PC USER Pro

「Windows 10」は永遠に未完のOSか?鈴木淳也の「Windowsフロントライン」(2/3 ページ)

» 2015年05月01日 06時00分 公開
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

「Project Spartan」は「Microsoft Edge」に

 事前リポートでも予測していたように、開発コード名「Project Spartan」で呼ばれてきたWindows 10の新しい標準ブラウザは、正式名称が「Microsoft Edge」になると発表された。

 SpartanことEdgeの新レンダリングエンジンである「EdgeHTML(.dll)」のファイル名から採ったものだと考えられるが、このEdgeのアプリアイコンは名称の「e」をかたどったデザインであり、おなじみの「Internet Explorer」の「e」アイコンのデザインをリニューアルしたものに過ぎない。

 なぜそんなに「e」が好きなのかは分からないが、少なくとも一般向けに提供されるWindows 10のエディションには「(実質的に)IEが含まれない」とみられるため、ユーザーが「どっちの“e”がEdgeでIEなの?」という混乱は起きないだろう。こちらも基調講演の発表内容と詳細は別途リポートがあるので、そちらを参照してほしい。

左が「Internet Explorer」、右が「Microsoft Edge」のロゴ。新開発のブラウザながら、ロゴはIEをイメージさせるデザインとなっている

 今回のBuildでの最新アップデートは、拡張機能の「Extensions」の実装が初めて紹介されたことで、仕組みは不明なものの、FirefoxやChrome向けのExtensionsがEdgeにおいても利用可能になるという。

 ただし、Extensionsの実装は今夏のWindows 10リリースには間に合わないとMicrosoft側では説明しており、後のアップデートで機能拡張が行われる見込みだ。後述するが、この辺りはWindows 10の設計思想が含まれていて面白い。

Microsoft Edgeには「注釈」などIEにない新機能を搭載するほか、FirefoxやChromeのように拡張機能「Extensions」もサポートするという

クロスプラットフォーム開発でWindows 10アプリ開発を促進

 MicrosoftがWindows 8/8.1で経験したのは、Modern UIと呼ばれるWindowsストアアプリがなかなか充実せず、開発者はその状況を憂えて、さらに参入をためらうという負のスパイラルだ。

 以前までのWindowsが独占的な市場を築いていた状況とは異なり、時代はモバイルとなり、AndroidやiOSといったプラットフォームが興隆し、先駆的な開発者らはむしろそうした新興プラットフォームへとリソースを積極投入するようになった。いまだ旧Windows向けのデスクトップアプリケーションが次々と投入される状況もまた、Windowsストアアプリ興隆の妨げとなっており、これらの反省がWindows 10には大きく生かされている。

 まずWindowsのデスクトップアプリケーションで大きな比重を占めるゲームについて、Microsoftでは積極的にストアアプリへの誘導を行っており、Windows 10ではアプリの配布パッケージ(AppX)の最大サイズを150Gバイトまで拡張するなど(従来は4Gバイト)、スケーラビリティを大幅に強化している。

 またWindowsストア積極活用のため、従来まではリンクでの誘導にとどまっていた「デスクトップアプリケーションのWindowsストアでの配布」をWindows 10世代ではサポートするようになり、両面作戦でのテコ入れを行っている。

 Build 2015の基調講演では、デスクトップアプリケーションの「Adobe Photoshop Elements」が新APIに対応してWindowsストア経由で配布されることが明かされた。Win32 APIを利用する旧アプリケーションの場合、ストア経由で配布してもWin32のサブセットしか搭載しないWindows Mobile 10などのプラットフォームでは動作しない。だが、ストア活用の広まりは将来的なMicrosoft自身のマネタイズや市場興隆への貢献となり、将来に向けた種まき的な意味合いがあるのだろう。

「Adobe Photoshop Elements」などのデスクトップアプリもWindowsストアで配布可能になる

 また、前述のように他のプラットフォームへと流れてしまった開発リソースをWindowsへと呼び戻す策も講じられている。Windows 10世代で提供される新しいソフトウェア開発キット(SDK)により、AndroidやiOS向けに開発されたアプリを簡単にWindows 10に移植できるようになった。

 AndroidではJavaがアプリ開発のメイン言語となっている一方で、ストアで配布されているメジャーアプリの多くやゲームではネイティブ動作するC++が活用されており、これら言語を使って記述されたコードをWindows 10向けに再ビルドすることで、UWPアプリが構築できる。

 Androidだけなら想像の範囲内だが、今回はiOSアプリの開発者向けに「Objective-C」のサポートまで表明されており、「MicrosoftがObjective-Cを採用」という非常に興味深い状況だ。

 Appleの新言語である「Swift」の対応についてはアナウンスされていないが、「AndroidやiOSのアプリ開発で記述したコードを使って、そのままWindows 10アプリが開発できる」というのは、UWPアプリ充実の可能性とともに、他プラットフォームのアプリ開発者の目をWindows 10へと向かせる一助になるだろう。

「2018年度までにWindows 10の稼働デバイスが10億台に達する」という予測を示しつつ、Web、.NET、Win32(デスクトップアプリ)、Android、iOS向けのコードを最小限の修正だけでWindows 10用に移植できるソフトウェア開発キット(SDK)を用意し、幅広い開発者をWindows 10のエコシステムに取り込もうとしている

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年03月14日 更新
  1. きょう発売の「MacBook Neo」、もうAmazonで割安に (2026年03月11日)
  2. 新品は絶滅、中古は高騰──「令和にMDを聞きたい」と願った筆者が、理想の再生環境を整えるまでの一部始終 (2026年03月13日)
  3. M5 Max搭載「14インチMacBook Pro」がワークステーションを過去にする 80万円超の“最強”モバイル AI PCを試す (2026年03月13日)
  4. 12機能を凝縮したモニタースタンド型の「Anker 675 USB-C ドッキングステーション」が27%オフの2万3990円に (2026年03月11日)
  5. セールで買った日本HPの約990gノートPC「Pavilion Aero 13-bg」が想像以上に良かったので紹介したい (2026年03月11日)
  6. 3万円超でも納得の完成度 VIA対応の薄型メカニカルキーボード「AirOne Pro」を試す キータッチと携帯性を妥協したくない人向け (2026年03月12日)
  7. ワコム上位機に肉薄? 10万円で18.4型4K! 高コスパ液タブ「GAOMON Pro 19」の長所と弱点 (2026年03月13日)
  8. 「MacBook Neo」を試して分かった10万円切りの衝撃! ただの“安いMac”ではなく絶妙な引き算で生まれた1台 (2026年03月10日)
  9. 高音質・良好な装着感・バッテリー交換式――JBLのフラッグシップ「Quantum 950 WIRELESS」は妥協なきヘッドセットか (2026年03月12日)
  10. JBL、高機能ノイズキャンセリング機能を備えたワイヤレスヘッドフォン「JBL Live 780NC」「JBL Live 680NC」発表 (2026年03月13日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー

2026年