最新ルータ「AtermWG1200HP」の“グッと進化した”中継機能に注目するデュアルバンド中継の実力に驚け(2/4 ページ)

» 2015年03月18日 16時00分 公開

WG1200HPに変えるだけでも大幅な改善を確認

 検証では、まず無線LAN親機をWG1200HPに交換してみた。ノートPCから従来通り2.4GHz帯のIEEE802.11nで接続すると下り25Mbps、上り31Mbps程度まで一気に実効通信速度が改善した。このぐらいの速度が出ると、インターネット利用で困ることはほとんどなさそうだ。スマートフォンからも2.4GHz帯のIEEE802.11nで無線LAN接続が実効7Mbps程度となり、YouTubeのHD動画も途切れることなく再生できるレベルになった。無線LAN親機をWG1200HPに変更しただけで2.4GHz帯での通信速度が安定、高速化したのは明らかで、その改善幅も非常に大きい。

 ノートPCからはIEEE802.11acでも接続は可能だったが、無線LAN接続が不安定で、速度計測も最後まで実行できなかった。家屋の構造的に電波がかなり複雑に反射しながら通信をしているので、周波数の低い2.4GHz帯の優位性が効いたのだろう。

無線LAN親機を交換した場合の転送速度

 次は、WG1200HPのWi-Fi中継機能を利用してみる。WG1200HPを2台組み合わせるのがベターではあるが、WG1200HPを中継機として利用するときの親機はWPS対応製品であればいい。そこで、ここではWG1200HPだけでなく今まで使っていた5年前の無線LAN親機(以降旧親機)も親機として利用し、WG1200HPを中継機として利用した場合のパフォーマンスを比較してみた。

 中継機として使うWG1200HPは、キッチンの部屋B寄りに設置する。中継機は親機がWG1200HPの場合はIEEE802.11acで接続し、5GHz帯非対応の旧親機では2.4GHz帯のIEEE802.11nで接続している点に注意してほしい。無線LANクライアント側はIEEE802.11acと2.4GHz帯のIEEE802.11nの両方で通信速度の計測を行っている。

中継機として使うWG1200HPをキッチンの部屋B寄りに設置した

中継機を導入した場合の転送速度の変化

 中継機を導入した測定結果は、親機がWG1200HPの場合が高速で、ノートPCからのIEEE802.11ac接続では送受信共に100Mbpsを超えた。全体で見ても旧親機との組み合わせより2倍近く速い。測定結果からは、親機と中継機間の通信速度、さらには、干渉の少ない5GHz帯を利用するのが重要であることが分かる。実際、ノートPCからの2.4GHz帯IEEE802.11n接続では40MHz幅を使う倍速モード(HT40)でリンクすることはなく、最高でも転送速度は69.9Mbpsに止まった。

 スマートフォンは、ノートPCと比較するとおおむね半分程度の速度にとどまることが多い。これは、ノートPCが2×2MIMO対応なのに対して検証で使ったスマートフォンは非対応なので、同じ電波状態であれば無線LANの通信速度は半分程度かそれ以下になってしまうからだ。増えつつある2×2MIMO対応のスマートフォンであれば、よりノートPCに近い結果が出るだろう。

 2.4GHz帯のみをサポートする旧親機との組み合わせでも、WG1200HPを中継機として利用するメリットは十分確認できた。一方で、無線LAN端末から中継機でIEEE802.11acで接続できないとその効果も限定的といえる。2.4GHz帯の混雑次第だが、2.4GHz帯しかサポートしない無線LAN端末が多い場合には、親機と中継機ともにWG1200HPを導入するのがコストに見合った効果を得られそうだ。

 いずれにせよ、中継機なしではIEEE802.11acでノートPCでも実用的な速度で無線LANが接続できなかったことを考慮すると、WG1200HPを中継機として導入する効果は非常に大きい。今回は無線LAN親機との距離よりも、設置場所と家屋の構造の問題が大きい“個別事例”的な理由もあるが、ここまで効果があるとは正直予想外だった。

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