達人レビュアーが選ぶ「2014年の私的ベストPC/タブレット」Surface、Core M、4K、5K、超小型……(2/3 ページ)

» 2014年12月30日 16時30分 公開
[鈴木雅暢,ITmedia]

4K時代の扉を開く大画面ノート――「dynabook T954」

 4月に発売された東芝の「dynabook T954」は、UHD 4K解像度(3840×2160ピクセル)に対応した15.6型ワイド液晶ディスプレイを搭載したプレミアムモデル。世界初となった4Kディスプレイ搭載ノートPCだ。表示の精細さだけでなく、1台1台色味の調整を行って出荷しており、とことんビジュアルにこだわった。

ノートPCに4Kディスプレイを最初に持ち込んだのは東芝の「dynabook T954」だった

 画面の美しさはもちろんだが、基本性能、サウンド品質、キーボードの打ちやすさ、通信機能や接続性なども含めて、ノートPCとしての完成度の高さも評価できる。大画面に光学ドライブまで搭載した据え置き前提のフルスペックPCでありながら、厚さ27.9ミリ、重さ約2.4キロと扱いやすいサイズと重量に収めていることもポイントだ。

 このように1キロ台前半より上のPCカテゴリに、技術の進化を還元する動きはもっとあっていい。大画面ノートPCに面白い製品が少なくなってきているのだ。

超快適な小型エンターテインメントマシン――「SHIELDタブレット」

 今回はPCを中心に取り上げているが、2014年のAndroidタブレットで最も刺激された製品も挙げておきたい。それはNVIDIAの「SHIELDタブレット」だ。

NVIDIAの「SHIELDタブレット」は、ゲーム向けに作り込んだ8型Androidタブレットだ

 最新プロセッサ「Tegra K1」のパフォーマンスは、ゲーミングでもOS操作やWebブラウジングでもサクサクで、明るく見やすい8型ワイド液晶、迫力あるサウンド機能も実に心地よい。意味なくグラフィックスに凝ったゲームをやってみたくなるほどだ。さらに操作性のよい専用コントローラに加えて、PCゲームのリモートプレイやリアルタイム配信機能、手書きができるスタイラスなど、付加価値も満載している。

 絶妙だと感じるのが、ゲーミングというテーマにフォーカスし、ハードウェア/ソフトウェアをしっかりと作り込み、ヘビーゲーマーも納得の性能と機能を実現していながら、Androidタブレットとしての汎用(はんよう)性を残している点だ。

 ボディのデザインはさりげなく個性を主張しつつもシンプルにまとめているし、OSの基本的な部分も過剰にカスタマイズせず、シンプルなAndroidのUIを残している。映画や音楽の鑑賞、電子書籍なども含めたエンターテインメントの一環としてカジュアルにゲームを楽しみたい、というユーザーにとっても使いやすい仕上がりだ。

惜しすぎる問題作――「第2世代のThinkPad X1 Carbon」

 レノボ・ジャパンが2014年春に投入した第2世代の新しい「ThinkPad X1 Carbon」。これは賛否が分かれる製品だ。5列+タッチスクリーン1列という変則の「Adaptiveキーボード」はあまりに個性的すぎる。手頃な価格でサブノートと割り切れる製品ならばいざ知らず、メインマシンとしてバリバリ活躍してもらわなければ困る価格帯で、あえてこれを選ぶ勇気があるユーザーは少数派だろう。

第2世代の新しい「ThinkPad X1 Carbon」は、最上段をタッチスクリーンにした「Adaptiveキーボード」、トラックポイントとクリックパッドの機能を融合した「5ボタンクリックパッド」が備わった挑戦的なクラムシェルノートだ

 しかし、先代モデルより14型ワイド液晶ディスプレイを高解像度化(2560×1440ピクセル)しながら軽量化しており、56本ものネジを使って固定しているというキーボードのタッチ感へのこだわりも健在だ。デザインチームがリードして開発を進めてきたというだけあって、フォルムも実に美しい。キーボードの配列以外はとても素晴らしいものだ。

 物理的なキーボードが5列に収まれば、ボディはさらに薄く軽くでき、PCのスタイルはより自由になる。そういう意味でこの冒険に価値はないとは言えないが、上質な入力環境にこだわり続けてきた伝統のThinkPadブランドとはやはりアンバランスだ。キーボードの配列は慣れることである程度解消できるため、購入したユーザーが満足していないことはないだろうが、これを教訓にしたよりよい製品の登場を望みたい。

レノボの進撃目立つ――「YOGA Tablet 2-1051F」「YOGA 3 Pro」

 2014年の特に後半からは、レノボ・ジャパンの元気さが目立った。日本のPCユーザーにとっては、レノボと言えば、IBMからThinkPad事業を買収した企業であり、「レノボ=ThinkPad」というイメージもあるだろう。かくいう筆者もそういう認識が強かったが、2014年後半からの同社は実にアグレッシブで、認識を改めさせられた。

 海の家やハロウィンパーティ、製品名とかけたヨガイベントなど、あえてITやPCとの関連が薄い分野へ知名度を高めるといった活動も目立ったが、そうした派手な活動が生きるのも製品自体の魅力があってこそだ。

 スタンド機構を取り込んだシリンダーフォルムのタブレット「YOGA Tablet 2」、きらびやかなウォッチバンドヒンジを備えたCore M搭載13.3型2in1「YOGA 3 Pro」などの製品群も、デザイン的な魅力だけでなく、機能面でも合理性を備えており、独自の存在感を大いに印象付けた。

スタンド機構を取り込んだシリンダーフォルムのタブレット「YOGA Tablet 2」。画面サイズは3種類(8型、10.1型、13.3型)から、OSは2種類(Android、Windows ※13.3型はAndroidのみ)から選べる。写真の「YOGA Tablet 2-1051F」は10.1型Windowsモデルであり、使いやすいキーボードカバーが付属するのがポイントだ
腕時計のメタルバンドのような360度回転ヒンジを備えた13.3型2in1デバイス「YOGA 3 Pro」。3200×1800ピクセル表示の高解像度液晶、薄型軽量ボディが目を引くが、これも日本語キーボードの配列が惜しい製品だ

サクサク操作感のライトウエイトPC――「Dell Chromebook 11」

 GoogleのChrome OSを搭載した新感覚のノートPC「Chromebook」がついに日本に上陸した。為替相場の影響もあって、驚くほど安価というわけではないが、起動の速さ、Webブラウジングやテキスト処理における使用感のよさは注目すべきものがある。

 日本での展開はまだ始まったばかりだが、海外では数年の実績があるだけにWebブラウジングやテキスト入力中心としたモバイルマシンとしての実用性、使い勝手はかなり洗練されている。Chromeブラウザを介してWindowsベースのPCとの連携もスムーズにできるので、Windows PCにプラスして導入するサブマシンとして魅力的な存在だ。

 現在正規に個人向けに販売されているChromebookは、デルの「Dell Chromebook 11」、日本エイサーの「Chromebook C720/2」(初代Chromebook C720からマイナーチェンジした後継モデル)、ASUSTeK Computerの「Chromebook C300MA」の3種類がある。いずれもベースは企業、教育向けモデルそのままだけに華やかさは欠けるが、2015年に引き続き注目したいカテゴリだ。

こちらはデルの11.6型モデル「Dell Chromebook 11」。Chromebookとして高めのスペックと入力しやすい日本語キーボードが特徴だ

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