ポータブックは究極の“ニッチガジェット”か? 「XMC10」徹底レビューポメラでアレができたらいいのに、をかなえる(2/4 ページ)

» 2015年12月17日 12時17分 公開
[瓜生聖ITmedia]

意表を突くギミック――スライドアークキーボード

 ポータブックの最大の特徴は「スライドアークキーボード」。たためばディスプレイと同サイズ、展開すればタッチタイピング可能なフルキーボード、というのはポメラでおなじみだ。だが、スライドアークキーボードの変形ギミックを見たときにこう思った人は少なくないはずだ。

 「そっちに折れるのかよ!」

 実はディスプレイサイズよりも大きなキーボードを備えたノートPCはポータブックが初めてではない。1995年発売の「IBM ThinkPad 701c」がその先駆者だ。ThinkPad 701cはカバーを開くとともにキーボードがせり上がり、左右に広がるバタフライキーボードを搭載していた。カバーを閉じると斜めにカットされたキーボードが一部重なるように収納される。

 一方、ポメラでは真ん中からぱたんと折りたたむ方式が採用されていた。どちらにせよ、真ん中から折れる、重なる、という動きだとばかり思っていたところ、ポータブックのスライドアークキーボードはなんと、回転する、という予想外のギミックを仕込んできた。

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そっちに折れるのかよ!

 しかもこのスライドアークキーボード、レールなどの変形機構が一切外部からは見えない。まるでのっぺらなボディの上を滑っていくように錯覚するほどだ。

 ダイナミックな変形をする半面、ボディとの接合部分がポメラと比べて大きくとられている上に、アルミフレームで堅牢性を確保しており、打鍵中もたわみなどを感じることはない。

 小さなボディに1サイズ上のキーボードを押し込んでいるだけあって、キーピッチ18ミリ、キーストローク1.5ミリはタッチタイピングも余裕だ。まさしく「大きい方が打ちやすい」のキーワードどおりといったところだ。

 キーは静音性が高く、出先でかちゃかちゃ打ってもわずかに柔らかい音が出るくらいでほとんど無音なのもうれしい。電車の中では無音で操作できるスマートフォンを操作している人が多く、タイプ音が響くと肩身の狭い思いをすることになるが、ポータブックならそんな心配は無用だ。

スライドアークキーボードは中央から2つに割れて回転するという今までにないギミック

どの状態でもレールなどの変形機構が見えない

 ポータブックのポインティングデバイスは光学フィンガーマウス。これはレノボの光学トラックポイントやソニーのオプティカル・トラックパッドと同様のもので、一見トラックポイントやアキュポイントなどポインティング・スティックに似ているが、操作感はかなり異なる。ポインティング・スティックの場合はゴム製のボタンに力をかけて押し傾けることで操作を行う。そのため、アナログスティックのように大きく傾ければ速く動き続ける。

 一方、光学フィンガーマウスは指の動きを検知するため、長い距離を動かすときには何度か指を戻して同じ方向にこする必要がある。これは前後/左右の方向に圧力をかけることによってキーボードの変形ギミックが誤作動することを防ぐためだ。また、クリックボタンはキーに比べて音が大きいので、クリックを多用するシーンではちょっと気になるかもしれない。

光学フィンガーマウスはG、H、Bの間にある。圧力をかけるのではなく、こするようにして操作する。一方、クリックボタンはキーボード上ではなく本体上にある。キーに比べてカチカチ音が大きい

 CPUにはIntel Atom x7-Z8700プロセッサ(1.6GHz/最大2.4GHz)、メモリ2GBを搭載。Windowsエクスペリエンスはプロセッサ6.8、メモリ(RAM)5.5、グラフィックス4.9、ゲーム用グラフィックス9.9、プライマリハードディスク7.05というスコアだ。

Windowsエクスペリエンスインデックスの結果は4.9

 ディスクはeMMC 5.0に対応した32GBのSamsung BGND3R。CrystalDiskMarkでの実測結果はシーケンシャルでReadが161MB/秒、Writeが91.48MB/秒、ランダム4KでReadが32.54MB/秒、Writeが29.45MB/秒と、HDD以上SSD未満であるeMMCの中では高速なほうだ。

CrystalDiskMarkの結果。eMMC5.0に対応しており、好成績

 むしろ問題はストレージ容量だ。フリー領域は14GB程度。むやみにアプリケーションをインストールしていると足りなくなってくるだろう。また、ほかのマシンでもOneDriveを使っていた場合などはデータ同期の対象範囲にも気をつけておかないとストレージを食いつぶしてしまうことになる。

 プリインストールされているアプリケーションはOffice Mobileに1年間のOffice 365サービス利用権がセットになった「Office Mobile プラス Office 365」。Office 365サービスに加入していないとファイルの新規作成や更新ができないので、2年目以降は1年目の利用状況を考慮してサービスを更新するかどうか決めるとよさそうだ。

 背面にはヘッドセット/ヘッドフォン、USB 2.0、HDMI(4K/30Hz対応)、アナログRGB、充電用のMicro USBが並んでいる。どれも変換アダプタやドッキングステーションなどを必要としないフルサイズだ。

 背面端子カバーは開いたときに接地する部分にゴム足がついており、カバーを開くことでキーボードにわずかに角度をつけることができる。そのほかSDメモリーカードスロット、IEEE802.11b/g/n対応無線LAN、Bluetooth 4.0+EDR、200万画素インカメラなど、「必要なものはついている」。

本体背面のカバー内にヘッドセット/ヘッドフォン、USB 2.0、HDMI(4K/30Hz対応)、アナログRGB、充電用のMicro USBが並ぶ

背面カバーを開くとゴム足がある

本体前面/背面

本体左側面/右側面。なお、電源ボタンは右側面にあり、キーボードを開いた状態だとちょっと操作しにくい

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