「UMA-ISO」でソフトウェアの“7つ道具”を持ち歩くもう光学メディアなんていらない!?(2/3 ページ)

» 2009年12月15日 12時08分 公開
[瓜生聖,ITmedia]

TechNet Plus Direct会員必携の一品

Microsoft TechNet Plus Directのサブスクライバダウンロードサイト。年間3万9000円は割高に感じるかもしれないが、実売価格3万以上のWindows 7 Ultimateや4万以上のOffice Professional 2007などが評価目的に限って制限なしの無期限で使用できることを考えればむしろ破格値だ

 バイト単価の安さ、容量の大きさ、アクセス速度の速さなどから光学メディアに対するHDDのアドバンテージはさらに大きくなってきている。仮想ドライブにISOイメージファイルをマウントするソフトはAlchol 52%、Virtual Clone Driveなどフリーソフトで容易に手に入る。OSが立ち上がってしまえば選択肢は幅広い。しかし、OS以前、BIOSレベルで光学ドライブとして認識されない限り、ブートメディアとして利用できないISOファイルは完全な置き換えとはならない。

 通信環境が高速化された現在、インストールメディア、ブートメディアをISOファイルにしてネットで配布するケースはますます増加している。マイクロソフトの開発者/評価者向けの製品、MSDNTechNet Plusもサブスクライバダウンロードサイトを用意してISOファイルがダウンロードできるようになっている。特にTechNet Plus Directはメディアでの提供がなく、提供手段はISOファイルダウンロードのみ。このため今までOSの場合はダウンロード後、DVD-Rなどに焼いてから使用しなければならなかった。

 また、光学メディアは使用容量が多かろうが少なかろうが、1枚は1枚だ。DiskStakkaは1台あたり100枚のメディアを収納できるが、それがすべて1層DVDであったとしても一般にはデータの総容量は470Gバイトにはならない。筆者もCDからDVDに、DVDからBDへと容量の大きなメディアに複数メディアのイメージをまとめることでDiskStakka3台分のスロット300席を使い回してきたという経緯がある。イメージバックアップソフトやマザーボードのBIOSアップデート用に作成するブートメディアはわずかな容量しか使わないものの、それでも1枚分の費用、物理的占有面積が必要になる。使うときだけ書き換え型メディアに焼くという方法もあるが、それには手間がかかる。一方、UMA-ISOを使えば小容量の仮想DVDメディアを作成することにためらう必要がなくなるのだ。

Window上で動作するフリーの仮想光学ドライブはいくつかある。有名どころはAlcohol 52%DaemontoolsVirtual Clone Driveなど

持ち歩けるマルチブート環境を作ろう

ライブCDの部屋には多くのLive CD版Linuxが紹介されている

 さて、ここまで読んで「ブートメディアと言っても結局インストールのときの1回しか使わないし、Windowsのインストールなんて5年に1回くらいしか行わないよ」という人もいるだろう。しかし、世の中には実に多くのLive CDが存在している。

 Live CDとはHDDへのインストールを必要とせず、CDからのブートで利用できる各種OSディストリビューションやユーティリティの総称だ。ここではDVDを利用したLive DVD、USBフラッシュメモリのLive USBも含めてLive CDとしている。Live CDではLinuxやFreeBSD、Windows PEなどをベースとし、収録アプリケーションを厳選することで軽量化したり、自動化したりしたものが多い。目的別軽量パッケージと言ってもいいだろう。

 だが、逆に目的ごとに存在するがゆえに、さまざまな用途を想定するとメディアを何枚も持ち運ばなければならないという問題がある。それらを1枚にまとめると今度は「特定目的に特化した軽量化」が図れなくなってしまう。だが、UMA-ISOの持つ「複数のISOファイルから自由にマウントするイメージを選択できる」という機能は、複数のブートメディアを簡単に持ち歩けるということでもある。USBフラッシュメモリをマルチブートで使うように設定することもできるが、UMA-ISOを使えばおのおののISOファイルをコピーするだけで簡単にマルチブートメディアが完成する。

 ここではエンジニアのたしなみとして持ち歩くにふさわしいものから、PCをデジタル家電化してしまうディストリビューションまで、UMA-ISOで持ち運びたいLive CDをいくつか紹介していこう。

Ultimate Boot CDは「UBCD」の略称でも知られる、ディスク操作ツールなどをまとめたLive CDだ

仮想PC環境を実現するXEN。XEN Live CDによって動作環境の差異を吸収することで、仮想PC上のOSのポータビリティが確保される

メディアプレーヤーに特化したLinuxディストリビューションGeexBox。UMA-ISOのセレクタからDVD-VIDEOのイメージファイルを選択すると即座に再生を開始し、Blu-rayすらUMA-ISOから再生できる

Offline NT Password & Registery Editor。名称はNTだが、Windows XPやVistaのユーザーパスワードも解除できる

パーティション操作ならGnome Partition Editor

Slitaz Aircrack-ng Distributionは、無線LAN解析ツール「Aircrack-ng」のLive CD版だ

匿名のセキュアなWebブラウジングを実現するAnonym OS。個性の強い壁紙が特徴的

Acronisの製品は「Acronis True Image」と「Acronis Disk Director」を1枚にまとめたISOファイルを作成できる。もちろん、ISOファイルの作成ができず、直接CD-Rメディアに焼き込む必要があるソフトの場合はリッピングすればよい。ライセンスについてはソフトウェアごとに確認してほしい

HDD Regeneratorは読み込めなくなったHDDの修復を行う商用ソフトウェアだ

Windows系のLive CDもある。画面はBart's PE Builderで作成したブータブルWindows XP環境のBart PE

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