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» 2015年10月29日 10時01分 UPDATE

シンプルなリモコン1つでテレビをインタラクティブに:「Apple TV」はテレビを再発明できるのか――林信行がその魅力に迫る (1/4)

アプリで機能を拡張できるtvOSを搭載し、Siriによる音声操作にも対応した新「Apple TV」。実際に試用する中で見えてきた新しい可能性を林信行が解説する。

[林信行,ITmedia]

テレビの使い方を変える「Siri Remote」

og_aplletv_000.jpg 新しいtvOS搭載のApple TVは32Gバイトモデルが1万8400円、64Gバイトモデルが2万4800円で、既に注文が可能になっている。店頭販売は10月30日から始まる

 Apple TVの新リモコン「Siri Remote」に手を伸ばしテレビの絵のボタンを押す。すると特別な設定は何もしていないのにテレビの電源が入り、自動的にApple TVを接続したHDMI入力に表示が切り替わる(TVによっては電源は別途入れる必要あり)。

 今週のオススメ映画を横目で見ながら「Siri Remote」の「Siriボタン」を押して「明日の京都の天気」と語りかけると、画面の下に情報が表示される。リモコンのタッチパッドを下から上にフリックすると、天気情報が全画面表示になる。最高温度と最低温度の差が分かりやすく、今日はどんな装いで外出すればいいのか一目瞭然(りょうぜん)だ。

 それから、明日の宿をまだ取っていなかったので、Apple TVでAirbnbのアプリを起動して、いい物件がないか探してみる――テレビに向かってこんなことができる時代がやってきた。アプリの実行やSiriにも対応した新「Apple TV」の誕生だ。

og_aplletv_001.jpg 新Apple TVの外観は旧Apple TVによく似ているが厚さが少しだけ増している。一方、附属のリモコンはゼロから再設計されたSiri Remoteに変わった。2つのマイクを内蔵して音声操作もできれば、静電式タッチパッドのTouchサーフェス、加速度センサー+ジャイロセンサーでゲームの操作にも使える

 これまで家電の展示会では、何年も前からアプリが動くテレビや音声操作ができるテレビが発表されるのを何度も見てきた。だが、そうした機能が実際に使われて話題になったのを見たことがない。そんな中、iPhoneで、iPadで巨大アプリのブームを築いた真打ちAppleがテレビの改革に乗り出した。

 これまでのインタラクティブテレビとの最大の違いは、ほかのどんなインタラクティブテレビよりも圧倒的にシンプルなリモコン、「Siri Remote」だ。

 シンプルであるがゆえに手と一体化し、リモコンに目をくれず、テレビ画面だけを見ながら快適に操作ができるのはこれまでのApple TVと同じだが、実際の操作方法が違う。

 新製品ではリモコン上部にタッチして操作する「Touchサーフェース」と呼ばれるエリアがあり、パソコンのトラックパッドのように、これをを左右にスワイプして項目を選び、押し込んで選択をする。

 このTouchサーフェースを、指をくるくる回すようになで回してみると、それにあわせるようにして画面上の選択項目もくるくるとホヴァリング(浮遊)する。Apple TVのSiri Remoteに対する追従性がいかに速いかが感じ取れてなかなか気持ちがいい。

og_aplletv_002.jpg 新Apple TVのホーム画面。テレビの絵が描かれたボタン(iOS機器のホームボタンに相当)を押すとこの画面が表示される。ちなみにApple TVの画面は、背面にあるUSB Type-C端子を、MacのUSB (Type-A端子)とケーブルでつないだ状態でQuickTime Playerの「新規ムービー収録」を選択することで録画できる(ソースとしてApple TVを選択)

 もちろん、Siri Remoteの名から分かるように、声でも操作できる。これまでの音声操作用のマイクはSiri Remoteに2つ用意されており、マイクの絵が描かれたボタンを押しっぱなしにしながら、例えば「今、何時?」と聞けば現在時刻が表示される、といった具合だ。

 家族全員が使うテレビなだけにiPhoneのSiriのように予定や連絡先など、プライベートな情報に関わるアシスタントはできないが、時間や天気、iTunes Storeで提供している映画探しなど、できる範囲で助けてくれる。おそらく、今後Apple TVの販売が始まれば、さらにインテリジェントに進化するはずだ。

 なお、冒頭で紹介したSiri Remoteでテレビの電源を入れたり(試した数種類のうちソニー製の最近のBRAVIAでは電源が入ったが、そのほかのメーカーでは電源までは操作できないことが多かった)、テレビの入力を切り替えたり、音量を調整する機能はテレビとの接続に使うHDMI規格、HDMI CECにより実現している。

 実はHDMIにはこんな便利な技術が搭載されていたのに、これまでなかなか使われずにいたようだ。調べてみると、Playstation 3やChromecastは、(既に使ってきた)テレビに付属するリモコンでPlaystation 3やChromecastを操作するためにこの技術を用いているが、Appleはまったく逆のアプローチになっている。

 言うなれば「圧倒的にシンプルで美しいリモコンを作ったから、これ1つあれば元々のテレビリモコンは使わなくて済む」という世界を目指しているようだ。実際、地上波のお笑い番組やバラエティ番組をあまり見ず、HuluやNetflixなどのドラマや映画を見ることの方が多い人は、比較的すぐにテレビのリモコンが不要になるかもしれない。

※▼▼HDMI CECに関する記述を一部訂正しました

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