リモコンが変わっただけではない。新Apple TVの最大の特徴はiOSによく似た「tvOS」を搭載し、AppStoreからアプリを無料入手または購入できるようになったことだ。
アップルは、新Apple TVの発売後も、従来のApple TVを継続して販売する。
もし、あなたが、iTunes Storeで購入/レンタルした映画や音楽を楽しんだり、iCloudに同期された写真を見たり、MacやiOS機器の画面をAirPlay機能で映し出したりするだけなら、お手ごろ価格の旧型Apple TVでも十分こと足りる。ただ、旧Apple TVは時間が経ってもそれ以上のものに進化することはない。
一方、App Storeに対応した新Apple TVは、iPhoneが追加したアプリ次第で仕事の道具にも、遊びの道具にもなったように、自分のニーズに合わせて進化をしてくれる。
新Apple TVでは、旧Apple TVでは標準搭載だったYouTubeやHulu、Bandaiチャネルなどの映像サービスも最初からは組み込まれておらず、初期設定完了後、App Storeを通して必要なものだけを追加する形になっている。
App Storeをのぞいてみると、Jリーグのサッカーの試合が見られる「Jリーグオンデマンド」など映像サービス系のアプリも多いが、それに混じってゲームのアプリもたくさん提供されている。
気づけばiPhone、iPod touchそしてiPadは世界最大規模の携帯型ゲーム機になっていたが、これらiOS機器用に提供されていたゲームは、ちょっと手を加えるだけで新AppleTVにも対応できるようだ。
「クロッシーロード」や「Shadowmatic」、「アスファルト8」など、既にiPhone/iPadで人気のタイトルも多く、iPhone/iPad版を購入しているユーザーにはAppleTV版を無料で入手できるようにしている開発者も多い。
まだ3Dグラフィックをバリバリに使ったタイトルはあまりないが、頭脳となるCPUはiPhone 6/6 PlusやiPad mini 4と同じA8プロセッサー、それなりにすごい3D表現ができるはずだ。
ゲームの操作方法は「Touchサーフェース」を上下左右にスワイプしたり、クリックしたり、加速度センサーが入ったリモコンを傾けたり、振り回したりといった形になる。
振り回して操作する系のゲームは、一世を風靡(ふうび)した任天堂のゲーム機、Wiiを思わせるところもあるが、Wii同様に振り回したリモコンがすっぽ抜けて飛んで行ってしまわないように手にくくりつけておくループも後日別途提供される予定だ(実物を見たことがあるが、かなり強く振り回してもすっぽ抜けないようにSiri Remoteに固定するラッチが付いており、iPhoneなどのLightning端子では使えないとのことだ)。
iPhoneのゲームアプリの人気に火がつき、iPod touchが携帯型ゲーム機として人気が出始めてきた5〜6年前、何かの雑誌で「Apple TVにiOSが搭載されたら、最強の据え置き型ゲーム機になるはずだ」と書いたことがある。新Apple TVは、まさにその通りの製品で、筆者も5年越しでの夢の実現に最初は興奮していた。
ただ、実際に使い込んで見ると、映像コンテンツを視聴している限りは操作が快適になったことを除いてはこれまでのApple TV通りでもある(映像再生中、Touchサーフェースを使って自由自在に素早く早送り/巻き戻しができる他、Siriを使って○分前や○分後に進めることもできる)。
一方、ゲームを起動すると、思った以上にきちんとしたゲームが楽しめる(Siri Remoteではゲーム機の気分が味わえない、という人には他社からゲームコントローラが提供される予定だ)。
アプリが充実したゲーム機としてはかなり値段が手ごろだが、正直、映像コンテンツやゲームをプレイしているだけでは、それほど「新しいテレビの体験」という感覚が湧いてこないところがあった。この印象が変わったのはあるアプリをダウンロードしてからだ。
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