さて、コーデックがなくてファイルが開けないという問題は、ファイルの提供側としてはあまり意図していないトラブル――つまりたいていの場合は利用者を困らせたくてやっているわけではない。そのため、ファイル名にコーデック名が書かれることもあるし、サイト上に利用コーデックがきちんと明記されていることも少なくない。
しかし、意図的にハードルを課しているケースもあるようだ。質問しても公然と無視されたり、あるいは「半年ROMってろ」などと異国のスラングで返答をされる場合に多い。こういうときは自分で何とかするしかない。
まずは拡張子が正しいかどうかをチェックしていこう。ファイルを開くさいには、実際の中身がどうであるかに関係なく、その拡張子に関連付けられたアプリケーションが起動する。そのため、本来のフォーマットとは異なる拡張子を付けられていると、誤ったアプリケーションが起動してしまう。
そこで登場するのが「極窓」だ。極窓は拡張子ではなく、ファイルそのものを解析してファイルフォーマットを判定し、正しい拡張子に変換できる。判別可能な拡張子は実に900種類以上にも及ぶ。もっとも、拡張子の判定は各フォーマットの特徴から行うため、すべてのファイルを開くことができるわけではなく、100%完璧な判別は不可能であることも頭に入れておいてほしい。
ほかにも極窓には、ファイルを分割・結合する、ファイル名を連番に変更する、ファイル一覧をテキスト出力する、CRC計算など、多くの機能を備える。各機能の関連性は薄いものの、もし仮に出所の不明な大量のファイルを管理する必要のあるユーザがいた場合には、彼(彼女)らにとって非常に便利なソフトの1つであるかもしれない。
極窓も真空波動研同様、拡張子の判別・変換のみに機能を限定した軽量版「WinExChange」が用意されている。こちらもSendToにショートカットを入れて使うのが便利だ。
だが、それでも開けないファイルもある。いや、開けるのだけれど、どうも違うような気がする。なぜ同じ画像ファイルばかりなのだ? なのにどうしてみんな「ありがとうございます」と礼を言うのだ? よく見たらファイルサイズがやたらと大きい気がする、というような不思議な現象が世の中にはあるようだ。
これは見かけのファイルと本当の内容が違う可能性が高い。たとえば父の日や母の日、家族や恋人の誕生日などに、普通にプレゼントを渡すのでは面白くない、どうせなら少し驚かせてみたい、あるいはラッピングにもこだわりたい、という気持ちに似ていると言えなくもない、かもしれない。そんなときは、拡張子はJPGだし、極窓で判別しても確かにJPEG、画像ビューワでも普通に開けるけれど、実はステキなプレゼントが隠されている、といったちょっとした仕掛けがお互いを幸せにしてくれたりする。
ただ、この世界ではその形式がメジャーになるといろいろ困ることになるため、横断的に利用可能なソフトウェアが登場すると、そのソフトウェアに対応していない新しい形式が登場する。そういった状況なので簡単に紹介することすら難しいのだ。興味のある方はインプラント(埋め込み)や偽装、といったキーワードで検索をかければ何かヒントが見つかるかもしれない。
さて、次回は「大事なファイルを自宅のPCに入れたまま忘れてきた!」なんて経験のある人に役に立つかもしれないソフトを紹介しよう。
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