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» 2014年12月06日 00時00分 UPDATE

31.5型の大画面+UHD 4Kの高精細:やはりEIZOの4Kディスプレイは格が違った!?――「FlexScan EV3237」徹底レビュー (1/3)

続々と登場するPC向け4Kディスプレイ。急激な低価格化には驚かされるばかりだが、一方でビジネス層やハイエンド層が納得できる製品は不足している。満を持して投入されたEIZOの「FlexScan EV3237」は、こうした層が魅力を感じる製品に仕上がっているだろうか?

[榊信康(撮影:矢野渉),ITmedia]
ココが「○」
・31.5型の大画面+4Kの高精細表示
・安定した画質と多彩な表示機能
・疲れ目対策、省エネ機能の充実
ココが「×」
・PC向け4Kディスプレイでは高額
・表示密度のカスタマイズが必要

こだわり派も納得の4Kディスプレイが登場か

 2014年のPCディスプレイ市場は、終始4Kの話題で持ちきりだった。2013年末にデルが4Kディスプレイを驚くほど低価格で投入したのを皮切りに、年明けから各メーカーが次々に対抗機種を発売していき、この1年でかなり製品数が増加している。

 ただし、ビジネス層やハイエンド層が納得する製品はというと、実はなかなか難しい。低価格に強みがある4Kディスプレイは、フルHDディスプレイからの乗り換えを意図した製品が大半だが、4Kの高解像度を高精細表示ではなく、表示領域拡充に利用したい場合、28型以下では画素ピッチが細かすぎてスケーリング表示の拡大率をかなり上げて使うことになり、物足りなさを感じるかもしれない。また、表示品質にも課題がある。

 EIZOが9月に発売した「FlexScan EV3237」は、まさにこうした不満を抱えるユーザーにうってつけの高性能4Kディスプレイだ。画面サイズは31.5型と大きく、IPSパネルの採用で広視野角を確保している。表示品質についても、実績あるEIZO独自の高画質化技術により期待できるだろう。実際、発売後には予想以上の反響があり、受注に生産が追いつかない状況だったというが、ようやく1台入手したので、その実力をチェックしていこう。

tm_1408_ev3237_01.jpg EIZOのUHD 4K対応31.5型ディスプレイ「FlexScan EV3237」。エコとエルゴノミクスに配慮したPC用ディスプレイ「FlexScan EV」シリーズのハイエンドモデルとなる

広い作業スペースと精細で滑らかな表示を両立

 31.5型のIPS液晶パネルは反射を抑えたノングレア仕様で、表示解像度が3840×2160ピクセルのUHD 4Kに対応する。フルHD(1920×1080ピクセル)の縦横2倍となる高解像度だ。表示面積は696.9(横)×392.0(縦)ミリ、画素密度は約140ppi(pixels per inch:1インチあたりのピクセル数)、画素ピッチは0.1815×0.1815ミリと、広大な作業スペースと高画素密度による精細表示を両立しているのは見逃せない。

tm_1408_ev3237_02.jpg 3840×2160ピクセルのUHD 4Kに対応した31.5型ワイド液晶を採用。IPS方式で視野角が広い。表面はノングレア仕上げで、光の反射や映り込みが抑えられている

 この画面サイズだと視聴距離は50〜60センチ程度になるが、この距離で0.1814ミリという画素ピッチ、約140ppiという画素密度は、視力の高いユーザーがドットバイドットの100%表示でどうにか使えるギリギリの細かさと言える。小さな文字などは読みづらいため、状況に応じて、画面に顔を近づけて見ることになるだろう。やはり無理なく小さな文字も視認できる程度まで、スケーリングで拡大表示して使うのがおすすめだ。

 とはいえ、約140ppiと極端に画素密度が高いわけではないので、Windowsのスケーリング設定を「中-125%」にすれば、割と無理なく利用できる。ちなみにWindowsのデスクトップUIでは標準的な表示密度として96dpiを想定しているが、「大-150%」に設定すれば、同程度のサイズで表示が可能だ。この場合、23型フルHD液晶ディスプレイとほぼ同じアイコンや文字サイズで、31.5型の広い作業スペースが得られることになる。

 購入して設置したら、まずは視力や視聴距離、用途に応じてスケーリングの拡大率をいろいろと変えながら最適な設定を探ってみるとよいだろう(Windows OSではスケーリング設定を変更して適用する度に、ログオンし直さなければならないのが少々面倒だが)。

tm_1408_ev3237_03.jpgtm_1408_ev3237_04.jpg Windowsでのスケーリング拡大設定によるアイコンと文字の見え方の違い。左が「小-100%」、右が「中-125%」の表示
tm_1408_ev3237_05.jpgtm_1408_ev3237_06.jpg 左が「大-150%」、右が「特大-200%」の表示
tm_1408_ev3237_07.jpg 「超特大-250%」の表示

 約140ppiという画素密度は、昨今の高画素密度ディスプレイを搭載したスマートフォンやタブレットに比べると粗いものの、これらより遠くから画面を眺めることが前提であり、現状で96ppiが主流となっている外付けディスプレイとしてはかなり精細な表示だ。スマートフォンやタブレットに近い感覚の緻密で滑らかな表示が、31.5型のワイド大画面で味わえるのだから、何ともぜいたくな体験と言える。

 実際に4K動画や写真、ゲームなどを表示してみたが、高精細と大画面の織りなすインパクトは強烈だ。最も印象的だったのは、筆者が撮影した下手な写真でも「悪くない?」と錯覚できたこと。この辺りはL判とA3のプリントを見比べたときの感覚に近い。眼前いっぱいに広がる画面が、よどみなく滑らかに描かれるだけでこれほどに心地よく感じられるのだ。多分に感覚的なことなので、可能であれば是非実機を見ていただきたい。

 ディスプレイ表面は光の反射や映り込みが目立ちにくいノングレア処理なので、31.5型の大画面でも画面が見やすく、表示内容に集中できる。ノングレア処理のディスプレイでは、画素形状と低反射処理層の干渉などから、表面にギラギラした乱反射や粒状感が発生する製品もあるが、高画素密度のFlexScan EV3237はこうした点も気にならない。

tm_1408_ev3237_08.jpg 高画素の写真や4K動画は、31.5型の大画面による迫力と、約140ppiの4K表示による精細で滑らかな表示が同時に味わえる

 無論、見栄えのよさ以外にも、31.5型の4Kディスプレイには大きなメリットがある。広大な作業スペースと精細な表示を両立できるため、広域を表示したCADデータの細線やスプレッドシートの数値もしっかりと把握できるのだ。ブラウザやウィンドウ、その他のアプリケーションを多数並べたマルチタスクの作業も快適に行えるため、業務効率アップへの貢献も期待できる。

tm_1408_ev3237_09.jpg 100%表示では、ここまで広大なデスクトップの作業スペースが得られる。一般的なPC作業から専門的な用途まで、幅広い利用シーンでの効率アップが図れるだろう

 さらにFlexScan EV3237は大画面をより活用するためにPicture by Picture(PbyP)やPicture in Picture(PinP)といった機能も盛り込んでいる。特にPbyPは合計4系統(DiplayPort×2、HDMI×1、DVI-D×1)の映像入力をフル活用し、縦横に4分割(フルHDの4画面)で表示できるのが面白い。

 そのほかにもPbyPは表示モードを豊富に備えており、横に2分割(3840×1080ピクセルを2画面)、縦に2分割(1920×2160ピクセルを2画面)、その左半分(または右半分)をさらに横に分割(1920×2160ピクセル+フルHDの2画面)といった表示に対応する。画面ごとに異なる画質モードの設定を割り当てることも可能だ。

tm_1408_ev3237_10.jpgtm_1408_ev3237_11.jpg PbyPやPinPの設定はOSDメニューから行える。PbyPは5つのレイアウトが用意されており、4つの映像信号を同時に映し出せる(写真=左)。PinP機能では子画面の大きさを2サイズから選択でき、4隅に配置可能だ(写真=右)
tm_1408_ev3237_12.jpg PbyP機能で3つの映像信号を同時表示。左半分は1920×2160ピクセルの縦長表示、右上と右下がそれぞれ1920×1080ピクセルの表示だ。PbyPの4画面表示では、15〜16型程度のフルHDディスプレイを隙間なく4枚並べるのと同じような見え方になる
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