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» 2016年01月04日 06時00分 UPDATE

Type-C、WiGig、AirFuel……:2016年に期待のPCテクノロジー“5選” (1/3)

2015年のPCはWindows 10と第6世代Coreで盛り上がったが、2016年はその周辺技術が熱そうだ。

[鈴木雅暢,ITmedia]

 2015年は「Windows 10」と「第6世代Core(開発コード名:Skylake)」が登場し、ソフトウェアとハードウェアの両面でPCが次のステージへ向かった年だった。2016年はその周辺技術が進化することで、PCがもっと便利になると予想される。今年注目したい5つのテクノロジーを選んでみた。

Windows 10と第6世代Core 2015年はMicrosoftから「Windows 10」、Intelから「第6世代Core」が登場し、ソフトウェアとハードウェアの両面からPCの世代交代が進んだ年だった。2016年の注目は?

その1:主要インタフェースを集約する「USB Type-C」

 USB 3.1規格の新しいケーブルとコネクタの種類として導入された「USB Type-C」は、表裏のどちらからでも接続できるリバーシブル仕様を採用し、小型の形状で幅広いデバイスに実装しやすい特徴を持つ。それ以上に、USBのさまざまな拡張仕様に対応しており、大きな可能性を秘めていることに注目したい。2016年にはこれをフルに活用したデバイスが多く出てくるだろう。

USB Type-C 左がUSB Type-C、右がUSB Type-A。USB Type-Cは8.34(横)×2.56(縦)ミリの小型コネクタで、表裏のどちらからでも接続できるリバーシブル仕様だ(写真はベルキンのUSBケーブル)

 Type-Cコネクタの中には高速データ転送に使える信号線が4組用意されているが、「USB Alternate Mode」(以下、USB Altモード)という拡張仕様により、高速データ用の信号線にはUSB以外のインタフェース信号(シリアルバスに限る)も流せる。

 通常の「USB 3.1 Gen 2」(最大10Gbps)では2組(送信用、受信用)だけが使われるが、それを残してもいいし、それを残さずに使うことも可能だ。さらに、別にUSB 2.0や最大100ワットの電源供給が可能な「USB Power Delivery」(以下、USB PD)用の端子も別にあるので、これを利用すれば主要インタフェースを全てType-Cコネクタに集約できる。

 その高速データ用の信号線にDisplayPortを流そうというのがVESAの「DisplayPort Alt Mode(DP Alt Mode)」、Thunderboltを流すのが「Thunderbolt 3」、MHLに使うのがMHLの「MHL Alt Mode」だ。中でも、既に対応製品があるThunderbolt 3(最大40Gbps)は個人的に大いに期待している。

Type-Cのピン配置 USB Type-Cコネクタのピン配置。TX1、TX2、RX1、RX2というのが高速データ通信用の信号線(ディファレンシャル方式なのでそれぞれ+−で片道1本)。USB 3.1 Gen 2(10Gbps)ではこのうち2組のみ使われている。真ん中の「D」はUSB 2.0用、その脇の「CC」はUSB PDの通信用、「VBUS」は電源だ(Intelの資料より)
DP Alt Mode DisplayPort Alt Modeでは、USB Type-Cの高速データ通信用の信号線を利用する(VESAの資料より)
USBとThunderboltの転送速度 インタフェースの世代による最大データ転送速度の比較。現在主流のインタフェースであるUSB 2.0は480Mbps、USB 3.0は5Gbpsだ。これに対して、USB Type-Cコネクタを利用するUSB 3.1 Gen 2は10Gbps、そしてThunderbolt 3は40Gbpsまで高速化されている(Intelの資料より)

その2:よい条件がそろった「Thunderbolt 3」

 Thunderboltは、1本の信号線にDisplayPortとPCI Expressの信号を混在させて送るマルチプロトコルのインタフェース。複数のプロトコルを別の信号線で送るのではなく、1本の信号線に混在させて送れるのがポイントだ。

 PCI Expressの信号を送るので、その先にはネットワークやストレージなど何でも接続できる。さらに、複数台の周辺機器を数珠つなぎにするデイジーチェーン接続を可能にしている点も大きな特徴だ(この機能はシングルポートのコントローラーでは省略されている)。

Thunderboltの特徴 Thunderboltは、1本の信号線にDisplayPortとPCI Expressの信号を混在させて送るマルチプロトコルのインタフェースだ。複数のプロトコルを別の信号線で送るのではなく、1本の信号線に混在させて送れる。この点はThunderbolt 3になっても変わらない。これはThunderbolt 2の資料なので、バスパワー容量やケーブル長の仕様はThunderbolt 3と異なる(Intelの資料より)

 Thunderbolt 3はデータ転送速度が最大40Gbpsとなり、PCI Express 3.0なら4レーン、DisplayPort 1.2aなら8レーンを送れる。また、Thunderbolt 2まではMini DisplayPortのコネクタを使っていたが、Thunderbolt 3ではUSB AltモードでType-Cコネクタを使う仕様となった。

 これにより、Thunderbolt 3対応のType-Cコネクタは、本来のThunderbolt(DisplayPortとPCI Express)はもちろん、そのままUSB 3.1 Gen 2、DisplayPort 1.2a(接続には変換アダプターが必要)のポートとしても使える。

 また、Thunderbolt 3はバスパワーにより15ワットの給電が可能だ。別途「USB PD 2.0」(最大100ワット)の仕様も追加でき、まさに“全部入り”的なインタフェースになっている。

Thunderbolt 3の概要 Thunderbolt 3ポートは、Thunderbolt(DisplayPortとPCI Express混在)ポートとしてはもちろん、USB 3.1 Gen 2ポートとしても、DisplayPort 1.2a(接続には変換アダプターが必要)としても使える(Intelの資料より)
Thunderbolt 3の給電仕様 バスパワーにより15ワットの給電が可能。別途USB PD 2.0(最大100ワット)の仕様も追加できる(Intelの資料より)

 Type-Cコネクタの採用により、Thunderbolt 3は一気に普及の可能性が出てきた。PC製品においてMini DisplayPortは別に必須ではなかったが、USB Type-Cは今後先進性を求めるならば必須の装備といっても過言ではない。Intelがいち早くコントローラーを用意し、先手を打てたことも大きい。

 というのも、USB 3.1 Gen 2コントローラーはまだチップセットに統合されていないため、これをPC製品に実装するなら別途チップが必要になる。現状、USB 3.1 Gen 2コントローラーとして広く普及しているのはASMediaのASM1142だが、これはType-Aコネクタが前提で、Type-Cコネクタを搭載する製品では別途スイッチチップも必要だ。

 これよりは1チップのThunderbolt 3コントローラーのほうが実装スペースを取らずに済む。実際、VAIOの「VAIO S11」、Dellの「XPS 13」など早くも注目のモバイルノートPC製品に搭載例が複数出てきた。搭載製品が増えれば対応する周辺機器も増えることが期待でき、Thunderboltが陥っていたこれまでの悪循環から一転して、よい方向へ向かうのではないだろうか。

 また、1ポートでさまざまな周辺機器に対応できるメリットは、ボディが小型で薄型になるほど生きてくる。モバイルPCはもちろん、Intelの「NUC」などにもまさにピッタリで、こうした超小型デスクトップPC、小型マザーボードへの積極的な実装を期待したい。

VAIO S11のインタフェース 既にVAIO S11、XPS 13などでThunderbolt 3の採用例がある(写真はVAIO S11のType Cコネクタ)
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