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» 2007年01月09日 00時00分 UPDATE

イマドキのイタモノ:Core2 Quad Q6600は“みんなのKentsfield”になれるかな

マルチスレッド対応のエンコードソフトで圧倒的な処理能力を誇るクアッドコアCPU。そのエントリークラスになるCore2 Quadのパフォーマンスの迫る。

[笠原一輝,ITmedia]

 インテルが発表したCore2 Quad Q6600は、開発コードネーム“Kentsfield”で知られるインテルのコアマイクロアーキテクチャのクアッドコアCPUで、動作クロックが2.4GHzの製品である。すでに2006年の11月にエンスージアスト向けのクアッドコアCPUとしてCore2 Extreme QX6700をリリースしているが、今回発表されたCore2 Quadのシリーズはより一般的なユーザーを想定したメインストリーム向けに位置づけられている。今後もより低クロックの製品が予定されているなど、クアッドコアをより身近にするラインアップといえるだろう。

動作クロックは下がるが消費電力も削減されるCore2 Quad Q6600

 Core2 Quad Q6600の開発コードネームが、2006年11月に発表されたCore2 Extreme QX6700と同じ“Kentsfield”と呼ばれてきたことからも分かるように、両者の構造は共通だ。基本的な構造はCore2 Duoこと“Conroe”のダイをCPUプレートの上に2つ載せた「デュアル“デュアル”コア」というクアッドコアである点も同じならば、それぞれのダイが4MバイトのL2キャッシュを搭載しており、合計で8MBのL2キャッシュを搭載している点や、FSBが1066MHzである点など、主要なスペックはほぼ共通している。両者の数少ない相違点の1つが動作クロックで、QX6700が2.66GHzで駆動されているのに対して、Q6600は2.4GHzで駆動されている。その構造がほぼ同じで動作クロックが下げられているあたり、Q6600は、QX6700の低クロック版と考えることができる。

 ただし、クロックが下がったことで消費電力も下がっているのは地味ながら重要な相違点と言える。VIDと呼ばれるCPUの駆動電圧は1.325ボルトと、QX6700の1.38ボルトから若干下げられている。当然、電圧の2乗に比例して減っていく消費電力もQX6700に比べて削減されていることになる。このおかげで、熱設計消費電力(TDP)とPCの設計で開発者が参考にするピーク時の消費電力は、QX6700が130ワットとNetBurat世代のCPU並みに達していたのに対して、Q6600は105ワットに下げられた。

実は大きな変更点──Intel P965でも動作保証

 QX6700との大きな違いとして挙げられるのが、サポートされるインテルチップセットにIntel P965が追加されたことだ。

 QX6700で公式にサポートされていたチップセットがIntel 975XだけだったQX6700は、Intel 965ファミリーのチップセットやサードパーティのチップセット(例えばnForce 680i SLIなど)ではマザーボードベンダやPCメーカーが独自に保証を行う必要があった。自作PCユーザーであれば、マザーボードベンダが動作保証をしてくれれば問題ないが、PCメーカーの場合には「インテルが動作を公式に保証している」ことが非常に重要な要素となる。そのため、大手のPCメーカーの場合、インテルが正式な稼働保証を与えていないパーツを製品に搭載するのが難しい状況にある。

 製品の信頼性を確保するのと同時にコストも意識しなければならないPCメーカーにとって、Intel 975Xというのは非常に微妙なチップセットである。ハイエンド向けのチップセットであるのに新しいメモリ規格のDDR2 800には正式に対応していない(実際には動作するように設計されているが、インテルは動作の保証をしていない)し、ハイエンドユーザーに注目されているマルチGPUのt対応も、AMD(旧ATI Technologies)のCrossFireはサポートするが、市場で圧倒的なシェアを誇るNVIDIAのSLIには対応していない。それなのに、PCメーカーとしては困ったことにチップセットの価格が高いという問題点がある。

 しかし、Q6600がIntel P965でも動作が保証されているので、PCメーカーはIntel P965とQ6600の組み合わせで価格を抑えた製品ラインアップでクアッドコアCPUを搭載した製品を出荷できる。このおかげで、これからPCメーカーがクアッドコアCPUを搭載した製品を出荷する登場する可能性がでてきたといえるのではないだろうか。

QX6700の「ひとつ下」になるQ6600

 それでは、実際にベンチマークプログラムを利用して、Core2 Quad Q6600のパフォーマンスを見ていきたい。ベンチマークは、筆者が一連の連載で使用しているものを用いた。テストのシステム構成も基本的には2006年6月以降に掲載した記事と同じ環境(グラフィックスカード、HDD、ドライバなど)なので、今回のグラフに掲載されていないCPUとの比較も参考にしてほしい。

 すでに述べたように、Core2 Quad Q6600は、Core2 Extreme QX6700の低クロック版ともいえる性格を有しているので、ベンチマークの結果も「QX6700から1グレード動作クロックを下げたような結果」というのが正しい表現になるだろう。ほかのCPUと比較した優劣の傾向を見てみても、マルチスレッドに対応した処理、例えばエンコードのような処理ではクアッドコアのメリットが如実に表れるが、マルチスレッドには対応していないオフィス系アプリケーションを使ったベンチマークの結果は同クロックのデュアルコアとほぼ同じになる。

 なお、消費電力に関しても、システムレベルで比較してみると、Q6600はQX6700に比べて下がっていることが明らかに分かる。アイドル時もそうだし、エンコード時や3DMark05などアプリケーションでCPUの処理能力をフルパワーで利用している状態でもその傾向は変わらない。もちろんデュアルコアのCore2 Duoに比べると高いが、これは4つのコアが動いていることを考えれば、やむを得ない。

テストシステム構成
CPUAthlon 64 FX/X2Core2 Extreme/Core2 Quad/Core2 Duo/Pentium XE
チップセットnForce 590 SLIIntel 975X
マザーボードASUS M2N32 DeluxeD975XBX2
メモリDDR2-800DDR2-667
メモリモジュールPC2-6400(5-5-5)PC2-5300(5-5-5)
容量1GB
ビデオチップNVIDIA GeForce 7900 GT
ビデオメモリ256MB
ビデオドライバNVIDIA ForceWare 90(v91.03)
標準解像度1024x768ドット、32ビットカラー
ハードディスクWesterDigital WD360
フォーマットNTFS
OSWindows XP Professional+ServicePack2+DirectX9.0c

kn_qx66sys2k4op.jpg SYSmark2004 SE Office Productivity
kn_qx66sys2k4icc.jpg SYSmark2004 SE Internet Content Creation
kn_qx66tmpg.jpg TMPGenc 4 Xpress(MPEG2toMPEG4 AVC 3Mbps)フレームレート

kn_qx66tmpg2wav.jpg TMPGenc 4 Xpress(MPEG2 to WMV 3Mbps)フレームレート
kn_qx66cine.jpg CineBench 2003
kn_qx663d06scr.jpg 3DMark06 総合

kn_qx663d06cpu.jpg 3DMark06 CPU
kn_qx663d05scr.jpg 3DMark05 総合
kn_qx663d05cpu.jpg 3DMark05 CPU

kn_qx66dom3.jpg DOOM3(timedemo demo1、HighQuarity)
kn_qx66ffxi.jpg Final Fantasy XI Official Benchmark 3 Version 1.0
kn_qx66power.jpg システム全体の消費電力

これから低価格化していくクアッドコアCPUに期待

 以上のように、Core2 Quad Q6600は、Core2 Extreme QX6700の低クロック版ともいえるCPUで、処理能力は下がるがその分消費電力は減っている。消費電力は気になるけど、クアッドコアが使いたいユーザーには有力なな選択肢となるだろう。

 価格はリリース時点で851ドルとなっている。日本円で10万円前後というところだろうか。価格帯としては、Core2 Extremeとほぼ同等で、そういう意味ではせっかくのCore2 Quadのラインアップなのにメインストリーム向けとはいえない。しかし、情報筋によれば、インテルは第2四半期に価格改定を予定しており、このQ6600の価格帯を500ドル前後まで落としてくる可能性があるという。さらに、第3四半期には“Q6400”という動作クロックが2.13GHzのSKUも投入する予定になっている。こちらはCore2 Duoの上位モデルの製品と同じ価格帯の500ドル以下に設定される可能性が高いという。このような製品の投入により、クアッドコアは自作PCユーザーにとっても、そしてPCメーカーにとってもより導入しやすくなると思われる。絶対数が多いメインストリームのユーザーにとっても現実的な選択肢としてクアッドコアCPUが検討できるような製品が続々でてくることになるだろう。

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