達人レビュアーが独断で選ぶ2015年のイチオシPC2in1、ノート、デスクトップまで(1/4 ページ)

» 2015年12月30日 06時00分 公開

 2015年はMicrosoftから「Windows 10」が投入され、Intelからは「第6世代Coreプロセッサ」(開発コード名:Skylake)が登場するという大きな動きがあり、魅力的なPCやタブレット、2in1が多数登場した。中でも個人的に強い印象が残った製品を取り上げる。

2015年のベストPC

SIMフリーPC普及の起爆剤となるか――「VAIO S11」

VAIO S11 VAIO「VAIO S11」

 2014年にソニーから独立したVAIOは、この2015年から独立後の新規設計モデルを発表した。フラッグシップモバイルの「VAIO Z」、クリエイターに訴求した「VAIO Z Canvas」に続き、スタンダードモバイルの「VAIO Pro 13 | mk2」および「VAIO S11」ではビジネス志向を強く打ち出している。中でも最もインパクトが大きかったのは、最新のVAIO S11だ。

 小型軽量モバイルノートPCとしての完成度もさることながら、SIMロックフリーのLTEモデム内蔵モデルを用意するだけでなく、NTTコミュニケーションズとのコラボレーションによる特別料金プラン「VAIOオリジナル LTEデータ通信SIM&特別料金プラン(以下、VAIO SIM)」というサービスを合わせて展開することで、リアルに即戦力のモバイルPCとして活躍できる環境を整えてきたことに大きな価値がある。

 正直なところ、“LTE押し”というのは全く予想していなかった。というのも、ノートPCにおいてはこれまで「高コスト」「非効率」「手続きが煩雑」というイメージが定着してしまっており、多くのユーザーの選択肢からは外れているのが現状だろう。Atomプロセッサ搭載のタブレットや2in1ではLTEモデルが徐々に増えつつあるが、Coreプロセッサ搭載ノートPCはビジネス向けのごく一部にしかLTEモデルが存在していなかった。

 しかし、VAIO S11とVAIO SIMは、そんなネガティブなイメージをくつがえすことができるだけの魅力がある。まず、SIMロックフリーであることが大きい。VAIO SIMだけでなく、ドコモの通信網に対応したさまざまなMVNOのSIMも使い回せるし、モバイルPCでやりたいことの内容が変わったら、通信を気にせず、買い足し買い替えを考えられる。

 実際に体験してみると、なぜ今までPCではSIMロックフリーであることが強く望まれていなかったのか……と思うほどだ。「望まれていなかった」というのは筆者の主観だが、やはり魅力的な通信プランと組み合わせた提案がなかったことが大きいのではないだろうか。

 そのプランの問題を解決するのがVAIO SIMだ。低速ながら使い放題の常時接続モード(200kbps)、2年間プランで64GB分使える高速通信モード(最大150Mbps)の月額容量制限なし、契約期間の縛りなどがないプリペイド式といったVAIO SIMのプランは、モバイルPCをリアルに使い込んでいるユーザーなら共感できるのではないだろうか。

 スタンダードという位置付けのモデルのため、ノートPC本体はVAIO Zなどと比べて地味な印象もあるが、そこに込められた意欲は相当なものだ。LTEモバイルを普及させ、モバイルPCをより便利に、快適にしたいというイノベイティブなスピリットを強く感じる仕上がりだ。

純正ハードウェアとしての存在感を発揮――「Surface Pro 4」

Surface Pro 4 日本マイクロソフト「Surface Pro 4」

 第6世代CoreとWindows 10を搭載した最新機種の中で注目したいのが、日本マイクロソフトの「Surface Pro 4」だ。先代の「Surface Pro 3」からボディデザインに大きな変更がなく、延長線上にある製品だが、Windows 10とタイミングが重なったことで、OSメーカーの純正ハードウェアとしての存在感を発揮できている。

 具体的には、デスクトップモードとタブレットモードを簡単に切り替えられるというWindows 10の2in1デバイスとの相性のよさ、カメラで顔認証ログインができる「Windows Hello」機能、OS標準で高レスポンスのジェスチャー機能が使える「高精度タッチパッド」、書き味のよい「Surfaceペン」を生かしたEdgeブラウザのWebノート機能活用など、既存の多くのハードウェアでは体験しきれなかったWindows 10の魅力を存分に体験できる。

 もちろん、タブレット/2in1デバイスとしての基本的な使い勝手も向上しており、魅力的な製品に仕上がっている。

新感覚の大画面高性能ノート――「XPS 15」

XPS 15 デル「XPS 15」

 直近にPC USERでレビューしたデルの13.3型モデル「XPS 13」もよい製品だが、個人的により魅力を感じるのが、その大型モデルとなる「XPS 15」だ。

 最近ではボディサイズにかかわらず、TDP(熱設計電力)が15ワットクラスの低電圧なプロセッサの採用が主流となっているが、クリエイティブな作業をこなすならばTDP 45ワットクラス、つまり消費電力より性能重視のクアッドコアのCPUが望ましい。そして、モバイルノートPCで主流の13型クラスより大きく美しい画面、外部GPUの搭載も条件となるだろう。

 これらの条件を満たしたうえ、さらに最新の設計技術を反映した薄型軽量化、デザイン性といった要素を加味した製品が、このXPS 15と言える。XPS 13同様の洗練された狭額縁デザインを採用し、第6世代Coreの4コアモデル、Thunderbolt 3に加え、4K解像度に対応した液晶ディスプレイを選択できるなど、先進的に切り込んだ仕様は実に魅力的だ。13型モデル以上の、新鮮な感覚が得られる。

 実は、このセグメントは、長く「15インチMacBook Pro Retinaディスプレイモデル」の独壇場となっているが、そもそもWindowsプラットフォームでは対抗する製品がほとんど存在しなかった。制作環境を持ち運びたい、デザイン感度の高いクリエイティブ志向のユーザーは必然的に15インチMacBook Pro Retinaしか選択肢はなかったわけだが、ようやく対抗できる製品が出てきたことで、市場の反応に注目したい。

 デザインコンシャスなPCは増えたが、その一方でパフォーマンスの軽視傾向は懸念材料でもある。写真編集やビデオ編集を楽しむユーザーは増えているだけにニーズはあるはずだ。他社からも積極的な参入を期待したい。

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