Plextorは、2013年前半の開発計画を明らかにし、第2四半期にNGFF(Next Generation Form Factor)と呼ぶ「M.2」規格に対応したUltrabook向けSSDをリリースする意向を示した。PlextorでSSDの開発を統括するアンソニー・リュウ氏は、「開発コード名“Haswell”こと第4世代Coreプロセッサー・ファミリーの登場にあわせ、Ultrabookや薄型ノートPC向けSSDは、mSATAからM.2への移行が加速する」と予想するとともに、パフォーマンス向上を目的としてM.2対応SSDを購入するエンドユーザーも増えるという見解を示した。
M.2は、PCI Express x2とSerial ATA、USB 3.0のインタフェースを実現する小型のフォームファクタで、SSDのほかに、無線LANやBluetoothモジュールなどへの採用も想定している。関係者によれば、「M.2」とは“Mini PCI Express”と呼んでいる「PCI Express Mini Card」の第2世代規格という意味もあるという。
M.2では、用途やサイズの異なる仕様をいくつか用意しており、SSD向けには2種類の仕様を採用する。将来的には、PCI Express x4接続を可能にする2種類も追加する予定だ。M.2のSSD向けフォームファクタでは、カードの横幅が22ミリと定めているが、奥行きのサイズは異なる。また、1つの規格では、カードエッジがPCI Express x4をサポートする次世代製品向けとしている。
SSD向けM.2で用意するカードエッジの種類も複数用意しており、Bキーと呼ぶ切り欠きがあるものは、Serial ATAとPCI Express x2対応のもの。MキーのみはPCI Express x4対応としているが、将来の互換性も考え、2013年に投入する製品のほとんどは、両方のキーエッジを備える予定だ。ただし、当面はSerial ATAかPCI Express x2対応のカードが主流になるとみている
Plextorが発売を計画しているのは、M.2 Type2280と呼ぶ22(幅)×80(奥行き)ミリのフォームファクタを採用する「M6G」(開発コード名)と、M.2 Type2242と呼ぶ22(幅)×42(奥行き)ミリを採用する「L6G」(開発コード名)で、それぞれに容量の異なるモデルを用意する。
M6Gには、Marvellの第2世代PCI Express SSDコントローラとなる「88SS9183」を実装し、インタフェースにPCI Express 2.0 x2を採用する。その性能は、シーケンシャルリードで最大700Mバイト/秒、シーケンシャルライトで最大550Mバイト/秒、ランダムリード(IOPS 4Kバイト)で最大10万 IOPS、ランダムライト(IOPS 4Kバイト)で最大9万 IOPSと、一般的な2.5インチSSDと比べても優れた性能を発揮する。
L6Gは、2013 International CESのプライベートブースに参考展示したエンジニアリングサンプルで、MarvellのSerial ATA 6Gbpsコントローラ「88SS9187」の廉価版となる「88SS9188」を実装するのを確認している。そのため、インタフェースはPCI Express x2ではなく、Serial ATA 6Gbpsを利用する可能性が高い。
リュウ氏は「PCベンダーには、M.2への移行を急がず、Haswell世代でも現行のmSATAモジュールを採用するという情報もある」として、コントローラにMarvellの88SS9187を採用したmSATAモジュール「M5M」も用意するという(M5Mは1月22日にリリースした)。その性能は、シーケンシャルリードで最大540Mバイト/秒、シーケンシャルライトで最大430Mバイト/秒、ランダムリード(IOPS 4Kバイト)で最大8万 IOPS、ランダムライト(IOPS 4KB)で最大7万 IOPSとされ、Serial ATA 6Gbpsインタフェースを採用するL6Gも同等の性能になる見通しだと説明している。
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