レビュー
» 2006年08月25日 08時00分 公開

「ワンセグ対応1キロ級ノートPCを比較する」第4回:2スピンドル1キロノートの「ワンセグ受信感度」をチェック

3回にわたって行ってきた「LOOX T」「VAIO type T」「Endeavor NA101」の横並び比較。最終回はいよいよ“ベストチョイス”を決定する。

[富永ジュン,ITmedia]

ワンセグ放送の受信感度をチェックする

 ワンセグ放送の受信感度について3機種すべてに共通して言えることは、瞬断は頻繁に発生するものの、電波さえ受信できれば画像と音声はともにクリアで美しいということだ。しかし、遮蔽物に対するノートPCの向きによって受信状況が敏感に変化するため、ワンセグ放送を視聴しようとしている場所が繁華街やオフィス街に近いというエリア的な要因よりも、建物の多さや人通りの多さといった周囲の環境が重要となる。この評価作業においても、同じ屋内なのに窓際に近いと安定して電波を受信できたり、屋外でも背が高い建物がそばにあると電波の受信状況が悪くなったりと、その環境の及ぼす影響は複雑であった。電波を受信できる場所でもすぐ横を人が通り過ぎるだけで瞬断が起こっているほどだ。

 今回は、渋谷から吉祥寺を東西に結ぶ京王井の頭線の車内とその沿線の駅付近で、平日の昼間に電波受信感度の検証を行った。条件によってかんばしくない結果もでているが、それは筆者が選んだ場所が「偶然にも」受信状況がよくなかっただけで、ほんの数メートル移動するか、もしくは隣の店に入る、あるいは隣の席に座る、さらには曜日や時間帯を変えるだけでも状況はまったく変わってしまう可能性があることを、はじめにお断りしておきたい。

 まずは、結果を先に言ってしまおう。受信感度は良好な順に、LOOX T>VAIO type T>Endeavor NA101となった。LOOX TとEndeavor NA101は同じワンセグチューナーカードを利用しているにもかかわらず受信感度にかなり差が出ている。メーカーによるカスタマイズが原因なのか個体性能の差によるものなのか、あるいはまた別の理由によるものなのかが判然としないが、しかし、明らかに受信感度が異なっていたのは、この作業で確認された事実である。

屋外におけるワンセグ放送の受信状況

 周囲に木や建物などがほとんどない開けた公園では、3機種すべて受信感度は良好だった。チャンネルスキャンでは「611CH NHK携帯G・東京」「621CH NHK携帯E・東京」「641CH 日本テレビ」「651CH テレビ朝日」「661CH TBS」「691CH 東京MXワンセグ」の6局が検出された。電波が安定して受信できる場所(ベンチの上など)にノートPCを固定できるならば、画面や音声がとぎれることはほとんどなく、リビングに設置されているテレビと同じぐらい快適に番組を視聴できた。

 ただし、同じ屋外でも2階建ての戸建て住宅が中心の住宅街に入ると、スキャン時に検出されるチャンネル数が変化する。LOOX Tでは公園と同様に6局が受信可能だが、同じ場所でVAIO type Tは3局から6局、Endeavor NA101では4局から5局、まれに6局と、ほんの10メートル四方のエリア内でも検出できるチャンネル数にバラつきが出た。

屋内の窓際におけるワンセグ放送の受信状況

 2階建ての戸建て住宅が多い住宅街の中にある、2階建て住宅1階の窓際にぴったりとアンテナ部を寄せた状態で受信できたのは、VAIO type Tが1局、LOOX Tが3局、Endeavor NA101に至ってはほとんど受信できなかった。LOOX Tはその場で少し動かすと多少の瞬断はあるもののある程度継続して番組を視聴できる。同様にほかの2機種でも動かしてみたが、VAIO type Tは動かしている最中に受信ができなくなり。Endeavor NA101にいたっては、ごくまれに音声や画面が表示されることがあるものの音飛びや画面の固まりが頻発して番組の内容を理解できるレベルでの視聴すら不可能だった。なお、この状況はバルコニーに出た場合や下北沢駅付近の喫茶店などでも同じであった。

窓から離れた屋内におけるワンセグ放送の受信状況

 前述の2階建て住宅の窓から3メートルほど奥に入った室内では3機種ともにまったく受信できなかった。さらに「富士見ヶ丘駅」「下北沢駅」周辺の喫茶店を数軒回ってみたが、いずれの場所でも状況は改善されなかった。ただし、(今回は筆者自身が現地に赴いて検証する時間が取れなかったが)VAIO type Tに関しては東急東横線自由が丘駅付近の喫茶店において窓際の席でも窓から離れた席でもスムーズに受信できたという事例がある(VAIO type Tのレビュー記事を参照)。それと比べると、今回検証を行った井の頭線沿線ではワンセグ放送の電波状況が悪いということも考えられる。

移動する電車におけるワンセグ放送の受信状況

 電車で移動中の受信感度についてもチェックしてみた。最も受信感度がよかったLOOX Tでは、駅のホーム、停車時、走行時のいずれでも瞬断はあるものの、ひどい音飛びや画面が止まるということがなかった。番組中の場面や台詞の一部を逃すことはあっても、おおむね流れが理解できる状態で視聴は可能だ。ただし、ホームの両脇が線路になっていて、さらに線路沿いに建物が密集しているエリアでは、走行時だけでなく停車時でも電波がうまく受信できなかった。この点については、ほかの2機種も同じ傾向を見せたので、機種特有の電波受信性能というより地形的要因が強く影響しているものと考えられる。

 VAIO type Tでも、駅のホームや停車中の車内での電波の受信状況はおおむね良好だ。ただし、ホームに電車が止まった場合や人が多い場合には瞬断が起こる率がLOOX Tより高かった。走行中の電車内では高架のような条件がよいところではほとんど途切れることなく番組を視聴できたが、平地では電車が高速域に達すると画面や音が頻繁に停止した。こちらもなんとか視聴には堪えられるレベルだが、正直なところ快適とは言いがたい。

 Endeavor NA101は、高架駅のホームで音飛びなどがあるものの番組の内容が理解できるレベルでの視聴は可能だ。しかし、いったん電車に乗り込むと停車時でも画面が止まってしまう時間が増え、電車が走行を始めるとほとんど電波を受信できなかった。番組の内容が理解できないというレベルではなく、何の番組を放送しているのかすらもわからないぐらいだ。井の頭線全線でこのような状態だったため、少なくともこの路線では移動中に番組を楽しむことができないと判断せざるを得ない。LOOX Tと同じチューナーカードを利用しているにもかかわらずこれだけの差が出る要因が気になるところであるが、残念ながら、今回の評価作業においてそれを確認するまでにはいたらなかった。

ワンセグ放送の画質をチェックする

 表示されるワンセグ放送の画質は、LOOX TとEndeavor NA101が同程度、次いでVAIO type Tという結果になった。スポーツなど動きが激しい映像や字幕ではジャギーやブロックノイズが目立ってしまうが、内容が理解できないほどではない。全画面に引き延ばした状態でも3機種とも十分視聴に堪える画質と言える。

 ただし、この評価は電波の受信状況が大変良好で、かつ安定していることが前提となっている。実際の運用では、電波が弱かったり安定しなかったりという場所で利用することが多いため、動きが少ない場面でもブロックノイズが目立ってしまう。とくにVAIO type Tはほかの2機種と比べて目立ちやすい。引いた位置から映した人物の表情や小さめの字幕、ロゴなどはつぶれてしまって読み取れないことも多かった。

 LOOX TとEndeavor NA101は細やかな曲線や細い書体の字幕もくっきりと表現できている。先に紹介した受信感度の差からLOOX Tは安定した画質を得ることができるものの、Endeavor NA101はブロックノイズの発生頻度が多い。以下に各機種のワンセグ受信画面のキャプチャを掲載するので、見比べてほしい。

ワンセグ放送をそれぞれ全画面で表示した画面から同じ解像度の部分を切り出して並べている。場面は異なるが、人物の顔やスーパーの文字表示などで本文で紹介したそれぞれの特徴がよく分かる。左からLOOX T、VAIO type T、Endeavor NA101。クリックすると原寸で表示されるので参考にしていただきたい

いま選ぶ「ワンセグ対応2スピンドル1キロノートPC」は

 今回取り上げた3機種の中からベストチョイスを選択するならば、筆者はVAIO type Tを推したい。ワンセグ放送の受信性能、ワンセグ放送視聴ソフトの使い勝手、インタフェースなどで「今ひとつ」と感じる部分もあるが、ワンセグチューナーを内蔵している点やワンセグ放送の録画機能を備えている点など、ほかの2機種と比較して明らかに利便性が高い。また、1.27キロのコンパクトなボディに11.1インチワイド液晶ディスプレイと光学ドライブを搭載し、実働6時間以上ものバッテリー駆動時間を実現するなど一般的なモバイルノートPCとしての実力も十分だ。ただし、評価機の構成で30万円を超す価格は、ユーザーの購入しようとする気持ちを鈍らせてしまうかもしれない。

 ワンセグ放送の視聴性能を重視するならば、LOOX Tという選択肢も十分考えられる。ワンセグチューナーカードを持ち歩くわずらわしさが常につきまとう上にワンセグ放送の録画ができないなど不満はあるものの、画質、受信感度ともにほかの2機種を上回り「モバイルTV」の名前を冠するにふさわしい性能を今回の検証作業において示している。スペックを比較するとVAIO type Tより液晶ディスプレイのサイズは小さいのに本体は大きく重たいが、キーボードが打ちやすいことや、発色が鮮やかな液晶ディスプレイと本体に搭載されたステレオスピーカーなど、携帯利用を重視しながらもAV用途を意識した構成になっている点も評価できる。また、ファンレス構造で高い静音性能にも注目したい。

 Endeavor NA101は最新のIntel Core Soloやワンセグチューナーを搭載した2スピンドルの軽量ノートPCが22万円を切る価格で購入できるコストパフォーマンスの高さが評価できる。今回の検証作業では、ワンセグチューナーの受信感度や筐体の質感、液晶ディスプレイの画質などでほかの2機種と差がついてしまったところもあったが、上位の価格帯の製品と肩を並べるPCとしての性能の高さは素晴らしい。ワンセグ放送も利用できるベーシックな軽量ノートPCと考えればお買い得感も増すはずだ。予算の制約が厳しいときには最も現実的な選択肢となるだろう。

FMV-BIBLO LOOX T70S/VVAIO type T VGN-TX92PSEndeavor NA101
CPUIntel Pentium M 超低電圧版 773(1.30GHz)Intel Core Solo U1400(1.20GHz)Intel Core Solo U1400(1.20GHz)
BIOSPheonixPheonixPheonix
チップセットIntel 915GMS ExpressIntel 945GMS ExpressIntel 945GMS Express
ノース/サウスブリッジIntel 915GMS Express + ICH6MIntel 945GMS Express + ICH7MIntel 945GMS Express + ICH7M
L2キャッシュ2048Kバイト2048Kバイト2048Kバイト
メインメモリ容量512Mバイト (512Mバイト×1)1.5Gバイト (512Mバイト×1オンボード、1Gバイト×1)512Mバイト (512Mバイトオンボード)
規格DDR2 400 MicroDIMMDDR2 533 SO-DIMMDDR2 533 SO-DIMM
メモリスロット(空き)MicroDIMM×1(1)200ピンSO-DIMM×1(0)200ピンSO-DIMM×1(1)
ハードディスク容量60Gバイト80Gバイト30Gバイト
回転数4200rpm4200rpm4200rpm
型番MK6006GAHMK8007GAHTravelstar C4K60 Slim HTC426030G5CE00
光学ドライブMATSHITA DVD-RAM UJ-832SMATSHITA DVD-RAM UJ-832SMATSHITA DVD-RAM UJ-832S
ディスプレイサイズ10.6インチワイド液晶11.1インチワイド液晶12.1インチ液晶
解像度1280×768ドット1366×768ドット1024×768ドット
グラフィックスチップIntel GMA 900(チップセット内蔵)Intel GMA 950(チップセット内蔵)Intel GMA 950(チップセット内蔵)
グラフィックスメモリ最大64/128Mバイト(64/128Mバイトメインメモリ共有)最大128Mバイト(128Mバイトメインメモリ共有)標準8Mバイト(メインメモリ共有、最大128Mバイト)
サウンドチップRealtek HD AudioRealtek HD AudioRealtek HD Audio
光デジタル音声出力---
PCカードスロットTypeII×1TypeII×1TypeII×1
Expressカードスロット---
USBUSB 2.0×3(左側面×2、右側面×1)USB 2.0×2(左側面)USB 2.0×3(右側面×2、左側面×1)
IEEE13944ピン×1(左側面)4ピン×1(背面)4ピン×1(左側面)
ビデオ出力アナログRGB(左側面)アナログRGB(右側面)アナログRGB(左側面)
キーピッチ/ストローク約18ミリピッチ/約2ミリストローク約17ミリピッチ/約1.7ミリストローク約17.7ミリピッチ/約2ミリストローク
ポインティングデバイスタッチパッドタッチパッドタッチパッド
イーサネット10BASE-T/100BASE-TX(Realtek RTL8139/810x+D52)10BASE-T/100BASE-TX(Intel PRO/100 VM)10BASE-T/100BASE-TX(Marvell Yukon)
無線LANIEEE802.11a/b/g準拠(Atheros AR5006X)IEEE802.11a/b/g準拠(Intel PRO/Wireless 3945ABG)IEEE802.11a/b/g準拠(Intel PRO/Wireless 3945ABG)
Bluetooth-
FAXモデムv.92 56Kbpsモデムv.92およびv.90対応56Kbpsモデムv.92 56Kbpsモデム
バッテリ駆動時間約8.4時間(標準添付・内蔵バッテリパックL)約7時間約5時間
バッテリ充電約4.1時間(標準添付・内蔵バッテリパックL)約4時間約3時間
外形寸法271×209.5×24.3〜28.3ミリ272.4×195.1×21〜28.5ミリ281×237×32〜35ミリ(軽量バッテリ装着時)
重量1.37キロ(標準バッテリ・標準光学ドライブ装着時)1.27キロ(バッテリパック装着時)1.2キロ(軽量バッテリ・光学ドライブ装着時)
搭載OSWindows XP HomeEdition SP2Windows XP Professional SP2Windows XP Professional SP2
評価機の価格27万2800円30万4800円21万9555円

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

この記事が気に入ったら
ITmedia PC USER に「いいね!」しよう