2014年は「デスクトップPCの再発明」――Intelの最新ロードマップをまとめてみた自作が再び盛り上がる?(2/2 ページ)

» 2014年03月20日 09時30分 公開
[本間文ITmedia]
前のページへ 1|2       

Core i7 EEにDDR4対応8コアモデルを投入

 また、2014年内に投入を計画しているデスクトップCPUに関しては、Core i7 Extreme EditionにDDR4に対応した8コア製品を投入する計画であることや、LGAソケット版の“Broadwell”(ブロードウェル:開発コードネーム)では、Iris Proグラフィックスが採用されることなどが明らかにされた。

 まず、同社の次期フラグシップCPUとなる8コア版のIntel Core i7 Extreme Editionは、2014年後半に市場投入を計画し、Intel初のDDR4対応製品となるとともに、新しいチップセットとしてIntel X99を投入することが公式に発表された。

 Intel関係者は、同CPUの開発コードネームや、プラットフォームの詳細については明らかにしていないが、OEMベンダー関係者によれば、同CPUが“Haswell-E”として知られるもので、現行のLGA 2011とは互換性のない、LGA2011-3ソケットを採用する。また、DDR4メモリ対応にあたっては、4チャンネル対応とはなるが、1チャンネルあたりDIMM 1本のみのサポートとなるという。

 同関係者はさらに、同CPUに組み合わされるIntel X99チップセット(Wellsburg)は、Intel Z87チップセットなどと同様、I/Oポートフレキシビリティによって、SATA 3.0(最大10)、USB 3.0(最大6)、PCI Express 2.0 x1(最大8)を組み合わせることができると説明する。

次期Extreme Editionは、2003年のPentium 4 Extreme Editionに比べて20倍のコンピューティング性能を実現するという(画面=左)。次期Intel Core i7 Extreme Editionは、8コアでDDR4対応となる(画面=右)

OEM関係者らからの情報をもとにした、次期Intel Core i7 Extreme EditionプラットフォームとなるIntel X99の仕様

 同社初の14ナノメートルプロセスを採用するデスクトップCPU“Broadwell”では、Intel Iris Proグラフィックスが搭載されるとともに、Intel 9シリーズチップセットが組み合わされることも公開された。ただし、その投入時期については明らかにされず、今年末か来年前半の市場投入が見込まれる。

 さらに今年はPentiumブランドの20周年にあたることから、クロック倍率ロックを解除したアニバーサリーエディションを今年半ばに投入する。このPentium Anniversary Editionでは、CPUの動作倍率ロックが解除されるだけでなく、Intel Quick Sync Videoをサポートすることも特徴となる。

2014年末から来年初にかけて市場投入が計画されている、14ナノメートルプロセスを採用する第5世代Coreプロセッサでは、Iris Proグラフィックスが搭載される(画面=左)。Pentiumブランド20周年記念モデルとなる“Intel Pentium Aniversary Edition”では、CPU動作クロック倍率固定が解除されるほか、Intel Quick Sync Videoもサポートされる(画面=右)

 直近では、LGA 1150版CPUの上位モデルとして、“Devil's Canyon”(デヴィルズ・キャニオン)と呼ばれる製品を今年半ばに市場投入する。同CPUは、これまで“Haswell Refresh-K”(ハスウェル・リフレッシュ)と呼ばれてきたもので、CPUコアとヒートスプレッダ間の熱伝導を助けるTIM(Thermal Interface Material)を一新するとともに、パッケージングも変更し、より高クロックかつオーバークロック耐性の高いCPUに仕上げたもの。また、マザーボードベンダー関係者によれば、同CPUではCPUコアに内蔵された電源回路iFVR(integrated Fully Voltage Regulator)にも変更が加わっているという。同CPUの投入にあわせ、Intelは、チップセットをIntel 9シリーズに変更するが、マザーボードベンダー関係者によると、従来のIntel 8シリーズチップセット搭載マザーボードでもBIOS変更でサポートが可能になる見通しだ。

次期LGA 1150フラッグシップCPUとなる“Devil's Canyon”

 なお、マザーボード関係者によれば、Intel 9シリーズチップセットには、Intel Z97と、同H97が用意され、Rapid Storage Technologyのバージョンが上がり、マルウェアや未知のソフトウェアがOSのブートブロックを書き換えることをハードウェアレベルで防ぐBoot Guardなどの機能に対応するが、基本的な機能は現行のIntel 8シリーズチップセットと変わりないという。

OEM関係者らからの情報をもとにした、Intel 9シリーズの主な仕様

チップセット Intel Z97 Intel H97 Intel Z87
プラットフォーム LGA 1150 LGA 1150 LGA 1150
Haswell Refreshサポート
Broadwellサポート ×
PCI Express 3.0グラフィックス x16 or x8×2 or x8+x4×2 x16 x16 or x8×2 or x8+x4×2
CPU内蔵グラフィックス出力 3 3 3
PCI Express 2.0 8 8 8
SATA3 6 6 6
SATA2
USB 3.0 6 6 6
USB 2.0 10 10 10
サポート可能な総USBポート数 14 14 14
Intel RST 1.3 1.3 1.2
Boot Guard ×

OEM関係者らからの情報をもとにした、IntelデスクトップCPUロードマップ(画面=右)

 ここ数年、IntelはモバイルCPUを開発の主力としてきたため、デスクトップ向けCPUの進化は、あまりはかばかしいものではなかった。しかし、再びIntelがデスクトップPC市場へCPU開発のリソースを回すようになれば、自作PC市場にも新しい波がおとずれるかもしれない。今回発表された製品群の実際の市場投入までには、まだまだ時間があるが、同社の今後の製品ロードマップに要注目だ。

関連キーワード

Intel | CPU | Broadwell | 開発コード名 | Haswell


前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

最新トピックスPR

過去記事カレンダー