2016年のMicrosoftで注目したい5大トピック鈴木淳也の「Windowsフロントライン」(2/3 ページ)

» 2016年01月03日 06時00分 公開

その3:「HoloLens」がやって来る

 2016年3月末に開催予定の「Build 2016」に関する予想レポートの中では、複合現実(Mixed Reality)対応のヘッドマウントディスプレイ「Microsoft HoloLens」が主役の1つになるとした。Microsoftは2016年の1年を通して、この技術をプッシュしていくだろう。

Microsoft HoloLens 複合現実(Mixed Reality)対応のヘッドマウントディスプレイ「HoloLens」は、Microsoftが開発中のデバイスで最も期待されているものの1つだ

 市販計画についてはまだ説明されていないが、開発者向けキットである「Microsoft HoloLens Development Edition」がBuild 2016の時期になると予想される(2016年第1四半期に3000米ドルで発売予定)ため、この前後で各種プロモーションを交えた動画などが多く出回るはずだ。

 とはいえ、HoloLensそのものは紹介動画ばかりで一般ユーザーには試せる環境がなく、Development Editionもまた北米の開発者だけを対象に数量限定での提供となるため、デバイスそのものを試す機会がない。唯一の方法は、米ニューヨーク市の5番街にあるMicrosoft Store旗艦店に開設された「HoloLens Experience Showcase」を予約して、実際に現地で試すくらいだ。

Microsoft HoloLens Development Edition 開発者向けバージョンの「Microsoft HoloLens Development Edition」は、2016年第1四半期に3000米ドルで発売される予定だ

 仮に2016年を通してプロモーションしたとしても、実際に製品がユーザーの手元に届く、あるいは実際に試せる環境が広く一般向けに用意される前に、その熱狂がしぼんでしまう可能性も高い。

 そこでDevelopment Editionの提供される2016年第2四半期以降は、世界各地で行われる開発者向けのカンファレンスや各種ゲーム、新技術関連のイベントに同キットを持ち込み、実際に体験を交えたプロモショーンを仕掛けてくるのではないかと予想する。

 これまで、米Microsoft本社のあるレドモンド以外のエリアにほとんど持ち出したことがなく、実際に試用した人も限られるというHoloLensだが、2016年は少し触れられる機会が増えてくるのではないだろうか。

その4:「Surface Book」に続くハードウェアは出るのか

 「Windows 10よりSurface Bookが気になった2015年」というタイトルのコラムこそ執筆したが、決してSurface Bookそのものが特別優れた製品というわけではなく、あくまで「象徴的な製品」という意味で、2015年を代表するトピックだったと考えている。

 実際、Microsoft自身もハイスペックだが高額なSurface Bookが広く一般ユーザーに浸透する製品とも考えていない節があり、「あくまでフラッグシップとして方向性を示した」という部分に重点を置いているようだ。とはいえ、気になる製品であることには変わりない。これ1回に限らず、今後もリフレッシュされた新しいモデルを継続投入してくるだろう。

Surface Book Microsoftの2in1ノートPC「Surface Book」は、グローバルでMacBook Proが存在感を示していたプレミアムPCカテゴリーに向けた戦略製品となる。日本では2016年早期に発売される予定だ

 問題は、2016年はIntelの新プロセッサ投入の穴にあたる時期で、このタイミングで登場するのは現行のSkylake(第6世代Core)をマイナーチェンジした「Kabylake」だと言われている。10ナノメートル製造プロセス世代の「Cannonlake」は2017年後半以降の登場が見込まれるため、しばらく性能的な飛躍はあまり期待できないだろう。Atomプロセッサについても、現行のCherry Trailが予定より遅れて投入されたことで、次世代となるWillow Trail(Broxtonアーキテクチャ)のスケジュールもズレが生じている。

 ということで、「Surface 3」「Surface Pro 4」「Surface Book」の新モデルは2016年には登場しないか、内容的に比較的小幅なアップデートにとどまるのではないだろうか。ただ、Surface BookはMicrosoftが初めて参入したフォームファクタの製品であり、プロセッサ以外の部分で仕様を見直したバージョンが投入されるかもしれない。

 問題は上記3製品以外のPCやスマートデバイスで、「小型タブレット市場への参入」と「Lumiaの国内投入」の可能性が気になる方も少なくないだろう。

 しかし、以前にも紹介したように、長らくウワサされたMicrosoftの小型タブレット「Surface Mini」は同社のSurface戦略から外れてしまった製品であり、今後も当面は投入される可能性が低い。

 Microsoft純正スマートフォンのLumiaについても、日本国内にWindows 10 Mobile製品を投入するOEMが既に複数存在することから、やはり当面は自ら市場参入する可能性が低い。スマートフォンに関しては「Snapdragon 820」搭載端末の登場が期待されるが、まずはAcerなどサードパーティーによる製品投入が先になるだろう。

Lumia 950 Microsoftが自ら投入したハイエンドクラスのWindows 10 Mobile搭載スマートフォン「Lumia 950」。残念ながら日本での販売は未定だ

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