LOOX Uのキーボードはどこまで使える──富士通「FMV-BIBLO LOOX U50WN」(1/3 ページ)

» 2007年06月18日 15時00分 公開
[長浜和也,ITmedia]

まずは「親指タイプ」でキーボードをチェックする

 富士通のUMPC「FMV-BIBLO LOOX U50WN(以下、LOOX U)は、単なるUMPCではなく、「国内大手PCメーカー製UMPC」「クラムシェルも可能なコンパーチブル筐体」「Intel Ultra Mobile Platform 2007採用」といった注目すべき特徴をもった製品だ。LOOX Uは富士通の直販サイトWEB MARTのみの限定販売で、価格は最小構成で13万9800円であるが、無線LANモジュールを追加すると14万4800円となって、これでようやく最低限使える仕様になる(メモリ容量を1Gバイトにするか、HDDを40Gバイトにするか、外付け光学ドライブを追加するかはユーザーによって判断が分かれるところだろう。携帯利用を重視するユーザーは大容量バッテリーも追加したいと考えるかもしれないが、重量増を考えると、あまり得策といえないかもしれない)。

 UMPCやサイズと重さがUMPCに近い(ただし価格は高い)製品として、これまでPC USERで紹介してきた「SmartCaddie」にしても「OQO model2」にしても「Mininote」にしても「VGN-UX50」にしても、基本形はスレートタイプで、一部の製品(VGN-UXシリーズにOQO model 2)は液晶ディスプレイがスライドしてキーボードが姿を現す筐体を採用している。クラムシェルにもなるコンパーチブルなUMPCは、IDFなどの技術イベントで展示はされていたものの、製品として日本で出荷されるのはLOOX Uが初めてとなる。富士通のリリース資料では、筐体を両手で抱えるように持ち、親指でキーボードを打鍵するシーンが紹介されているが、製品を説明してくれた富士通のスタッフは「机に置いて両手で打鍵するのがいいですね」とも説明している。はたして、どちらの体勢が使いやすいのだろうか。

 身長172センチの成人男子がLOOX Uを両手で抱えた場合、しっかりと抱えている状態(筐体の側面を親指と人差し指の間で支える状態)でも親指はキーボードの中ほどまで届くが、上のほうにあるキー(QWERTY列や数字列のキー)を打鍵しようとすると指の動きはやや苦しくなる。浅めにグリップした状態(筐体の側面を人差し指の付け根で支える状態)で、なんとか打鍵できるようになる。

 この体勢で気になるのが液晶ディスプレイの角度だ。自然な手首の角度で筐体を持とうとすると、首をやや下げPCに視線を落とした状態で液晶ディスプレイがユーザーの顔を向くには、筐体と液晶ディスプレイは少なくとも180度開いているのが望ましい。しかし、LOOX Uは液晶ディスプレイを180度まで開くことができない。ディスプレイがやや下を向いてしまうので、筐体を抱えた手首を外側に倒すような動きが必要になる。手前に倒すぶんには自然な動きとして許容できるが、外側に倒すと「筋を伸ばす」動きとなるため、ストレッチ運動としては好ましいが自然な動きとしてはストレスがかかってしまう。この体勢で長い時間親指タイプをするのはつらい。

両手でLOOX Uを抱える。この姿勢はLOOX Uを顔の辺りまで掲げているが、胸の前に持った状態ではもっと下の位置にあって、ユーザーはLOOX Uを見下ろすようになる
LOOX Uの液晶ディスプレイを最大に開いた状態。180度までは開かない

 液晶ディスプレイをひっくり返してスレートタイプのPCとして使う場合、その姿勢は「片手で筐体を支えもう片手でスタイラスを持ってタッピング」となる。LOOX Uはディスプレイ表示を回転させる専用ボタンを用意しているので、画面を回転させて縦長横長どちらでも容易に使い分けが可能だ。

 カタログスペックにある重さ580グラムというのは、例えばVAIO type U VGN-UXシリーズの520グラムと比べて重いのだが、手にしてみるとその重さを数値ほどに感じなかったのは意外であった。筐体短辺も133ミリとそれほど長くないため(これもVGN-UXシリーズの100ミリと比べて長いのだが意外にも苦にならない)、画面表示を縦長にして片手で持つと自然な姿勢でLOOX Uを使える。また、横長表示にした場合でも、両手で持つ体勢にすれば、ポインティングデバイスのスティックとクリックボタンがディスプレイ上部に配置されるため、こちらも筐体の重さを手のひらで受けながら、親指の自然な動きでポインティングデバイスを操作できる。

 LOOX Uのディスプレイは感圧式のタッチパネルを組み込んでいるので、筐体内蔵のスタイラスでなくとも指先でタップすれば操作が行える。ソフトウェアキーボードも導入されていて、これも専用のボタンを使えばワンアクションで呼び出せる。タップ操作でもかなりの操作ができると思うのだが、試作機ゆえかタッピングポジションの精度が低くてスムーズな操作が出来なかった。LOOX Uの液晶ディスプレイは5.6インチワイドのサイズで1024×600ドットの解像度を表示できる。4.5インチのワイドディスプレイで1024×600ドットを表示するVGN-UXシリーズよりドットピッチはゆるいはずだが、それでもタッピングには精度が求められる。評価機では、アイコンのタップは難なくできるもののリスト表示させたフォルダでファイルを選択したりソフトキーボードでタッピングをしたりするのは困難であった(このあたりの使い勝手は製品版で改善されている可能性が高い)。

液晶ディスプレイを裏返してスレートタイプのPCとして使うことも可能。感圧式のタッチパネルが組み込まれているので、内蔵のスタイラスや指先で操作できる
画面表示の回転は液晶ディスプレイ下に用意された専用ボタンですばやくできる。縦置きするとそのフットプリントは文庫本より一回り大きいサイズで済む

LOOX Uは5.6インチワイド液晶ディスプレイに1024×600ドットの解像度で表示する。スレート状態ではソフトウェアキーボードも利用できる。これも専用の呼び出しボタンが液晶ディスプレイの下に用意されている(記事掲載当初、解像度の記述に誤りがありました。おわびして訂正いたします)

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