自宅Wi-Fiを高速な「802.11ac」にしましょう──事例別「802.11acホームルータ」導入ガイド(後編)階上で電波が届きにくい……場合はどうすればいい?(1/3 ページ)

» 2014年03月24日 16時00分 公開
[坪山博貴(撮影:矢野渉),ITmedia]
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 前編で紹介した3つの基本事例に続き、後編では「階上で、電波が届きにくい」シーンに対応できる「IEEE802.11ac」(以下、11acと略)対応機器の推奨導入事例を検証していこう。

photo 今回評価した11ac対応製品群 左から「Nexus 5」(11ac対応スマートフォン)、「AtermWF1200HP」(無線LAN中継機能搭載2ストリーム11ac対応ルータ)、「AtermW500P」(有線LAN付き11ac対応ホテルルータ・AV機器向け11ac子機 ブラック/ホワイト)、「AtermWG1800HP」(3ストリーム11ac対応最上位ルータ)、「AtermWL900U」(2ストリーム11ac対応PC向けUSB子機)

【導入事例 4】階上や離れた部屋で「無線LANの電波が届きにくい」のが困っている

photo この導入事例にお勧めの「AtermWF1200HP イーサネットコンバータモデル」(実売1万6000円前後 2014年3月現在)。AtermWF1200HPが2台セットになっており、うち1台を「無線LAN電波の中継器」として機能させる使い方にする。電波が届きにくい階上のプライベートルームでも快適に無線LANを利用できる方法だ

 自宅への無線LAN導入において意外とよく聞かれる悩みが「場所によって、電波が届かない/届きにくい」こと。例えば3階建てクラスの一戸建てでは、1階(の電話線がある場所など)に無線LANルータ(親機)を設置すると、3階のプライベートルームでは届きにくい……となりがちだ。プライベートルームで使うスマートフォンも、ならばLTEの方が速いからとガンガン使っていると月末を待たずに通信量の上限に達してしまい、結局使い勝手を損ねてしまう悪循環もあったりする。

 そんな家庭には「AtermWF1200HP イーサネットコンバータモデル」がお勧めだ。【導入事例 1】で推奨したAtermWF1200HPを2台セットにしたパッケージである。ポイントはAtermWF1200HPに備わる「無線LAN電波中継器」機能を有効に活用することにある。

 1台をこれまで通り1階の電話線/インターネット回線の引き込み口がある場所などに置き、もう1台は階上の廊下や階段付近など、プライベートルームとの中間に置くイメージだ。電波を中継することでこれまで届きにくかった階上のプライベートルームでも快適に無線LAN通信が使えるようになる。壁かけ設置も可能な小型ボディのAtermWF1200HPなら、設置方法もかなり自由があるのもポイントだ。

 ここでは「Wi-Fi高速中継機能」を使おう。このモードは、親機と無線LAN中継器間を最大867Mbpsの5GHz帯の11acで通信し、無線LAN中継器からクライアント(階上のPCやスマートフォンなど)は2.4GHz帯の11n(最大300Mbps)で通信する仕組み。2.4GHz帯ならすべての無線LAN機器がサポートするので、PCやスマートフォン、タブレットはもちろん、無線LAN対応のゲーム機などもより快適に通信できるようになるはずだ。

 では実通信速度はどうか。親機とスマートフォンを電波が届きにくくなる階上の部屋の距離まで離し、間に無線LAN中継器を置くことでどれだけ速度が改善されるかを検証してみよう。親機はAtermWF1200HP、スマートフォンはNexus 5、中継器はもう1台のAtermWF1200HPを「Wi-Fi高速中継機能」のモードに切り替えて検証した。

 参考までに、近距離での親機ースマートフォン間の実速度は11ac接続で下り約94Mbps/上り約74Mbps。中継器を置く場所(3階の階段付近)では下り約45Mbps/上り約47Mbpsが出る。一方、3階のプライベートルームでは11acが(電波が届かず)接続不可、2.4GHz帯11n接続はギリギリエリアで上り/下りともに9Mbpsと極めて遅くなる環境だ。親機から階段を上った3階まではある程度強めに到達したとしても、そこからプライベートルームまでの水平方向には効率よく伝わりにくいようだ。

 そこでWi-Fi高速中継機能を有効した子機を置くとどうか。プライベートルームでも、実速度で下り約51Mbps/上り約41Mbpsを記録し、11n接続時で約5倍もの劇的な改善が確認できた。

photo AtermWF1200HP─AtermWF1200HP(Wi-Fi高速中継機能)─スマートフォン間の無線LAN通信速度。もう1台のAtermWF1200HPを無線LAN中継器として使うことで、これまでは無線LAN電波が届きにくかった階上のプライベートルームでも快適な速度に改善された

 実速度もそうだが、無線LANの電波状況が安定するようになったので速度の揺れがなくなり、実利用面での体感値もかなり改善された。安定して通信できると、スマートフォンやタブレットなどでの動画コンテンツやアプリのダウンロードも極めて快適になる。部屋ではLTEのほうが速いので……とあえて非効率でコストが余計にかかるかもしれない手段をとる必要もなくなるはずだ。

photo 電波中継機能は、もちろんPCでも有効だ(PC内蔵の2.4GHz帯11n無線LANを使う)。PCはスマートフォンと比べると電波利得が高いが、2.4GHz帯といえども安定して無線LAN電波が届くなら、より高速に、安定して通信したいシーンにとても有効だ。ちなみにもう1台AtermWF1200HP(計3台)を導入して最後の子機とPCやAV機器を有線LAN接続すると、親機から子機までの区間を5GHz帯11ac(最大433Mbps)で結べる「Wi-Fi TVモード中継機能」も利用できる
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