第1回 これは「タブレット時代のビジネス用途でも使える、“コンバーチブル”なマシン」「dynabook R822」ロードテスト(1/2 ページ)

» 2013年03月14日 10時00分 公開
[石川ひさよし(撮影:矢野渉),ITmedia]

業務用途に導入できる、Windows 8時代の“コンバーチブル”マシン

photo 筆者が導入した「dynabook R822/WT8HS(PR822T8HNNSW)」

 PCパーツ中心のライター/レビュワーとして活動する筆者のもとに、珍しくノートPCの長期レビューの話がやってきた。

 ライターと言うと自宅にこもって作業するというイメージをお持ちかもしれないが、取材や打ち合わせで外出する機会は多く、モバイル環境で作業することもひんぱんにある。筆者はとくに都心から離れて住んでいるため、1度都内へ出たらそこで作業を進めてしまい、帰宅するのは夜遅く──なんてことも多い。

 だからノートPCは、主業務の機器となるデスクトップPCと同じくらい重要な「クリエイティブ作業のための道具」である。今回はそんな“クリエイティブ業務のための作業マシン”であることを期待して導入した、東芝「dynabook R822/WT9GS」(Webオリジナルモデル)の実力を順にチェックしていこう。

 Windows 8の登場により、モバイルPCのカタチの1つとして「タブレット/タッチ」のスタイルが追加された。いや、正確に言えばそれは2002年ごろのタブレットPC/Windows XP Tablet PC Editionの頃からあり、特定の業務向け──例えば店舗や工場などで在庫管理用途などにそれ以前からタブレット形状のPCは存在した。ただ、個人/ビジネスコンシューマー層にも広く受け入れられていたとは言い難い。タッチ+タブレットスタイルのPCは、(まぁいろいろ思うところはあるが)Windows 8によって再スタート……という考え方でよいと思う。


photo タッチ操作で使用できる「タブレットスタイル」

 ただ、筆者がプッシュしたいタッチインタフェースは、Modern UIを中心とするWindows 8の新しいUI(ユーザーインタフェース)なアレではない。もっと業務用途で実用的に使えるタッチだ。ここ数年で多くの人がタッチ操作主体のデバイス──Android・iOS搭載スマートフォンやタブレットに触れたことだろう。筆者もその1人として、写真やPDF文書、表計算データをタッチ操作することによる閲覧性のよさに、改めてカルチャーショックを受けた。

 必要なデータのある場所まで移動させ、詳しく見たい部分を拡大していくという操作スタイルは、やはりタッチ操作と親和性が高い。もちろんマウスの操作性もホイールの登場によってある程度向上したし、タッチパッドもジェスチャーをサポートすることで格段に操作性が向上したのだが、実際に表示されているデータをタッチする「紙データに触れているのに近い感覚で行える」ことが歴然とした差として使い勝手の部分に表れてくる。

 こうした理由から、強烈に「タッチ対応PCがほしい」と思うようになったのだが、完全なタブレット型だと筆者の業務内容では確実に困る。筆者にとってのPCは、データを入力・保存・管理するための道具である。テキストデータをまとめ、表計算ソフトにベンチマークデータを記入し、写真データを加工する。もちろん漠然と表計算データに目を通したり、資料としてWebサイトやPDF文書を表示するだけならタブレットスタイルでまったく問題ない。しかし入力と表示の比率で言えば、入力側が大半。やはりキーボードは必須なのだ。


photo スライド&チルトの独自ヒンジ機構により、ノートPC/タブレットスタイルを両立する

 ……となると、タッチ機能付きのクラムシェル(従来の折りたたみ)型か、コンバーチブル型が候補になる。その上で、狭い喫茶店の席へ対面で座り、クライアントにデータの内容を説明する、見てもらうといった用途ではディスプレイが起き上がるクラムシェルよりも、平面置きで2人でのぞき込めるタブレットの方が利便性は高いはず。そうして最終候補に残ったのが「コンバーチブル」型だ。クラムシェル型としても、タブレット型としても使える二面性を持つコンバーチブル型は、カバーできる用途が多く広いと判断できる。

 さて、コンバーチブル型とひと言で言っても今はまだ黎明期。そのため、各社がそのデザインやスタイルについて試行錯誤している状況だ。わりと古くからあるのが、分離型、あるいは回転2軸ヒンジ(ディスプレイの開閉+回転ができる)タイプであり、かつての“タブレットPC”にこうしたデザインのモデルが多かった記憶がある。

 Windows 8に合わせて登場してきた新しいスタイルとしては、ソニーが「VAIO Duo 11」で採用した起こしてノートPC状態/寝かせてタッチ状態に変形するディスプレイ機構のものや、デルが「XPS 12」で採用したディスプレイごと回転するもの、レノボの「IdeaPad Yoga 13」やパナソニックの「Let'snote AX2」が採用した360度回転ヒンジ機構などがある。dynabook R822はそれらのどれとも違う、メカニカルなスライド&チルト式のヒンジ機構を採用する。

 dynabook R822は、ディスプレイ部分を後ろへクッと押し、端に達したところでディスプレイを起こすと「ノートPCスタイル」になる。一方のVAIO Duo 11は、入り組んだパンタグラフのような中骨により、ディスプレイの後端を持ち上げる動作と連動して先端が後へスライドし、ノートPCスタイルになる。R822は2アクション、VAIO Duo 11は1アクションで変形する仕組みだ。


photophotophotophoto ノートPCスタイル→タブレットスタイルに変化するまでのスライド&チルトアクションの様子。ノートPCスタイルでの画面の角度は約110度から柔軟に調整できる。180度まで完全に開いた「フラットスタイル」でもキーボードを露出したまま安定して利用可能だ

 2つの変形機構の違い、その最もたるものは、ノートPC/タブレット、両形態の比率にあるのではないかと思う。2アクションが必要なdynabook R822は、一見面倒そうだが、なにより少なくともこれまでのノートPCと同じ使い勝手であり、もちろんゆったりとしたパームレストサイズも実現できる。およそ、5:5でスタイル別の割合がデザインされていると見ることができる。

 一方のVAIO Duo 11はフリップアップしながらスライドする特殊なヒンジ機構ゆえ、ノートPCスタイルでの液晶ディスプレイの位置はキーボードの奥行き再イズの中間やや後方(後端より3割くらい)のところに来る。もちろんキーボードも利用できるが、その分ゆったりしたパームレストサイズは確保できず、また、ディスプレイの角度を調節ができないこともキーボード入力で若干のストレスになることがある。同じくノートPC:タブレットの想定比率は3:7くらいであると思う。タブレットとしてタッチ操作とともに利用する際は快適だが、ノートPCとして利用するのは緊急措置的/たまにキーボード入力をといったイメージである。

photophoto VAIO Duo 11は、タブレットスタイルから1アクションでノートPCスタイルになる機構を採用する

 この点から、dynaboo R822はキーボード入力のノートPCスタイル、タッチ操作のタブレットスタイルの双方をバランスよく活用するためのデザインだと感じたわけだ。

photo VAIO Duo 11(左)とdynabook R822(右) サイズ感を比較。R822はキーボード入力を主軸に行うシーンにより向くと判断した
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