「HoloLens」がBuild 2016の主役になる予感鈴木淳也の「Windowsフロントライン」(1/2 ページ)

» 2015年12月22日 06時00分 公開

春のMicrosoft開発者会議で何が出てくるのか

 Windows 10のリリースという大きなトピックがあった2015年のMicrosoft。2016年早期での注目は、春の年次開発者会議「Build 2016」になるだろう。

HoloLens 「Build 2016」で注目を集めると予想されるMixed Reality対応ヘッドマウントディスプレイ「HoloLens」

 そのBuild 2016は3月30日から4月1日の日程で、米カリフォルニア州サンフランシスコのモスコーニセンターにて開催される。米Microsoftは公式サイトをオープンしたが、現在は日程と開催場所の告知のみだ。申し込みやスケジュールの詳細は、後日あらためて発表される。

 今年のBuild 2015は4月末の開催だったため、1カ月ほど前倒しではあるものの、3年連続ほぼ同じタイミングでの開催となる。定期的に最新情報が出てくるのはいいことなのだが、一方でこのタイミングはWindows 10の次期大型アップデート「Redstone(RS1)」の一般提供開始時期よりは早いとみられ、出せる情報も比較的限定的だと考えられる。

Build 2016 米Microsoftの年次開発者会議であるBuild 2016は2016年3月30日に開催。何が発表されるのか?

 ここで、筆者が予想するBuild 2016でのメイントピックは次の通りだ。

Microsoft HoloLens Development Edition

 複合現実(Mixed Reality)対応のヘッドマウントディスプレイ「HoloLens」は、Microsoftが開発中のデバイスで最も期待されているものの1つに違いない。HoloLensは、ユーザーの(現実の)視界にCGの映像や情報を合成して表示するヘッドマウントディスプレイだ。Windows 10搭載デバイスであり、Windows 10ファミリーの一員となっている。

 現在はクローズドの状態で一部開発者とのアプリケーション開発が進んでいるといわれているが、米ニューヨーク市の5番街にあるMicrosoft Store旗艦店では12月17日(現地時間)に実機を装着して試せるコーナー「HoloLens Experience Showcase」が開設された。このコーナーを利用するには事前予約が必要で、対象は17歳以上の開発者となる。

HoloLens 貴重なHoloLens体験コーナー「HoloLens Experience Showcase」

 HoloLensの開発者向けバージョンにあたる「Microsoft HoloLens Development Edition」は2016年第1四半期に3000米ドルで発売される予定だ。Build 2016の開催はちょうどこの第1四半期の最終日にあたり、公約通りに発売するならば、ここがデビューの場になってもおかしくない。むしろ、Build 2016におけるテーマの半分近くはHoloLensが占めると考えられる。

 2016年初頭という時期は、Windows 10 IoTを含む、多くのエディションのリリースが完了した直後であり、新トピックはこのHoloLensを含むわずかだ。コンシューマーや開発者向けの話題の多くが集中することになるだろう。

HoloLens開発キット 開発者向けバージョンの「Microsoft HoloLens Development Edition」は、2016年第1四半期に3000米ドルで発売される

UWP(Universal Windows Platform)とWindows Bridge

 Windows 10における大きなテーマの1つは、異なるプラットフォームやフォームファクタをまたいで利用可能なアプリ実行環境の「UWP(Universal Windows Platform)」だ。このUWPがWindows 10における成功の行方を握っていると言っても過言ではない。

 最近では「Uber for UWP」という成功事例があったものの、いまだ多くのユーザーを引きつけるにはUWPのアプリ充実度が不十分で、より一層の振興策が望まれている。

 今年のBuild 2015で発表された「Windows Bridge」は、他のプラットフォームや実行環境のアプリのUWPへの移植を促進するもので、Windows Store充実の起爆剤として期待されていたものだ。

 以前にも現在の概況を紹介しているが、4つのBridgeのうち「Project Westminster」こと「Windows Bridge for Web apps」のみが一般提供されているのみで、今秋での正式提供が予告されていた「Windows Bridge for iOS(Project Islandwood)」と「Windows Bridge for Android(Project Astoria)」はいまだその姿が見えない。

Windows Bridge Build 2015で発表された4つのBridge。これらを踏まえ、Windows 10での10億台市場をターゲットにアプリ実行環境を整備する

 米ZDNetのメアリー・ジョー・フォリー氏は「直近のタイミングでのWindows Bridge for Android提供はない」と語っており、さらに時間を要するということなのだろう。

 恐らくはMicrosoftにとって最も重要となる「クラシック・アプリケーション」をUWP化する「Windows Bridge for Classic Windows apps(Project Centennial)」は、当初2016年内が予告されているものの、「さらに時間がかかる見込みがある」というウワサも聞いており、かなりの難産となる可能性がある。

 まとめると、MicrosoftはBuild 2016において、遅れているWindows Bridgeのステータスと今後の提供見込み、そしてUWPのさらなる振興策の発表を求められている。その意味では、ちょうど発表から1年後の開催というのは、総括にはちょうどいいタイミングなのかもしれない。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2024年04月25日 更新
  1. ワコムが有機ELペンタブレットをついに投入! 「Wacom Movink 13」は約420gの軽量モデルだ (2024年04月24日)
  2. 16.3型の折りたたみノートPC「Thinkpad X1 Fold」は“大画面タブレット”として大きな価値あり (2024年04月24日)
  3. 「IBMはテクノロジーカンパニーだ」 日本IBMが5つの「価値共創領域」にこだわるワケ (2024年04月23日)
  4. 「社長室と役員室はなくしました」 価値共創領域に挑戦する日本IBM 山口社長のこだわり (2024年04月24日)
  5. Googleが「Google for Education GIGA スクールパッケージ」を発表 GIGAスクール用Chromebookの「新規採用」と「継続」を両にらみ (2024年04月23日)
  6. バッファロー開発陣に聞く「Wi-Fi 7」にいち早く対応したメリット 決め手は異なる周波数を束ねる「MLO」【前編】 (2024年04月22日)
  7. ロジクール、“プロ仕様”をうたった60%レイアウト採用ワイヤレスゲーミングキーボード (2024年04月24日)
  8. あなたのPCのWindows 10/11の「ライセンス」はどうなっている? 調べる方法をチェック! (2023年10月20日)
  9. ゼロからの画像生成も可能に――アドビが生成AI機能を強化した「Photoshop」のβ版を公開 (2024年04月23日)
  10. MetaがMR/VRヘッドセット界の“Android”を目指す 「Quest」シリーズのOSを他社に開放、ASUSやLenovoが独自の新ハードを開発中 (2024年04月23日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー