「VAIO Fit 11A」の直販ハイエンド構成と店頭モデルを徹底比較するVAIO Fit 11Aをもっと知りたい(性能検証編)(2/3 ページ)

» 2014年02月26日 18時30分 公開
[鈴木雅暢(撮影:矢野渉),ITmedia]

CINEBENCH(CPU性能テスト)

 CINEBENCHは、MAXONの3DCG作成ソフト「CINEMA 4D」をベースにしたベンチマークテストだ。最新バージョンのR15のほか、従来機種との比較用に1世代前のR11.5を使い、CPUのレンダリングスコアを掲載している。

 「CPU」は最大256Wayのマルチスレッドレンダリングに対応し、測定するCPUの最大同時スレッド数でレンダリングを行う。スコアの比較は、マルチスレッド処理性能の目安であり、クリエイティブ系ツールにおける処理性能を把握するのに有効だ。「CPU(シングルコア)」は、シングルスレッドのみで処理を行った場合のスコアとなる。

CINEBENCH R15(グラフ=左)、CINEBENCH R11.5(グラフ=右)のスコア

 結果は、VOMモデルと店頭モデルの差が、CPUで約21.5%、CPU(シングルコア)で約18.2%だった。CPUではSandraのスコアとほぼ同じ差であり、CPUの演算性能の差がダイレクトにスコアに影響していることが分かる。

 第4世代Core(Haswell)搭載のVAIO Tap 11とはっきり傾向が異なるのも面白い。VOMモデルで見ると、CPU(シングルコア)ではVAIO Tap 11の半分ほどのスコアしか出ていないのに、CPU(マルチスレッド)では逆に上回っている。つまり、Bay Trail-Mのシングルスレッド処理性能は、最大2.42GHzでも最大1.9GHzのHaswell(Core i5-4210Y)に比べて半分程度しかないが、マルチスレッド処理性能では勝っているのだ。

 Silvermontアーキテクチャは、コア1つあたりの性能はさほど高くないものの、マルチコア効率が高く、コアを増やすことで効率的に性能アップができている、ということが分かる。

 なお、CINEBENCH R15のスコアを上位機種と細かく比較した場合、店頭モデルのCPUスコアはVAIO Tap 11の約92.3%、VAIO Fit 13Aの約59.3%に相当、VOMモデルのCPUスコアはVAIO Tap 11の約112%、VAIO Fit 13Aの約72.1%に相当する。

CrystalDiskMark(SSD性能テスト)

 評価機が搭載していたSSDは店頭モデル、VOMモデルともに東芝製だった。型番は128Gバイトの前者が「THNSNJ128GVNU」、256Gバイトの後者が「THNSNJ256GVNU」だ。いずれもM.2フォームファクタの新モデルで、Serial ATA 3Gbpsで接続されている。

CrystalDiskMark 3.0.3のスコア

 ストレージ性能を測定するCrystalDiskMark 3.0.3のテスト結果は、書き込み性能に差があり、シーケンシャルライト性能において128Gバイトモデルは256Gバイトモデルの半分ほどにとどまった。

 一方、シーケンシャルリード性能は250Mバイト/秒強とどちらも同じだ。Serial ATA 3Gbpsインタフェースの理論値が300Mバイト/秒である以上、実効性能はこの辺りが限界となる。

 最近のSerial ATA 6Gbps対応SSDはシーケンシャルリードで500Mバイト/秒前後のスコアを出す製品もあるので、それらに比べると遅いものの、日常的な操作でのレスポンスは快適といえる。

 ちなみに、タブレットに採用例の多いBay Trail-T(Atom Z3000シリーズ)がストレージインタフェースとしてサポートするeMMC 4.5の最大帯域は200Mバイト/秒だ。実測ではリード100Mバイト/秒に満たない製品が多く、これらに対しては大きなアドバンテージがある。総じて、Bay Trail-T搭載タブレットよりパワフルだ。

PCMark 7/8(PC総合性能テスト)

 FuturemarkのPCMark 7は、PCの用途全般をシミュレートする内容で、総合スコア(PCMarks)はPCの全体的な性能をざっくりと把握するのに有用だ。

 ただし、全般にストレージ性能の影響が大きいことと、IntelのCPU統合グラフィックスに備わったQSV(Quick Sync Video)機能への最適化度合いが高いことは意識する必要がある。また、LightWeightとProductivityの2項目はタッチパネル搭載機で異常値が出るので、タッチパネル非搭載機と比較する場合は、この2項目を除外して見たほうがよい(今回のテスト結果はすべてタッチパネル搭載機のもの)。

 総合スコアは店頭モデルが2801、VOMモデルが3234で、VOMモデルのほうが15.5%上回った。他の項目も全体的にVOMのほうがよいスコアが出ている。最も差があったのはCPUコアとグラフィックスコアの両方に負荷がかかるComputationスコアで約22.4%だった。なお、店頭モデル(VOMモデル)の総合スコアは、VAIO Tap11の約78.6%(約90.8%)、VAIO Fit 13Aの約64.4%(約74.4%)に相当する。

 PCMark 8は、PCMark 7の後継となる最新バージョンだ。実際にアプリケーションを実行することにより、PCで行う操作をシミュレートしてスコアを出す点は同じだが、内容は一新されている。

 2014年1月下旬に大幅なアップデートが行われたため、比較対象はないが、家庭向けで使われるアプリケーションを使った「Home(Home Accelerated 3.0)」のスコアを掲載する。結果はVOMモデルが店頭モデルに比べて13.2%スコアで勝った。

PCMark7 1.4.0(グラフ=左)、PCMark 8 2.0.191(グラフ=右)のスコア
PCMark 8 2.0.191(Home Accelerated 3.0)のスコア詳細
製品名 VAIO Fit 11A 店頭モデル (SVF11N19EJS) VAIO Fit 11A VOMモデル (SVF11N1A1J)
Home Accelerated 3.0 Score 1216 1377
Web Browsing - JunglePin(秒) 0.595 0.539
Web Browsing - Amazonia(秒) 0.207 0.194
Writing(秒) 11.08 8.74
Photo Editing v2(秒) 1.856 1.57
Video Chat v2 / Video Chat playback 1 v2(fps) 30 30
Video Chat v2 / Video Chat encoding v2(ミリ秒) 262 219
Casual Gaming(fps) 8.1 8.9
Benchmark duration 59分37秒 53分42秒

3DMark/ゲームベンチ(3D描画性能テスト)

 3DMarkもFuturemarkのベンチマークテストで、3D描画性能を測定する。Ice Stormはモバイル機器(スマートフォン、タブレット)向けでDirectX9相当、Cloud GateはメインストリームPC(CPU内蔵グラフィックス採用システム)向けでDirectX 10相当、FireStrikeはゲーミングPC(グラフィックスカード搭載システム)向けのテストだ。

 2013年12月にバージョンが1.2.125となって、それまで安定しなかったIce Stormのスコアもようやく改善されてきた印象で、Androidタブレットなどとの比較の目安にはなるだろう。今回のようなIntel HD Graphics採用システムとしては、Cloud Gateのスコアが最も参考になる。

3DMark 1.2.125のスコア

 そのCloud Gateでは、VOMモデルと店頭モデルの差は、総合スコアで約6.8%、Graphicsで約6.6%、Physicsで約22%となった。IceStormやFireStrikeでも似たような傾向で、CPUの比重が高いPhysicsのスコアで差が開いている。

 店頭モデル(VOMモデル)の総合スコア比較は、Intel HD Graphics 4200を搭載したVAIO Tap 11の約59.8%(約65.1%)相当、Intel HD Graphics 4400を備えたVAIO Fit 13Aの約38.7%(約42.1%)相当だ。これまでのテストと比べて、かなりの差がある。

 また、FINAL FANTASY XIV:新生エオルゼアベンチマーク キャラクター編、ドラゴンクエストXベンチマーク、ストリートファイターIVベンチマークも実施した。これらのベンチマークテストのベースとなっているのは、比較的負荷の軽いゲームだが、いずれも設定を調整したとしてもプレイはかなり厳しい。

FINAL FANTASY XIV:新生エオルゼアベンチマーク キャラクター編(グラフ=左)、ドラゴンクエストXベンチマーク(グラフ=中央)、ストリートファイターIVベンチマーク(グラフ=右)

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2024年05月10日 更新
  1. 新型「iPad Pro」がM3チップをスキップした理由 現地でM4チップ搭載モデルと「iPad Air」に触れて驚いたこと (2024年05月09日)
  2. 個人が「Excel」や「Word」でCopilotを活用する方法は? (2024年05月08日)
  3. 「M4チップ」と「第10世代iPad」こそがAppleスペシャルイベントの真のスターかもしれない (2024年05月10日)
  4. M4チップ登場! 初代iPad Proの10倍、前世代比でも最大4倍速くなったApple Silicon (2024年05月08日)
  5. Core Ultra 9を搭載した4型ディスプレイ&Webカメラ付きミニPC「AtomMan X7 Ti」がMinisforumから登場 (2024年05月08日)
  6. NECプラットフォームズ、Wi-Fi 6E対応のホーム無線LANルーター「Aterm WX5400T6」 (2024年05月09日)
  7. SSDの“引っ越し”プラスαの価値がある! 税込み1万円前後のセンチュリー「M.2 NVMe SSDクローンBOX」を使ってみる【前編】 (2024年05月06日)
  8. iPad向け「Final Cut Pro 2」「Logic Pro 2」登場 ライブマルチカム対応「Final Cut Camera」アプリは無料公開 (2024年05月08日)
  9. これは“iPad SE”なのか? 新型iPadを試して分かった「無印は基準機」という位置付けとシリーズの新たな幕開け (2022年10月24日)
  10. “NEXT GIGA”に向けた各社の取り組みやいかに?──日本最大の教育関連展示会「EDIX 東京」に出展していたPCメーカーのブースレポート (2024年05月09日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー