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» 2007年11月12日 12時16分 UPDATE

5年後の秋葉原を歩く 第9回:アキバが世界の“聖地”になる日――観光都市として見る秋葉原 (1/3)

日本にいると気づきにくいが、アキバは世界有数の電気&サブカル街として、海外での評価が高い。今回は観光地としてのアキバの将来像を探っていく。

[古田雄介,ITmedia]
og_akiba5_001.jpg 中央通りに停まる観光バス。平日でも多数の外国人がアキバを訪れている

 アキバで外国人を見ない日はない。中央通りに大型観光バスが停まり、十数人の外国人ツアー客が列をなしている光景は、もはやおなじみだ。家電製品を大量に購入する中国や韓国の観光客は昔から多かったが、最近では欧米人がフィギュアの詰まった紙袋を両手に抱え、歩行者天国となった中央通りでメイドさんを撮影している光景もよく見かける。

 この著しいアキバの国際化には、国土交通省が展開する「ビジット・ジャパン・キャンペーン」が関係している。その内容は、2010年までに訪日外国人旅行者の年間1000万人達成を目標に掲げており、世界有数の電気街であるアキバも重要拠点と目されているのだ。

 このプロジェクトの推進を支援している日本ツーリズム産業団体連合会(TIJ)は、観光地としてのアキバを重要視しており、外国人観光客向けの無料ガイドツアー「秋葉原新発見ツアー」を05年11月より開始し、07年7月から通年化。2008年以降も、アキバを外国人に紹介する活動を積極的に行っていく予定だという。

 観光地として秋葉原が国の期待を背負う一方、JR駅前の再開発によってオフィス街化していくという懸念もある。今後の“アキバ”が進む方向はどちらなのだろうか。今回で9回めを迎える「5年後の秋葉原を歩く」では、観光地としてのアキバの未来を、TIJの田所氏とNPO秋葉原観光推進協会の宝田氏に聞いた。

フィギュアやアニメグッズを求める欧米人が増加

――秋葉原新発見ツアーが今年から通年化されていますね。そのきっかけは何でしたか?

og_akiba5_002.jpg TIJ 事業部 部長 田所 俊彦氏

田所氏 参加者の声です。このツアーは2005年11月にスタートしましたが、今年までは特定の期間しか実施していませんでした。しかし、過去の参加者にアンケートを取ったところ、通年化の要望が高かったため、今年の7月7日から毎週土曜日1回というかたちで催行しています。7月から9月までの参加者は約180人で、予想以上に多かったです。

――普段、秋葉原の街を歩いていても気づかないのですが、海外から見た“アキバ”はそれだけ魅力的ということでしょうか。

宝田氏 秋葉原はオリジナリティが非常に強い街なので、新宿や京都にはない魅力があると思います。秋葉原に近い存在というのは、例えを挙げるのが難しい。(その独特の蓄積を)何十年も経てできた街ですから。

――秋葉原の観光地としての知名度はどれくらいですか?

田所氏 JNTOの統計によると国内で10番めくらいです。ただ、秋葉原というのは極めてユニークなエリアで、世界中探してもこんな街は多分ないでしょう。新しいモノと古いモノ、それから整然としたものと雑多なもの、それらが700メートル四方の限定された狭いエリアに凝縮されていて、いろいろなことを体験でき、楽しめる。ある意味では、街全体が1つのテーマパーク化していますよね。

――その知名度は昔からあったのでしょうか?

og_akiba5_003.jpg NPO秋葉原観光推進協会 宝田 裕美子氏(宝田無線電機 取締役)

宝田氏 もともと秋葉原はショッピングの街として、外国人のかたも免税店などをめあてに買い物に来るというイメージはありました。それがここ2〜3年でポップカルチャーの要素が加わり、免税以外でも秋葉原に来る外国人のかたが増えたと思っています。

――売り上げの割合でも、フィギュアやアニメグッズが上位に食い込んでいる状況ですか?

田所氏 単価でいえばデジカメを中心とした電化製品が圧倒的に高いです。ただ、個数でいうとフィギュアのほうが出ている可能性はありますね。

――購入する製品によって外国人の国籍にも違いが出てくるものですか?

宝田氏 電化製品は圧倒的に中国のかたが多いです。最近増えてきたのはインドやブラジルのかた。いわゆる“BRICs”の国々ですね。ポップカルチャーは、アジアより欧米です。アメリカの人だと、家電製品は買わないけどフィギュアを購入するという人は多いです。

――PCパーツを購入する外国人は少ないですか?

宝田氏 うーん、目立った動きはないですね。PCパーツショップの多言語化対応がやや遅れているのもあるかとは思いますが……。

――なるほど。ちなみに、宝田無線ではどれくらいの言語に対応しているのですか?

宝田氏 16くらいです。

田所氏 ひとつのお店が16カ国語の対応ができるっていうのは、多分日本のほかのエリアではあり得ないですよ。普通5カ国語くらいでも十分だということになります。そういう意味でも、秋葉原は日本の最先端エリアだと思います。

――それは宝田無線だけの特徴ですか?

宝田氏 いや、免税店はだいたい多言語に対応していますよ。15年前くらい前から中国語と韓国語に対応する店が増えはじめ、ニーズに合わせて種類を増やしていった感じです。扱う商品によって訪れる外国人の国籍も変わってくるので、お店のジャンルによって差はあると思います。

og_akiba5_004.jpgog_akiba5_005.jpg 秋葉原駅付近の中央通りに立ち並ぶ免税店(写真=左)。中央通りに比べてPCパーツ密集地には、あまり外国人観光客の姿を見かけない(写真=右)

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