既報のとおり、10月26日0時にマイクロソフトの次世代OS「Windows 8」の販売が解禁となった。
秋葉原のパーツショップには各店数100人規模のユーザーが集まっており、すべてをあわせると1000人以上が訪れたWindows 7の深夜販売を超えたのは確実とみられる。ただし、1カ所の行列に並んで発売を待ち続ける人よりも、各店の特価品や催し物を見て回る人のほうが多かったため、正確な人数は把握できていない。
あるショップは「大規模イベントで見どころが多いことと、多く店が整理券を早めに配るようになって行列が解消される時間が早まったことが重なって、すごく流動的になっている印象です。拘束時間が減って、深夜販売の快適度も着実にアップしているかなと思いますね」と自負していた。
そして、この熱気は0時を超えてOSがユーザーの手に渡るまで続いた。深夜販売は特価品とイベント目当てで集まる人も多いが、「予想以上にOSを買いに来られた方が多い印象です」(ソフマップ秋葉原リユース総合館)、「盛り上がり方もWindows 7を超えているといっていいでしょう」(PC DIY SHOP FreeT)といったコメントが複数のショップで聞かれた。イベントとしても新OSの発売という点でも、上々の結果といえるだろう。
ただし、新OSに対するユーザーのリアクションには、これまでと違う傾向もあるようだ。
今回の発売イベントで特に目立って売れていたのは、DSP版Windows 8 Proの「秋葉原リミテッドエディション」だ。通常のDSP版Windows 8に、マイクロソフト製マウス「Wedge Touch Mouse」や自作応援キャラクター「窓辺ゆう」「窓辺あい」の特製テーマなどをセットにしたパッケージの、さらに地域限定のスペシャル版という位置付けで、合計888本しか生産されない。なお、普通の“リミテッドエディション”は合計8000本生産され、全国で購入できる。
この街の店でしか入手できないということもあり、秋葉原ではすでに予約販売の段階で売り切れているショップもあった。発売前日までストックしておいた店舗も、予約を受け付けて数時間と待たずに完売の札が張られた。
じゃんぱら秋葉原3号店は「21時に予約販売を始めたら、ものの2〜3分でどちらのタイプも売り切れました。ここまで反響があるとは思わなかったので、本当に驚きました」と語る。マウスコンピューター秋葉原ダイレクトショップも22時半時点で「普通のリミテッドエディションはまだ在庫がありますが、秋葉原版は1時間と持たなかったです」と話していた。
その後、0時を回る前にはノーマルなリミテッドエディションが売り切れたという店舗も相次いだ。通常のDSP版Windows 8と同Proはどの店舗でも在庫は潤沢で、この売れ方の差に、某ショップは「窓辺ゆう/あいのキャラが大ヒットしているんですよ。“絶妙な妹キャラ”で、どちらも熱烈に支持されています。Windows 8は従来からの変化が大きいので、OS自体は様子を見ながら使っていこうというスタンスの人が多い気がします」と語っていた。
実際、新OSの行列に並んでいた人に購入後の使い道を聞いて回ったところ、「早速メインマシンに入れる」といった声と「まずはサブ機で様子見」「デュアルブートしようかな」という声が半々だった。Windows 7の深夜販売と比べると、確かに様子見的なニュアンスを多く感じる。
フェイス秋葉原本店は、こうした反応も予想通りと受け取っていた。「スタートメニューがなくなるなど、従来のPCユーザーからしたら面くらう部分は確かにありますからね。デスクトップ機として存分にタッチ操作できる5点タッチ以上対応のディスプレイもこれから出てくる状況ですし、興味はあるけど乗り換えるのはちょっと待とうという方が多いのも仕方ないかなと思います」という。
ただし、そこに落胆の色はなかった。同店は続けて、「それでも7と比べて起動が明らかに速くなっていますし、いくつかのショートカットキーを覚えればかなり快適に使いこなせます。実感するとグンと便利になる感触がありますから、これからぐんぐん伸びていくと思いますよ」と話していた。
様子見から実用に乗り換えるには、まず触れてみるというステップが欠かせない。今回の深夜販売の盛況ぶりは、より多くの人を最初のステップに登らせた証明ともいえる。ここからの加速度的な盛り上がりに期待しつつ、今後のアキバのトレンドを追っていこう。
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