レノボ・ジャパンは、8月29日に発表したThinkPad X1 Carbonで導入した新技術の説明会を行い、大和研究室の技術者が、新素材炭素繊維など、軽く薄くなった理由を紹介した。
レノボ・ジャパン 製品開発統括担当の田保光雄氏は、2011年5月に投入したThinkPad X1シリーズが、薄いボディながら従来のThinkPadシリーズに相当する堅牢性を実現したことでユーザーの評価を得ていたが、その一方で、さらに軽く、かつ、大画面で高解像度のディスプレイと長時間のバッテリー駆動を望むユーザーの声も多かったことを明らかにし、そのフィードバックを反映したのが、今回登場したThinkPad X1 Carbonと説明している。薄く軽く、幅と奥行きも小さくなったにもかかわらず、従来より大きい14型ワイド液晶ディスプレイを採用しているが、ThinkPad X1 Carbonにはそれ以外でも多くのチャレンジをしていると田保氏は主張する。
レノボ・ジャパン デザイン&ユーザーエクスペリエンスの高橋知之氏は、ThinkPadのコンセプトとこれまで登場してきた薄型ThinkPadの進化、そして、ThinkPad X1 Carbonの特徴を紹介した。高橋氏は、ThinkPadのコンセプトについて、シンプルだが効率的な配置のデザインやほかの追従を許さないタイピングの感触、流行を追うのではなく改善のための変化、ロゴを隠しても見ただけで分かるほどに象徴的な存在となること、そして、高い信頼性と人間工学的に優れた使い心地を挙げている。
ThinkPadシリーズの薄型モデルは、2008年に登場したThinkPad X300から始まり、2011年のThinkPad X1シリーズに受け継がれてきた。そのデザインはそれまでのThinkPadが持つコンセプトを継承したうえで薄型化を図ってきたが、ThinkPad X1 Carbonは、従来のデザインにこだわらないことを方針として打ち出している。そのため、背面に搭載するインタフェースを利用するためこれまで使ってこなかったドロップダウンタイプのヒンジをThinkPadとしては初めて採用し、これまで直線と平面が主体だったボディラインには、曲線と曲面を多用している。
マンマシンインタフェースでは、13型級の液晶ディスプレイを搭載するノートPCに相当する本体サイズに14型ワイド液晶ディスプレイを搭載して、1600×900ドットという高い解像度を実現した。また、ガラス製のタッチパッドには、アンチグレア処理とアンチスレッジ処理を施すことで表面をざらつかせて、指の動きをスムーズにしている。キーボードは、ThinkPad X1以降で採用が進むアイソレーションタイプの6列配列だが、ファンクションキーは4キーごとに仕切りを設けて、さらに使いやすくした。
レノボ・ジャパン ノートブック製品機構設計担当の大谷哲也氏は、ThinkPad X1 Carbonにおける薄型化と軽量化の実現と、堅牢性能を維持するための具体的な対策、そして、従来のThinkPad X1から薄くなったキーボードや騒音を軽減したクーラーユニットなどについて具体的な説明を行った。
ThinkPad X1 Carbonの本体サイズは、331(幅)×226(奥行き)×8〜18.8ミ(厚さ)ミリ、重さが1.36キロで、従来のThinkPad X1シリーズの337(幅)×231.1(奥行き)×16.5〜21.3(厚さ)ミリ、重さ、1.69キロと比べて、小型化軽量化が進んだ。各部ごとの重さ比較では、液晶ディスプレイが181グラム、キーボードが33グラム、クーラーユニットが21グラム、トータルで332グラムの軽量化となる。
薄型軽量化が進んだThinkPad X1 Carbonで、堅牢性を確保しているのは、大谷氏が“ThinkPad史上最強”と表現する炭素繊維強化プラスチック(CFRP)の採用だ。炭素繊維の強度は500GPa台と人工衛星にも利用するグレードを使っている(自動車用は200GPa台、航空機用は300GPa台)。繊維方向をそろえて編んだプリプレグを繊維方向が直行するように重ねた2層で発泡樹脂層を挟むことで、軽量化と曲げに対する強度を持たせている。
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