マウスコンピューターの「G-Tune」に、同ブランド初となる液晶一体型PC「NEXTGEAR-ONE」シリーズが加わった。思わず「ゲーマー向けモデルで液晶一体型?」と首をかしげたくなるが、なるほど、実機を見ていくといかにもマウスコンピューターらしい製品に仕上がっている。
NEXTGEAR-ONEは、静電容量式の10点マルチタッチに対応する27型ワイド液晶ディスプレイ(1920×1080ドット)を内蔵したオールインワンPCだ。当然ながらWindows 8を意識した製品であり、従来のキーボードとマウスによる操作に加え、タッチ操作に最適化されたユーザーインタフェースであるModern UIを快適に扱えるようデザインされている。Windows 8の登場にあわせて、タッチ操作に対応したコンバーチブル型のノートPCや液晶一体型PCがメーカー各社から多数投入されているが、このNEXTGEAR-ONEもその流れの1つだ。
その一方で、「G-Tune」の名を冠するように、このモデルはゲーマー向けでもある。液晶一体型PCは一般的にフォームファクター上の制約が大きく、デスクトップPCに比べて性能面で不利なことが多いが、“モンスター級の17.3型ノートPC”や、“ゲーミングモバイルPC”で実績のあるマウスコンピューターらしく、モバイル向けのCore i7とGeForce GTX 670MX(グラフィックスメモリ3Gバイト)を組み合わせた強力なシステムを採用し、パフォーマンス面でも隙がない。特に32Gバイトメモリを搭載し、2台の512GバイトSSDをRAID 0で構築した最上位モデルは“最強のタッチ対応液晶一体型PC”と言っても過言ではない。とはいえ、最上位モデルの価格は約30万円とかなり高価なので、ここではコストパフォーマンスにも配慮したシルバーモデル「NEXTGEAR-ONE io600SA2」(以下、io600SA2)を紹介しよう。
評価機 | NEXTGEAR-ONE io600SA2 |
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CPU | Core i7-3630QM(2.4GHz/最大3.4GHz) |
チップセット | Intel HM77 Express |
メモリ | 16GB(PC3-12800) |
ストレージ | 120GB SSD+1TB HDD |
光学ドライブ | DVDスーパーマルチ |
グラフィックス | GeForce GTX 670MX(3GB) |
液晶ディスプレイ | タッチ対応27型ワイド(1920×1080ドット) |
OS | 64ビット版Windows 8 |
価格 | 16万9890円 |
NEXTGEAR-ONE io600SA2は、光沢感のあるブラックで塗装された液晶一体型ボディに、Intel HM77 Expressチップセットベースの基本システムを搭載する。CPUにクアッドコアのCore i7-3630QM(2.4GHz/最大3.4GHz)を採用し、メモリは16Gバイト、ストレージが120GバイトSSD+1TバイトHDD、光学ドライブにDVDスーパーマルチドライブという構成だ。
メモリは8GバイトのPC3-12800モジュールを2枚装着しており、デュアルチャンネルで動作する。メモリスロットが4本用意されているため、BTOで最大32Gバイトまで搭載できるが、標準の16Gバイトでも十分だろう。液晶一体型PCながらストレージがダブルドライブ構成になっており、SSDとHDDによる高速かつ大容量のストレージを実現しているのもポイントだ。こちらも最大500GバイトクラスのSSDや3TバイトのHDDなどがBTOメニューに並んでいるが、標準状態で不足はない。なお、光学ドライブは+5250円でBDXL対応Blu-ray Discドライブにアップグレードできるので、io600SA2を設置する部屋にBlu-ray Disc再生機がない人は検討するとよい。
なお、同製品の標準構成には、キーボードとマウスが付属していない点に注意したい。液晶一体型PCといえば、購入して箱を開け、電源ケーブル1本で即座に使える取り回しのよさもメリットだが、io600SA2は(もちろんタッチ操作は可能とはいえ)AIOの特徴の1つをいわば切り捨ててしまっている。これはおそらく、G-Tuneブランドを冠するゲーミングPCとして、「当然ユーザーはキーボードとマウスにもこだわるに違いない」「ユーザーが使わない入力デバイスを付属するよりは最初からないほうがいい」という判断なのだろう。実際、BTOメニューには豊富なゲーミングキーボード/マウスがラインアップされている。
前述のように、27型ワイド液晶ディスプレイはフルHDに対応する。同クラスの液晶一体型PCでは、デルの「XPS One 27」やアップルの「27インチiMac」など、より高解像度の2560×1440ドット表示に対応した製品も存在するが、主用途がゲームであれば1920×1080ドットでも十分に広く、デスクトップUIも快適だ。
なお、液晶パネルが広視野角のIPS方式ではなくTN方式のため、目視の印象では視野角がやや狭く、見る角度によって色が反転しやすいと感じた。コストパフォーマンスを考えると仕方のない部分かもしれないが、せっかくの大画面なのでこの点は少々残念なところ。ディスプレイ前面のガラスは完全なフラットサーフェスになっており、画面の外から内側に指をスライドさせて、チャームなどの呼び出し操作がさっと行える。黒いフレームと光沢仕様のパネルによって、映像や写真を表示した際の見栄えがよく、没入感も高い。
本体を支えるスタンド部分は、透明なクリアパーツになっており、画面が浮き上がったように見えるデザインだ。背面側のスタンドは無段階で45度まで後ろに倒すことができ、タッチ操作がしやすいように寝かせて利用できる。ただ、ガラス面から液晶面までのスキマがかなりあるため、画面に直接指で字や絵を描くときは、視差による入力のずれがやや気になるかもしれない。
インタフェースは左側面と背面右寄りに集中している。着脱頻度の高そうなメディアカードスロットと、2基のUSB 3.0はアクセスしやすい左側面に並び、背面側にも2基のUSB 3.0に加えて、2基のUSB 2.0、HDMI出力、HDMI入力、アナログRGB入力、ギガビットLANが搭載されている。数、種類ともに十分だ。
特にHDMI入力端子を備えているのがポイントで、Xbox 360などの家庭用ゲーム機をつないでおけば、27型ワイドフルHDの大画面パネルをゲーム用ディスプレイとしても活用できる。もちろん、PC側のOSを起動しておく必要はなく、単に左側面の入力切り替えでHDMIを選択するだけでいい。実際にXboxのタイトルをいくつか試してみたが、コンソールゲーム用のディスプレイとしても申し分なく、自室に置くディスプレイをPC用とゲーム機用で1台にまとめたい人は悪くない選択肢といえる。
なお、ボディサイズは670(幅)×65(奥行き)×510(高さ)ミリと大柄で、後ろへスライドするスタンドの調節幅を考慮すると、机上のスペース(奥行き)は余裕を持って確保しておきたい。
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