東京仕様は“漬け物石”──日本HPのPC生産拠点、HP昭島工場に潜入してみた“MADE IN TOKYO”とは何か(2/3 ページ)

» 2009年08月27日 04時45分 公開
[岩城俊介,ITmedia]

6メートルほどの製造ラインで1日に5000台以上製造

 日本HP昭島工場は、コンシューマー向けデスクトップPC「HP Pavilion」シリーズとビジネス向けデスクトップPC、パーソナルワークステーション「Z Workstation」シリーズ、インテル系サーバ/ブレードサーバの生産とシステムインテグレーションやシステムラッキングなどのサービスを行う拠点として展開する。ちなみに、ノートPCやディスプレイは千葉・原木倉庫、プリンタは東京・大井倉庫が拠点になっている。

photophotophoto デスクトップPCの組み立てラインは6メートルほど。短いライン構成で迅速な生産を行う「ショートライン方式」を採用する。日本ユーザー向けの昭島工場ではアジア全体出荷数の約4分の1を生産する

 昭島工場は計3フロア分のスペースで、生産部材の保管、製造ライン、入荷・出荷作業のすべてをまかなう。フロアは天井にずらりと整列して並ぶ蛍光灯の多さに目がくらむほど広大だが、それでも他拠点と比べると小規模とのことだ。

 ちなみに、デスクトップPCやワークステーションはHPならではの多彩なCTOメニューにより、組み合わせが3万通り以上もあるが、この仕様ごとに6メートルほどの製造ラインで1日に5000台以上製造してしまう。オーダーの9割は5台未満、このうち7割は1台口のようで、ラインに流れているPCは1台1台どこか異なる仕様であることが伺える。使用する部品は逐次バーコードで管理し、各所・各段階で行う合否チェックにパスしないと次に流せない体制などのため、誤った仕様のまま素通ることはない。ここが他品種・少量生産体制をミスなく高い効率のまま確立する、同社ならではの10年蓄積された強みだ。

photophotophoto ユーザーがよく見かけるCPUやOS、シリアルナンバーや注意点などの各種ラベルシールは、オーダー仕様に応じて「必要なものだけ」1台に1セットずつ印刷される仕組みだ。そのため、ユニークなシリアルナンバーなども誤りなく管理できる

 生産プロセスは、6メートル長の製造ライン上で数人の分担で組み立てを行い、診断プログラムによるハードウェア構成チェックや機能検査を行う初期動作試験(約15分〜20分)、診断プログラムによる連続動作試験(約2時間〜2.5時間)、OSやアプリケーションのソフトウェアインストール、内部目視検査やユーザーの使用環境を想定した抜き取り検査を経て、梱包して出荷される。

 手作業で組み立てられる製造ラインに対し、後に移動する動作テストブースに人はほとんどいない。マシンに電源ケーブルとネットワークケーブルのみが接続され、ネットワークブートとネットワーク管理によりテスト工程がほぼ自動的に行われるためだ。集中管理されたサーバにより、ハードウェア動作試験などとともにOSやアプリケーションなどもオーダー仕様に応じて自動的にインストールされ、次第にPCに命が吹き込まれていく。

photophotophoto 動作テストブースで、組み立てられたPCをネットワークブートし、ハードウェア構成の初期動作検査を行う

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