2014年下半期の「モバイルPC」おすすめ“7選+α”PC USERアワード(1/3 ページ)

» 2014年12月29日 17時45分 公開
[前橋豪,ITmedia]

2in1とクラムシェルのモバイルPCはどれが“買い”か?

 特集「PC USERアワード 2014年下半期」では、ITmedia PC USER編集部がジャンル別におすすめ製品を格付しながら紹介していく。対象となる製品は、2014年下半期(7月〜12月)に登場した新モデルだ。

 今回は、キーボードの着脱機構や変形機構を備えた「2in1デバイス」(タブレットとしてもノートPCとしても使えるコンバーチブルPC)と、携帯性の高いクラムシェルの「モバイルノートPC」をまとめて取り上げる。現在、モバイルPCの購入を検討する場合、これらを横断的に見て製品選定することが多いと思われるからだ。2014年上半期(1月〜6月)のアワードはこちらをご覧いただきたい。

 ちなみに「Surface Pro 3」のようなCoreプロセッサ搭載の高性能Windowsタブレットは、UltrabookなどのノートPCと同等のCPUを搭載し、冷却ファンも内蔵することから、サイズ感や使用感がiPad/Androidタブレットと大きく異なり、キーボードと組み合わせて使うことが前提の製品なので、今回のアワードに混ぜている。

 一方でAtomプロセッサ搭載の省電力なWindowsタブレットは、使用感や価格帯がiPad/Androidタブレットの競合に近い位置付けになるため、先に掲載した「タブレット編」に含めた。合わせて参照していただきたい。

2014年下半期のおすすめ「モバイルPC」――ITmedia PC USER編集部が選ぶ
GOLD Let'snote RZ4 (パナソニック)
SILVER Surface Pro 3 Core i3モデル (日本マイクロソフト)
BRONZE VAIO Pro 13 (VAIO)
Recommended YOGA 3 Pro (レノボ・ジャパン)
Recommended LaVie U LU550/TSS (NECパーソナルコンピュータ)
Recommended HP Stream 11-d000 (日本ヒューレット・パッカード)
Recommended Dell Chromebook 11 (デル)
特別賞 VAIO Prototype Tablet PC (VAIO)

「ゴールド」――Let'snote RZ4(パナソニック)

左が第4世代Core Y、中央がCore M。省電力化とともにパッケージが小さく薄くなり、ファンレス設計の2in1や高性能タブレットを実現できるようになった

 2014年後半のモバイルPCで大きなトピックと言えば、インテルの最新プロセッサ「Core M」(開発コード名)とその搭載製品が発売されたこと。Broadwell-Yという開発コード名から分かるように、2015年初頭に登場する予定の第5世代Core(Broadwell)から、一足先に省電力モデルがCore Mとしてリリースされた形だ。

 第4世代Core(開発コード名:Haswell)のYプロセッサ後継となる製品だが、製造プロセスルールを22ナノメートルから14ナノメートルに微細化し、実装面積を小さくしながら、性能を引き上げ、TDP(熱設計電力)は約60%減の4.5ワットと省電力・低発熱に抑えている。Core Mという新ブランドを立ち上げることで、ファンレス設計の2in1や高性能タブレットも実現できる低消費電力プロセッサについて認知拡大、拡販を図る構えだ。

 さて、日本でも年末商戦に向けてCore M搭載機がいくつか発売され、高感度のPCユーザーを中心に注目を集めている。中でもゴールドに選出したパナソニックの「Let'snote RZ4」は、秀逸な10.1型2in1デバイスであり、新プロセッサがもたらす新たなユーザー体験が存分に味わえる魅力的な製品だ。

パナソニック「Let'snote RZ4」

 Let'snote RZ4最大の特徴は、360度回転ヒンジを搭載した10.1型2in1デバイスでありながら、約745グラムという世界最軽量の軽さ(コンバーチブルPCにおいて)を実現したことにある。実際に手に持つと、予想以上の軽さに驚くことだろう。Core Mなのでファンレス設計も可能だが、ヒートパイプの重量が増すため、あえてファンを搭載し、軽量、冷却、そして性能にも配慮している。

 もちろん、Let'snoteがこだわり続けている堅牢性は継承されている。軽量かつ19.5ミリ厚と薄く仕上げたボディでも、76センチの落下試験や100kgf(重量キログラム)の加圧振動試験に耐える頑丈さを兼ね備えているのだから素晴しい。フルHD(1920×1080ピクセル)より縦解像度が少し高い1920×1200ピクセルの10.1型IPS液晶ディスプレイは広視野角で縦位置でも見やすく、タブレットスタイルの使い勝手もなかなかのものだ。

 小型のモバイルPCゆえ、キーボードのキーピッチは16.8(横)×14.2(縦)ミリと特に縦方向が少し窮屈だが、キーストロークは約1.5ミリと十分深く、入力時にたわみなどは感じられず、キー配列のレイアウトには癖がないため、慣れれば長文の入力も無理なく行える。左右ボタンが独立し、HOLDボタンが付いたタッチパッドも扱いやすい。

 そのほか、アナログRGB出力や有線LANといったビジネス向け端子、薄型軽量ながら約10時間(JEITA 2.0)を確保したバッテリー駆動時間、Panasonic Storeで購入できるLTE(Xi)対応モデル、遊び心あるブルー&カッパーのカラーなど、初めてのCore M搭載機とは思えないほど完成度が高い。個人的にInstantGoに対応しないのは惜しいが、ビジネス用PCであることを考えれば、妥当な仕様と言える。

 Let'snoteシリーズらしく価格は高額だが、予算さえ許せば、ビジネス向けのコンパクトな2in1として筆頭候補に挙げられる製品だ。かつての名機「Let'snote R」シリーズを愛用していたユーザーにも強くおすすめしたい。

       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

最新トピックスPR

過去記事カレンダー