/2 ページ)

» 2005年08月26日 23時10分 公開
[本田雅一,ITmedia]
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日本でViivを待ち受けるハードル

 もっとも、日本ではすでにPCベンダー各社が多数のテレビパソコンを開発し、それぞれに改良を継続してきた。では日本でもViivはCentrinoと同様に成功するのだろうか?

リファレンスデザイン「Golden Gate」 Viivの小型リファレンスデザイン「Golden Gate」

 まず日本ベンダーの対応だが、ごく一部のベンダーを除く日本のPCベンダーは、来年第1四半期のViivテクノロジ立ち上げ時に対応PCを発表する予定である。ただし、どこまで本気で売り込むのか、製品ラインナップの中心に位置する製品になるのか、といった点は不明だ。

 ご存知のように日本のPCベンダーはリモコンによる10フィートユーザーインタフェースを独自に実装し、コンテンツのネットワーク配信などにも自社で対応してきた。ところがViivではWindows XP Media Center Editionが必要であり、その中には10フィートユーザーインタフェースが実装されている。

 Viivを採用すればトランスコード機能が付加できたり、さらにプレミアムコンテンツをDTCP-IPでセキュアに配信可能になるなどプラスの面もあるが、一方で自社の開発してきたソフトウェアとの整合性が取れなくなる。

 PCベンダーの一部は、自社開発のソフトウェアやリモコンと、Media Center Edition対応リモコンを同時にバンドルしておき、ユーザーが使い分けられるようにするといった対策を検討しているようだ。また、ごく一部のベンダーがViivの採用を見送ると書いたのは、Media Center Editionが強制になっているからだと聞く。北米ではWindowsのOEMライセンス出荷のうち10%を占めるにまで至り、店頭市場ではMedia Center Editionが当たり前になってきているが、日本では全く知名度がない。

Media Center Editionが必須な理由

 ではMedia Center EditionはなぜViivに必要なのだろう。

 これはViiv対応コンテンツとMedia Center対応コンテンツが、開発の枠組みとしては全く同一のものだからだ。Media Center向けのコンテンツとViiv向けのコンテンツには相互に互換性があり、同じAPIを用いている。

Viivデスクトップ 基調講演のデモで使われたViivデスクトップ

 実は今年初めまで、ViivはMedia Center Editionが無しでも成立するように開発されていた。Microsoftが上記API機能を実現する機能モジュールをViivプラットフォームドライバの一部として提供する予定だったためだ。Microsoft側も、Viivのプログラムが成功し、Media Centerに対応したコンテンツが増加すればメリットがある。

 しかし、Microsoft上層部の“強い要望”でMedia Center Editionが必須となってしまった。すでにMedia Centerが認知されている欧米ではViivの戦略にさほど影響しないが、日本ではこの点が不利に働くかもしれない。

 Microsoftは地上デジタル放送対応やユーザーインタフェースの改善などを盛り込んだMedia Center Editionの改良版を開発しているが、日本市場向けとされる改良部分が反映されるのはWindows Vistaの世代を待たなければならない。

 メーカーにとっても、Viivのマーケティングプログラムを利用し、業界全体として新しい家庭向けPCを盛り上げ、魅力的なコンテンツを呼び込みたいと考える反面、現在の路線を急激に変更するリスクもある。日本市場での成功は、Intelが日本のPCベンダーに対して、どこまで共同マーケティングプログラムを行うメリットを提供できるかにかかっている。

 Intelは将来、Viivをテレビパソコンのためのプラットフォームだけでなく、x86ベースのデジタル家電にまで拡げていきたい考えだ。将来、Viivのステッカーが貼られた家電製品が登場するかもしれない。しかし、その前段階としてテレビパソコンでの成功というハードルを越えなければならない。

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