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» 2011年05月24日 16時00分 UPDATE

山谷剛史の「アジアン・アイティー」:Athlon II搭載PCはチキンカレー何杯分? (1/2)

この連載で、中国PCの販売価格を「生活感覚」で体感するために「チャーハン何杯分」で示したことがある。となれば、インドなら当然“カレー”でしょう!

[山谷剛史,ITmedia]

保守的な街「コルカタ」で混沌としたインドに出会う

 数年ぶりにインドを訪れた。北インドと東インドの大都市から州都、さらに小さい町までいろいろ巡った。中国の最先端を行く「上海」と政治中枢の「北京」、そして、ライフスタイルを変えない保守的な大都市「広州」という中国3大都市の関係をインドに置き換えると、最先端の「ムンバイ」、政治中枢の「ニューデリー」、そして、ライフスタイルを変えない「コルカタ」(旧称、カルカッタ)の関係に似ている(インドの最先端都市といえば、ソフトウェア企業が集まる産業都市「バンガロール」もある)。

 インドを知る人から、「ムンバイ」にいきなり行くと、あまりの変貌ぶりと最先端ぶりに「インドを過大評価しすぎる」かもしれないというアドバイスを得たので、まずは、最も保守的な「コルカタ」から北インドへ向かい西へ移動した。

 コルカタといえば、インドを旅するバックパッカーが必ず訪れる都市で、ホテルが集まる「サダルストリート」近辺で生活する人々がインドの典型的は風景として書籍や口コミなどで語られる。このサダルストリートはコルカタの中心部の地下鉄駅近くにあるが、この地域はコルコタやインドでも大変特殊であるので、この情報だけでコルカタやインドのすべてを知ることはできない。

 そんなコルカタも、数年前に訪れたときと比べて都市化していた。ただ、政府の強制力で整然と開発が進む中国の都市と異なり、コルカタの中央部では高層オフィスビルがバラバラと建ち、中央部から離れたエリアには、高層マンションが多くなる。市街地では自家用車やバスの往来が激しく、インド名物の“路上にたたずんで交通を遮断する牛”はよほど郊外でないと見ることができない。このような、物質面の発展もさることながら、交通ルールをはじめとする公共マナーを順守するコルカタ人をいたるところで見かけるようになったのに驚いた。

 古い建物は依然として古いままであり、古い建物が残る地域は昔のままで雑多だ。多くの外国人が立ち寄る観光エリアであれば物乞いに取り囲まれ、外人慣れしていない地域では、子供がぞろぞろとついてくる。

 その一方で、郊外では近代的なマンションが立ち並ぶ。このようなマンションの相場は1平方フィート約2000ルピー(坪単価12万円〜)、150万ルピー(約270万円)という。これは中国省都の半分から3分の1にあたる。

kn_yamaindia_06.jpgkn_yamaindia_02.jpg 近代化が進むコルカタの主要部には高層ビルが並ぶ一方で(写真=左)、住宅地では以前と同じ雑然とした風景を残していた(写真=右)。どちらかの一方だけを見て、いまのインドを語るのは無理な話だ

生活感覚でPCの価格を体感する!

 同じコルカタで、まったく異なる地域が混在するということは、所得の格差が大きいことを示している。そのコルカタで英語の入力オペレーターを職業とするものの月収は5000〜1万ルピー(9000〜1万8000円)程度という。中国ならば、大学を卒業した新卒が得る月収の半分強になる。インドで花形職業といわれるSE上級職や経営者になれば、月収はこの数倍だ。そのコルカタで生活すると、エアコンのない扇風機のみの庶民的食堂で、カレーライスがベジタリアン向けで50ルピー(90円)、チキンやマトンの肉入りカレーライスが100ルピー(約180円)、ナンは15ルピー(約27円)で食べられる。屋台のサモサとチャイはそれぞれ3〜5ルピー(5〜9円)だ。

 日本人の感覚からすると激安のコルカタ外食事情だが、IT関連製品の価格は世界共通だ。東インドや北インドの地方都市にはDELLやヒューレット・パッカードの代理店があって、そこで扱う製品の価格は日本向けのモデルと変わらない。DELLのインド向けWebページでは、2万5000ルピー(約4万5000円)のAthlon II X2搭載モデルから15万ルピー(約27万円)を超えるAlienwareまで、とにかくノートPCが人気だ。ここで紹介した2万5000ルピーでも、英語入力オペレーターの月収5カ月分であり、ベジタリアンカレー500杯分、肉カレー250杯分に相当する。日本に置き換えれば、500円のランチセットを500杯食べれば25万円でありハイエンドPCが買えるわけで、インドではPCを買うことがどれだけハードルが高いか分かるだろう。

 海外PCメーカー代理店以外に、自作PCショップやPCパーツショップが集まる電脳街も存在する。インドでは、ソフトウェア開発大手の「HCL」や「Wipro」、PC専業メーカーの「Zenith」が自社ブランドのPCをリリースして、DELLやHPとシェアを争っている。自作PCなどのデスクトップPCを使ってIPフォンサービスやビジネスセンター的サービス、それにPOS端末として利用する店舗も多数存在する。

kn_yamaindia_01.jpgkn_yamaindia_13.jpg 国外PCメーカーを扱うPCショップは市街地以外でも見かけることができる(写真=左)。そして、ソニーはインドでもハイソなブランドイメージを確立していた(写真=右)

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