“モバイルノートで大型化”は英断か――「LOOX R」の真価を問う新型Core 2 DuoはAirだけじゃない!(2/4 ページ)

» 2008年02月15日 11時00分 公開
[前橋豪,ITmedia]

モバイルノートで求められる長時間駆動と堅牢性にも注力

 バッテリー駆動時間を強化しているのも見逃せない。付属の内蔵バッテリーパックLは7.2ボルト 8700mAhの大容量になっており、駆動時間はLOOX T70X(10.8ボルト 5800mAh)の約10.3時間から約11.7時間に延びている。バッテリーの大容量化はそのまま重量にはね返ってくるため、液晶を大型化したうえでボディを軽くし、さらに駆動時間を延ばしているのは見事だ。ちなみにオプションでは、容量が7.2ボルト 5800mAhの軽量バッテリーを用意。こちらを装着した場合は、駆動時間が約7.5時間に短くなる代わりに、重量を約1.18キロまで軽量化できる。

 厳密にいえば、LOOX T70Xは光学ドライブの代わりにオプションの増設バッテリーを装着することで最長約13.8時間の駆動時間を実現できたが、そこまでの長時間連続運用が求められるケースは多くないだろう。今回、誰もが使う標準バッテリーの駆動時間が延びている点は、素直に喜びたい。

 ただし、LOOX R70Yではユーザーが光学ドライブを自由に取り外して軽量化できるモバイルマルチベイ構造自体が省かれており、光学ドライブは本体に固定されている(直販モデルで購入時に光学ドライブを非搭載にすることは可能)。個人的にこの手の機種は光学ドライブを常に装着した状態で使うことが多いため、固定式の光学ドライブに不満はないが、着脱式ベイ構造の廃止を残念に思うユーザーもいるだろう。

底面に7.2ボルト 8700mAhのリチウムイオンバッテリーを用意(写真=左)。ACアダプタはスティック型で、サイズが30(幅)×132(奥行き)×29(高さ)ミリ、重量が約248グラム。右側面の手前にDVDスーパーマルチドライブとTypeII×1のPCカードスロットを配置(写真=中央)。PCカードスロットに装着するカードがDVDスーパーマルチドライブのトレイと干渉しないように注意が必要だ。従来のLOOX Tでは、着脱式のモバイルマルチベイ構造を採用していた(写真=右)

落下時の加速度や振動などを感知するセンサの設定が行えるユーティリティ「Shock Sensor Utility」

 LOOX R70Yは、満員電車の中で圧迫されても耐えられるように堅牢性も重視されている。LOOX T70Xと同様、天板への全面加圧試験は約200kgf、一点加圧試験は35kgfをクリア。そのほか、底面局部への加圧、液晶ガラスへの加圧、液晶ディスプレイの開閉耐久性、液晶ディスプレイを急いで閉じる動作による衝撃、さまざまな角度からの落下といった試験を実施した。

 さらに、PC内部へ水滴が入りにくいようにバスタブ構造のキーボードを採用し、3D加速度センサが本体落下などの異常な動きを感知してHDDの磁気ヘッドを退避させる「HDDプロテクション」機能も備えるなど、とにかく“頑丈なLOOX”をアピールしている。

 無論、こうした試験は製品の開発評価時に行うもので、実際の製品における信頼性を保証するものではないが、具体的な数字の開示には安心感がある。実際は、手で軽く押しただけでへこむ天板や、片手で持つとたわむパームレスト右側の強度に不安を覚えるかもしれないが、パナソニックの「Let'snote」シリーズに代表されるように、あえてボディ内に空間を設けて軽さと強度を両立させる手法なので、実際の強度に問題はなさそうだ。

 従来のLOOX T70Xでは「薄くフラットなボディ構造」にこだわっていたが、LOOX R70Yではボディの大型化にともなう重量増を防ぎつつ、堅牢性も維持するため、軽さと強度の両方を犠牲にしないで済む「厚みのあるボディ構造」に方向転換したのだろう。詳しくは後述するが、この余裕のあるボディサイズは放熱性や静音性の向上にも一役買っており、将来的により発熱量の大きいCPUを搭載することも想定していると思われる。

ゆとりが生まれたディスプレイとキーボード

12.1インチワイド液晶ディスプレイは1280×800ドット表示で、LEDバックライトを採用する

 前述の通り、液晶ディスプレイは10.6インチワイド(1280×768ドット表示)から12.1インチワイド(1280×800ドット)に大型化された。12インチクラスの液晶ディスプレイはビジネス向けモバイルノートPCで標準的なサイズだ。解像度こそ縦方向に32ドット増えただけだが、ドットピッチが0.180ミリから0.204ミリに拡大されたことで、同じサイズのアイコンや文字でも一回り大きく表示されるようになり、視認性は向上している。

 画質に関しては、光沢仕様のスーパーファイン液晶なので特に屋外では外光が反射しやすいが、表面に低反射処理が施されていることから、鏡のように周囲の風景が映り込むことはない。十分な輝度とコントラストを備えており、手元の輝度計で最大輝度設定の画面を計測したところ、約301.3カンデラ/平方メートルだった。輝度は8段階に調整でき、下から4段階めに設定すると大体100カンデラ/平方メートルになる。薄型軽量ノートPC用のTNパネルゆえに上下の視野角はやや狭く、暗部はつぶれやすいが、総じてモバイルノートPCとしては良好な表示品質だ。

ワイド液晶ディスプレイ、キーボードユニットともに本体の幅ギリギリのサイズに収めることで、操作性と設置性の両面に配慮している

左がLOOX T70X、右がLOOX R70Yの液晶パネル。いずれも厚さ約3ミリの薄型パネルを採用するが、LOOX R70Yのパネルは左右のフレーム部が1ミリ薄い約3ミリとなっている。重量は、LOOX T70Xのパネルが約147グラム、LOOX R70Yのパネルが約156グラムとどちらも軽い

キーボードのレイアウトとタッチパッドのサイズには余裕がある

 ボディの大型化は入力環境にもゆとりを与えている。キーボードは主要キーのピッチが横18ミリ/縦16ミリと縦方向が少し短いため、タッチタイピングには慣れが必要だ。とはいえ、変則的なキーピッチは見あたらず、カーソルキーは一段下がっており、ファンクションキーがLOOX T70Xより大きくなるなど、全体的なレイアウトに無理はないので扱いやすい。LOOX T70Xよりパームレストが長くなって手首を置きやすくなったのも好印象だ。

 ただし、キーボードユニットは中央部が若干たわむほか、両側のキーを打つとベース部が少し沈むため、タイプする指の力が強いユーザーはこの辺りが頼りなく思えるかもしれない。キーストロークは約2ミリと標準的なスペックで、クリック感は比較的軽めだ。

シナプティクスの多機能ドライバにより、コーナータップやエッジモーションの設定が可能

 タッチパッドはLOOX T70Xより約160%大型化し、サイズが70(幅)×43(高さ)ミリとなった。広々とした操作領域に加えて、おなじみのシナプティクス製の多機能ドライバが導入されており、使い勝手が向上している。もっとも、手が大きなユーザーの場合、大きめのタッチパッドの端を意図せずに触れてしまうことがありそうだ。また、左右のクリックボタンは平面的なデザインで小さく、ストロークが浅いため、押したときに物足りなさがあった。

 キーボードの上部には4つのワンタッチボタンが設けられており、左からSupport(サポートソフトの起動)、省電力(省電力モード切り替え)、プレゼンテーション(外部映像出力への切り替え)、Internet(IE7の起動)の順に並ぶ。Support以外のボタンはほかのプログラムの起動を割り当てることも可能で、必要に応じてカスタマイズすれば、携帯利用時に重宝するだろう。

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