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» 2009年08月27日 04時45分 UPDATE

“MADE IN TOKYO”とは何か:東京仕様は“漬け物石”──日本HPのPC生産拠点、HP昭島工場に潜入してみた (1/3)

日本HPのデスクトップPCは“MADE IN TOKYO”。2009年に国内生産10周年を迎えた。なぜ国内生産なのか、製造拠点の昭島工場でその理由を探る。

[岩城俊介,ITmedia]

国内生産10周年、なぜ「国内」なのか

photo 日本HPデスクトップPC製造拠点の昭島事業所

 「MADE IN TOKYO」──。日本ヒューレット・パッカード(以下、日本HP)のPCに、このようなラベルが貼られている。同社のコンシューマー向けデスクトップPC「HP Pavillion」シリーズをはじめ、ワークステーション「Z Workstation」、ビジネス向けデスクトップPC、インテル系システムを採用するサーバ、ブレードサーバなどは、東京・昭島市にある日本HPの昭島事業所(昭島工場)で生産され、全国に出荷されている。この昭島工場で作られた製品が「MADE IN TOKYO」である。

 「国内生産は旧Compaq時代、何もないところから始まった」(岡副社長)という、東京・あきる野市で国内生産を開始した1999年7月から、「(2002年の旧Compaqとの合併により)なぜ人件費が安い海外で生産しないのかと一時期、閉鎖の危機もあった」(清水事業所長)2002年、現昭島工場に移転した2003年、コンシューマー向けデスクトップPCの生産を開始した2007年3月などを経て、日本HPの“MADE IN TOKYO”は2009年7月で10周年。工場所在地である東京都昭島市の佐藤清副市長らを招き、東京生産10周年記念式典が行われた。

 「なぜ、国内生産にこだわるのか。当時、生産コストを減らすために生産業務は海外に移管するのがトレンドでしたが、HPは逆に、日本で生産することにこだわった。これは、国内ユーザーに販売する製品について、品質はもちろん、日本ユーザーの要望や感性にきちんと応えられるものを短納期で提供するためです」(岡副社長)

photophotophoto 「“MADE IN TOKYO”とともに、今後、ユーザーさんにとって“もっと身近なメーカー”になりたい」(日本HPの岡隆史取締役副社長執行役員)。国内生産体制構築のための取り組み(右)
photophotophoto 日本HP昭島事業所はコンシューマー/ビジネス向けデスクトップPCとワークステーション、インテル系サーバなどを生産する(左)。同社の場合、人件費が安い海外生産とした場合よりトータルコストが抑えられるという(中)。旧DEC、旧Compacから続く東京生産10年の歴史。旧Compaq(赤)からHP(青)の基幹システムに移行時(この時期はパープル期と呼んでいるようだ)に国内生産をやめるか否かの危機もあったという。2009年5月に累計400万台出荷に達した(右)

 国内で生産すると、人件費は確かに他国生産より高い割合を占める。これは現在も1999年時点も同じだ。ただ、国内で生産すれば生産リードタイムを加えて“5営業日納品”と短納期を実現できる以外に、旧DEC(Digital Equipment)との合併と相まったきめ細かいCTO生産体制を用意でき、かつ販売店在庫の低減や顧客要求への詳細対応、そして完成品の総輸送コストを(国際輸送費が不要なので)低減できる。メーカーも効率のよい生産体制を構築できると判断した。

 なお、2009年現在におけるHPのビジネスモデル「短納期・CTO/BTO・高品質」においては、海外(中国)の工場で行うと想定しても、特に航空貨物費や追加検査・リワークなど品質関連コストの大幅削減が寄与し、現在はトータルコストを約8割ほどに低く抑えられるようになったという。この多品種・少量生産の完全注文仕様生産モデルを基本に、10年の国内生産で企業向けデスクトップPCは国内シェアが約2倍の19.5%、2007年3月に昭島工場で生産を始めたコンシューマー向けデスクトップPCも、約2年で国内シェアほぼゼロから4.5%を得るほどに伸張した。「この早いペースでの成長は、この工場からユーザーさんが満足いただける製品をきちんと提供できていることを示すと思います」(岡副社長)

photophotophoto 「地域に根ざした工場に」をスローガンに、昭島市へのPC寄贈や子ども向けのPC組み立て体験教室の実施(2009年は、10月1日に実施予定)のほか、就職活動を行う学生やスポーツ選手・大会へのスポンサーシップなども積極展開していく(左、中)。左から日本HP昭島事業所の清水直行所長、岡副社長、昭島市の佐藤清副市長、昭島市教育委員会の木戸義夫委員長(右)
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