「dynabook N51/NG」徹底検証――薄型軽量化した11.6型“ファンレス”ノートPCの魅力に迫るスペックに現れない「東芝品質」とは?(1/4 ページ)

» 2014年11月21日 09時30分 公開
[鈴木雅暢(撮影:矢野渉),ITmedia]
ココが「○」
・洗練された小型軽量ボディ
・使い勝手のよいキーボード
・ファンレス設計で高い静音性
ココが「×」
・パフォーマンスは控えめ
・バッテリー駆動時間は短め
・性能だけをみるとやや割高

より洗練された「タッチ対応ネットノート」

 数ある東芝のノートPC秋冬モデルで最安値となるモデル、それが11.6型の「dynabook N51」だ。同社が「タッチ対応ネットノート」と呼ぶエントリークラスのタッチパネル付きコンパクトノートPCであり、dynabookシリーズでも売れ筋機種に位置付けられる。

 ネットノートとは、かつてのNetbookのワンランク上を意識した製品。性能はやや控えめながら、ネットコンテンツやSNS、Officeなどは不満なく利用できるレベルを確保し、通常のノートPCより求めやすい価格を実現しているのが特徴だ。

 2014年秋冬モデルの「N51/NG」は、セールスが好調だったという夏モデル「N51/25M」からボディを一新し、薄型軽量化を果たしながら、オフィススイートも強化した。実売価格は9万円前後だ(税別)。

 それでは早速、性能や使い勝手をレビューしていこう(テストしたのは試作機のため、実際の製品とは一部異なる可能性もある)。

東芝製ノートPCの秋冬モデルでは最安となる「dynabook N51/NG」。夏モデル(N51/25M)からボディを一新し、より魅力的に生まれ変わった

カラーは華やかなサテンゴールドに、ボディはより薄型軽量に

 新しいdynabook N51/NGのボディはイメージがガラッと変わった。新カラーの「サテンゴールド」は華やかさと上品さを兼ね備えた淡いゴールドで、テクスチャをインプリントした光沢仕上げの天面、アルマイト風のパームレスト、天面と同じテクスチャをプリントした樹脂製の底面、いずれの色合い、質感とも絶妙だ。

 ほぼフラットで手前側を少し絞ったフォルムはよくあるものだが、線は徹底的にシンプルだ。端子類にカバーを付けたり、底部のネジ穴を隠すなどといったコスト増につながるようなことはしていないのだが、そういう理屈とは別の次元で、明らかにデザインのセンスがあか抜けた印象を受けた。金属ボディの上位機種より低コストながら、外装のデザインはかなり健闘していると言える。

 これまでの同社の低価格ノートPCにはなかった華やかな存在感があり、柔らかいイメージもあるため、11.6型というコンパクトなボディも相まって、女性ユーザーにもアピールできるだろう。ブラックとシルバーのツートーンで質感がもうひとつだった夏モデルとは大きく違っている。

 ボディサイズは約289(幅)×199(奥行き)×21.9(高さ)ミリだ。夏モデルに比べて、横幅は5ミリ増えたが、奥行きは9.6ミリ短く、最厚部は1.6ミリ薄くなった。重量も夏モデルより200グラム軽い約1.3キロに絞り込んでいる。実測での重量は1266グラムと、公称値より少し軽かった。同じdynabook N51という製品名だが、ボディは完全に別物だ。

 この小さなフットプリントは11〜12型クラスならではで、13型クラスとは一線を画す手軽さ、扱いやすさがある。重量については、価格を優先していることもあって最軽量クラスとは差があるが、手軽で扱いやすいイメージを損なわない程度には軽量だ。

華やかさと上品さを兼ね備えた淡いゴールド「サテンゴールド」を採用。天面にはテクスチャパターンをインプリントし、光沢で仕上げている。艶やかな光沢感がサテンゴールドの華やかさ、優雅さを引き立てる。ツルツルとしたなめらかな手触りだが、ベトつく感じはなく、指紋も付きにくい考えられた外装だ。向かって左下にある「TOSHIBA」ロゴはミラー加工が施されている
液晶ディスプレイを開いた内側は、アルマイト風のパームレストにブラックのキーボードが映える(写真=左)。画面の周囲もブラックで塗られている。底面は樹脂製で、クリーム色だ(写真=右)。表面には天面と同じテクスチャパターンをプリントしている。高級感はないが上品にまとまっており、手触りもよい

 バッテリー容量は25.6ワットアワー(CPUID HWMonitor表示)で、公称のバッテリー駆動時間は約4.6時間(JEITA 2.0)だ。一線級のモバイルPCと比べると見劣りは否めないが、夏モデルの約3.2時間からは大きく進歩した。実際の駆動時間テストは後ほど行なう。

 付属のACアダプタは、実測でのサイズが35(幅)×83(奥行き)×25(高さ)ミリ(突起部を除く)、電源ケーブル込みでの重量が195グラムだ。本体直付けのケーブルが30ミリほど張り出す点は気になるが、本体と一緒に携帯しても苦にならないサイズと重量に収まっている。

CPUID HWMonitorによると、内蔵バッテリーの容量は25.6ワットアワーだった(画面=左)。付属のACアダプタは、小型軽量で持ち運びやすい(写真=右)

基本スペックは「ネットノート」のコンセプト通り

 「ネットノート」のコンセプト通り、基本スペックはノートPCとしては必要最小限レベルだ。CPUのCeleron N2840(2.16GHz/最大2.58GHz、2コア/2スレッド、2次キャッシュ1Mバイト)は、第4世代Core(開発コード名:Haswell)の廉価版ではなく、「Bay Trail-M」の開発コード名で知られる低価格ノートPC向けのSoC(System On Chip)で、タブレット向けのAtom Z3000シリーズと共通のCPUコア「Silvermont」を採用する。

 夏モデルが搭載していたCeleron N2830(2.16GHz/最大2.4GHz)との違いは、CPUコアの最大クロックが2.4GHzから2.58GHzへ、内蔵グラフィックスコア(Intel HD Graphics)の最大クロックが750MHzから792MHzと向上していることだ。

 性能はやや控えめながら、TDP(熱設計電力)は7.5ワット、SDP(Scenario Design Power:シナリオに基づいた消費電力設計)は4.5ワットと省電力(低発熱)の優位性が高く、dynabook N51/NGではファンレス設計を実現しているのがうれしい。

 一方、メモリは4Gバイト(PC3L-10600、デュアルチャンネル対応)、データストレージは500Gバイトの2.5インチHDD(5400rpm)と夏モデルから据え置かれている。

 低価格ノートPCにおいては、小容量のSSDと大容量のHDD、どちらがよいかは好みが分かれるところだろう。このくらいの低価格モデルに搭載されるSSDの性能はそれほど高くなく、Windows 8以降はHDDでもOS操作のレスポンスがかなり軽快になった。クラウドストレージやNASなどを日常的に活用していない一般的なユーザーを前提にすれば、500GバイトくらいのHDDを搭載していたほうが不便は少ない。

 製品としての色気を出すのならば、64Gバイト、いや32GバイトでもいいからSSDを搭載すべきと考えるが、ここは無難な選択に落ち着いている。SDメモリーカードスロット(SDXC対応)を備えているとはいえ、PCではどうしてもデータ交換用スロットとしての役割が求められてしまうこともあり、仕方がないところだろうか。

CPU-Zの情報表示。CPUは開発コード名「Bay Trail-M」のCeleron N2840(2.16GHz/最大2.58GHz)を搭載する(画面=左)。メモリは標準で4Gバイトと十分な容量がある(画面=右)。メモリの交換や増設は不可だが、デュアルチャンネルアクセスに対応している

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