2014年下半期の「モバイルPC」おすすめ“7選+α”PC USERアワード(2/3 ページ)

» 2014年12月29日 17時45分 公開
[前橋豪,ITmedia]

「シルバー」――Surface Pro 3 Core i3モデル(日本マイクロソフト)

 2014年上半期のアワードでゴールドに選んだのは、日本マイクロソフトが7月に国内販売を開始した「Surface Pro 3」だった。年末商戦でもその勢いは衰えることなく、10月には一般向けモデルに付属するOffice Home & Business 2013を「Office Premium プラス Office 365 サービス」(Office Premium)へ刷新して価格据え置きで発売し、人気を集めている。

 今回は、10月に追加発売された「Office Premium付きのCore i3モデル」をシルバーに選出した。9万1800円(税別)と10万円を切る価格で購入できることに加えて、12月31日までSurface Pro 3本体を購入すると「タイプカバー」(税別1万2980円)がもらえるキャンペーンを実施しており、買い得感が高まっていることが決め手となった。

日本マイクロソフト「Surface Pro 3 Core i3モデル」

 Surface Pro 3の特徴は上半期のアワードで述べた通り、9.1ミリ厚、約800グラムのスタイリッシュな薄型軽量ボディ、アスペクト比3:2で横位置でも縦位置でも使いやすい12型ディスプレイ(しかも2160×1440ピクセル/約216ppiと高精細)、OneNote連携が強化されてデジタルノート用途で使いやすくなった筆圧ペン機能、改良されたキックスタンドとタイプカバーなどが挙げられる。キーボードカバー着脱式の2in1としては頭1つ抜けた存在だろう。

 10月に発売されたCore i3モデルは、Office Premiumの採用が新たな魅力となる。これはOffice Home & Businessが付属し、永続的にWord、Excel、Outlook、PowerPoint、OneNoteといった最新版のOfficeデスクトップアプリに無償アップデートが行えるというものだ。また、オンラインストレージのOneDrive、マルチデバイスでのOffice利用(iPhone/iPad、Android)、月間60分のSkype無料通話、無償サポート(アンサーデスク)を含むOffice 365サービスの1年間利用権も付加される(2年目以降の利用料は税別5800円)。

 もう1つ覚えておきたいのは、Core i3モデルは省電力な第4世代Core YプロセッサのCore i3-4020Y(1.5GHz)を搭載していることだ。第4世代Core Uプロセッサを採用した上位のCore i5/i7モデル(TDP 15ワット)に比べて、最大パフォーマンスはワンランク劣るものの、省電力で低発熱(TDP 11.5ワット/SDP 6ワット ※SDPは特定シナリオを想定した電力指標)というメリットがある。

 Core i5/i7モデルは高負荷状態が続くと、発熱に伴ってサーマルスロットリング(CPUが発熱しすぎないように動作クロックを下げる機能)が働き、クールダウンさせるまでパフォーマンスが低下しがちな傾向にあるので、省電力かつ低発熱のCore i3モデルのほうがSurface Pro 3の熱設計で無理なく運用できるとも言える。こうした点も考慮すると、Surface Pro 3のCore i3モデルはバランスがよい。

「ブロンズ」――VAIO Pro 13(VAIO)

 今年、国内PC業界に大きな衝撃を与えたのが、ソニーのPC事業売却だ。ソニーは投資ファンドの日本産業パートナーズにVAIOブランドのPC事業を譲渡し、7月1日には新たにVAIO株式会社が発足、約240名の従業員数で事業を開始した。ソニーから離れ、「VAIO Pro 11」「VAIO Pro 13」「VAIO Fit 15E」の3シリーズに絞った製品ラインアップで再スタートを切っている。

 この中で最もおすすめしたい製品が、13.3型モバイルノートPC「VAIO Pro 13」だ。基本設計はソニー時代の2013年夏モデルからほぼ変わらないものの、開発陣が「数年通用するクラムシェルノートPCの最先端を目指した」と語る通り、2014年の年末商戦においても色あせない魅力を放っており、今回はブロンズに選出した。これは第5世代Coreが今年リリースされず、現行世代のハードウェアを維持できたことが大きい。

VAIO「VAIO Pro 13」

 VAIO Pro 13は、タッチパネルなしの構成で厚さ11.3〜15.8ミリ、重さ約0.94キロ(512GバイトSSD搭載時は約0.96キロ)の薄型軽量モバイルノートPCだ。薄型かつ高剛性の洗練されたUDカーボンボディを採用しながら、第4世代Core UプロセッサやPCI Expresss接続の高速SSDといった高性能、色鮮やかなフルHD液晶ディスプレイ、打ちやすいキーボード、長時間のバッテリー駆動と、総合的なバランスに優れている。

 新生VAIOになってからは、CPUの第4世代CoreがHaswellから最新版のHaswell Refresh(開発コード名)に進化し、OSは64ビット版Windows 8.1 Pro Updateを選べるようになり、この秋にはオフィススイートのラインアップにOffice Premiumも加わるなど、現行世代へのアップデートはきちんとできている。

 また、長野県安曇野市の本社にて最終仕上げと品質チェックを行う「安曇野FINISH」は、VAIO新会社が力を入れているポイントだ(VAIO Proは海外生産なので、ソニー時代は品質チェックなども現地で行っていた)。

 国内メーカーの薄型軽量クラムシェルモバイルノートPCとしては、上半期のアワードでブロンズに選んだNECパーソナルコンピュータの「LaVie Z」とともに、高い満足度が得られる製品と言える。

「特別賞」――VAIO Prototype Tablet PC(VAIO)

 こうして大きな転機を迎えたVAIOだが、特にモバイルPCの分野では世界トップレベルの開発力を備えており、主要なプロダクトマネージャーが新会社に移籍したことから、今後の新モデルにも大いに期待できそうだ。

 実際、同社が10月にお披露目したクリエイター向け高性能タブレット「VAIO Prototype Tablet PC」は、ノートPC向けCPUで最上級となる4コア/8スレッド対応の第4世代Core Hプロセッサ、CPU内蔵グラフィックスの上位版であるIris Pro Graphics、2560×1704ピクセル(3:2)の高解像度に対応し、Adobe RGBカバー率95%の広色域まで備えた12.3型液晶ディスプレイ、PCI Express接続の高速SSDなど、タブレットとは思えない強力なスペックを誇る。

VAIO「VAIO Prototype Tablet PC」

 まだ製品化も未定の試作機とのことだが、PC USERで掲載したファーストインプレッション記事の反響は現行製品を大きく上回る勢いがあり、VAIOの変わらないブランド力を再認識させられた。2015年での製品化を願って、こちらを「特別賞」に選出する。

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