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» 2015年06月05日 15時00分 UPDATE

COMPUTEX TAIPEI 2015:「Windows 10無料アップグレード」を積極アピールするMicrosoft (1/2)

米MicrosoftはCOMPUTEX TAIPEI 2015の基調講演にて、7月29日公開の「Windows 10」を改めてアピール。同OS対応の新デバイスもお披露目した。

[鈴木淳也(Junya Suzuki),ITmedia]

 米Microsoftは6月3日(台湾時間)、現在台北市内で開催されているIT総合見本市「COMPUTEX TAIPEI 2015」において、同社OEM部門担当副社長のニック・パーカー(Nick Parker)氏による基調講演を実施した。

 COMPUTEX TAIPEIはWindowsのOEMパートナーが一堂に会する場所だ。Windows 10のリリースを約2カ月後の7月29日に控え、公の場での事実上最後の報告とも呼べるタイミングにあたる。ここではWindows 10対応がうたわれるOEM各社の新デバイスのいくつかが紹介され、来たるべき日に向けてアピールが行われた。

tm_1506_ms_01.jpg PC/タブレット向けWindows 10の無料アップグレード公開日は2015年7月29日となる。スマートフォン/小型タブレット向けのMobile版など、他のエディションは今年後半に提供される予定。これらの情報はCOMPUTEX TAIPEI 2015の前にすでに発表されていたため、今回の基調講演で特に話題とならなかったのは残念だ

Windows 10で分岐点に差し掛かりつつあるMicrosoftの戦略

tm_1506_ms_02.jpg 基調講演を行った米Microsoft OEM部門担当副社長のニック・パーカー(Nick Parker)氏

 台湾はOEMパートナーらの中心地であり、通例では新施策や新製品向けのアナウンスがこの場で発表されることが多いが、今回は最大のトピックであるWindows 10の無償アップデート提供日がCOMPUTEX直前の6月1日に本国から発表されたこともあり、特に新情報に関する追加発表はなかった。

 1時間半の講演時間の中、そのうちの1時間近くを割いてWindows 10の新機能が紹介されたが、以前より一般公開しているプレビュー版「Windows 10 Insider Preview(IP)」を半年以上に渡ってウォッチしてきた読者の方々なら、そのほぼすべてが既知の情報であり、ここで特段触れるほどでもない。

 逆に言えば、Windows 10 IPは半年以上をかけてユーザーに対して広く新機能や仕様を通知する試みであり、ここで得られるものがないというのであれば、それはMicrosoftの狙いが成功したことを意味する。

 ユーザーインタフェースの大幅な変更により、Windows 8の登場時は大きな混乱をもたらし、既存資産活用の面からも新プラットフォームへの移行をためらうユーザーが多かったが、少なくともWindows 10 IPを利用しているようなユーザーを中心にこのハードルの一部は大きく下がっており、後は既存のアプリケーションやハードウェア資産をどう新OSへと乗り換えていくのかを検討する段階に入ったのだと言える。

tm_1506_ms_03.jpg Windows 10で提供される新機能の紹介
tm_1506_ms_04.jpg 基調講演で行われたWindows 10のデモ。こちらはウィンドウ表示も可能になったUWP(Universal Windows Platform)版の地図アプリで、会場となった台北国際会議中心(TICC)近くにある人気の小籠包店「鼎泰豐(ディンタイフォン)」を検索しているところ
tm_1506_ms_05.jpg Windows 10の新しい認証機能「Windows Hello」で赤外線センサーによる顔認証の操作を映したところ

 注目のトピックとしては、OEMパートナーとの協業例としてIoT(Internet of Things)デバイスの試みが紹介されたことが挙げられる。

 今回は東芝の物流トラッキングシステムとCrestronのホームオートメーションシステムの2つだが、機械学習などAzureのサービス群を含めたIoTソリューション展開をMicrosoftはここ最近になり前面に押し出すようになっており、今後COMPUTEXにおいてもPCやタブレット、スマートフォン以外のパートナー製品やソリューションが多数紹介されるようになることを示唆しているのかもしれない。

tm_1506_ms_06.jpg パートナーとのIoT関連の取り組みを別枠で紹介しているように、同社がIoTでのプレゼンスを重視している様子がうかがえる
tm_1506_ms_07.jpg Windows 10を用いた東芝の物流/運輸モニタリング向けソリューション
tm_1506_ms_08.jpg Windows 10を用いたCrestronのホームオートメーション向けソリューション
tm_1506_ms_09.jpg 基調講演中に紹介された東芝とCrestronのIoTソリューション

 「Windows 10」というとPCに目が向きがちだが、MicrosoftではIoTを含む広範囲をカバーするプラットフォームと見なしており、ある意味でその分岐点に差し掛かりつつあるのだろう。

パートナーとともにWindows 10への乗り換えを積極アピール

 Windows 10の公開が7月29日に決まったのは既報の通りだが、これはWindows 7/8.1を対象とした無料アップグレードの提供日だ。今回の基調講演では、Windows 10に対応した計96の新製品が登場すると予告されたが、現時点で7月29日の新製品発売をアナウンスしているPCメーカーはない。

 以前の連載でも解説したように、準備期間の問題から主に8〜9月以降、五月雨式にWindows 10搭載PCがリリースされる形になると考えられる。おそらくは、9月初旬にドイツのベルリンで開催される「IFA 2015」に合わせて、比較的まとまった数のPC新製品が登場すると筆者は予測する。

tm_1506_ms_10.jpg 現在のWindows 10におけるステータス。Windows 10に対応した計96の新製品が登場することが予告されている

 とはいえ、PCの新製品が売れるに越したことはないが、Microsoft本来の狙いとしては、いまだ高いシェアを誇るWindows 7のユーザーをWindows 10へと引き上げることが最大のミッションとなる。ユーザーインタフェースの作りをWindows 7以前の世代に近い状態にしたのも、こうした意図があるのだろう。

 現在Windows 7/8.1のユーザーにはタスクトレイ上に、Windows 10への移行予約を行うための専用アイコンとウィンドウが出現するようになっており、発売後1年間での無料アップグレードサービスの提供で早期の移行を積極的に促している。

tm_1506_ms_11.jpg 予告通り、Windows 7/8.1/Phone 8.1の“正規ユーザー”は、Windows 10の提供開始から1年間に限って無料アップグレード権が提供される
tm_1506_ms_12.jpg Windows 7/8.1に追加されたWindows 10の無料アップグレード予約機能。Windows 7/8.1のユーザーはすでに目にしているかもしれないが、タスクトレイ上にWindowsマークが出現するようになっている
tm_1506_ms_13.jpg このタスクバー上にあるWindowsマークをクリックすると、Windows 10の導入予約やアップグレード手順の確認が可能だ

 またWindows 8.1搭載PCなど、Windows 10発売前に提供されるPCについても、「Buy one. Get "10" Free.」のフレーズとともに、「いまPCを買っても問題なく10に移行できますよ」という点をアピールしている。

 ちなみにこのキャッチは、米国のスーパーやディスカウントストアでよく見かける「Buy One, Get One Free(1つ買えば、もう1つが無料でもらえる)」をもじったものだ。別にデバイスを1つ買うと、10個のデバイスが無料でもらえるわけではない。

tm_1506_ms_14.jpg 現在Windows 7/8.1が搭載されたPCやタブレットであっても、この1年間無料アップグレードのキャンペーンにより、Windows 10への移行がスムーズに行える。「Buy one. Get "10" Free.」のフレーズで、無料アップグレードをアピールする
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