データストレージにNVMe(Non-Volatile Memory Express)対応のPCIe(PCI Express) 3.0 x4接続SSDを採用している点も注目だ。
NVMeは従来のAHCI(Advanced Host Controller Interface)に代わる新しいインタフェースのコマンドプロトコルで、PCIe SSDに最適化され、より効率よいデータ転送が可能になっている。大きなメリットが得られるのは、データセンターなどマルチスレッドで高負荷がかかる場合だが、ランダムアクセスの効率化など一般的なPC用途でもアドバンテージはある。
評価機のデバイスマネージャ画面で搭載しているSSDを確認すると、「NVMe SAMSUNG MZVPV512」と表示された。これはSamsungのM.2型PCIe SSD新モデル「SM951」のNVMe対応版だ。2015年秋冬にPC DIY市場でも流通し、ハイエンド志向のPCユーザーにはおなじみの製品だろう。ノートPC製品では、恐らくこの新型VAIO Zが初採用と思われる。
ちなみに先代モデルのVAIO Z 2015も、(評価機を見る限り)SSD自体はPCIe 3.0 x4対応製品を利用していたが、CPU内蔵のチップセットがPCIe 2.0までの対応だったため、PCIe 2.0 x4接続だった。CPUが第6世代Coreに進化したことで、CPU内蔵チップセットがPCIe 3.0に対応し、PCIe 3.0 x4のフルパフォーマンスが生かせるようになった。
PCIe SSDとして採用例の多いSamsung製SSDの比較を下表にまとめた。インタフェースはSSD自体の対応で、実際にはPCIe 3.0 x2やPCIe 2.0 x4などで接続される場合がある。システム情報ツールなどの表示から、Surface Pro 4や「XPS 13」などはPCIe 3.0 x2接続と思われる。
また、先代モデルが採用していた「SM951」(AHCI)については、PCIe 2.0 x4接続時のスペックも公開されているので別途記載した。このスペックはあくまでも公称値だ。実測値は後ほどベンチマークテストの結果で確認したい。
VAIO Zなどの製品が採用するSamsung製SSD比較 | |||||
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SSD | SM951(NVMe) | SM951(AHCI) | SM951(AHCI) | PM951 | |
インタフェース | PCI Express 3.0 x4 | PCI Express 3.0 x4 | PCI Express 2.0 x4 | PCI Express 3.0 x4 | |
インタフェース帯域 | 32Gbps(4GB/秒) | 32Gbps(4GB/秒) | 20Gbps(2GB/秒) | 32Gbps(4GB/秒) | |
プロトコル | NVMe | AHCI | AHCI | NVMe | |
NANDフラッシュメモリ | MLC | MLC | MLC | TLC | |
シーケンシャルリード | 2150MB/秒 | 2150MB/秒 | 1600MB/秒 | 1050MB/秒 | |
シーケンシャルライト | 1550MB/秒 | 1500MB/秒 | 1350MB/秒 | 560MB/秒 | |
4Kランダムリード | 300000 IOPS | 90000 IOPS | 130000 IOPS | 250000 IOPS | |
4Kランダムライト | 100000 IOPS | 70000 IOPS | 85000 IOPS | 144000 IOPS | |
採用例 | VAIO Z(2016) | VAIO S11など | VAIO Z(2015)など | Surface Book、Surface Pro 4、XPS 13など | |
※公称スペックは512GBモデルの数値 |
今回テストするVAIO Zクラムシェルモデルの評価機は、Core i7-6567U、メモリ16GB、NVMe対応PCIe SSD(512GB)、64bit版Windows 10 Proという最高のハードウェア構成だ。比較対象として、VAIO S11のハイスペックモデル、Surface Pro 4のCore i7モデル、Surface BookのCore i7モデルのテスト結果も併記した。
なお、VAIO ZとVAIO S11における「VAIOの設定」の「CPUとファン」動作モードはどちらもデフォルトの状態だ。VAIO Zには「標準」がなく、VAIO S11には「パフォーマンス優先」の選択肢がない。VAIO Zフリップモデルも同時に入手したのだが、基本スペックがクラムシェルモデルの評価機と全く同じなので、バッテリーテストのみ行って比較した。
今回テストするVAIO Zと、結果を比較する主なPC | ||||
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モデル | VAIO Zクラムシェルモデル | VAIO S11(LTE) | Surface Pro 4(Core i7) | Surface Book(Core i7) |
発売時期 | 2016年2月発売 | 2015年12月発売 | 2016年1月発売 | 2016年2月発売 |
CPU | Core i7-6567U | Core i7-6500U | Core i7-6650U | Core i7-6600U |
CPUコア/同時処理スレッド | 2コア/4スレッド | 2コア/4スレッド | 2コア/4スレッド | 2コア/4スレッド |
標準クロック | 3.3GHz | 2.5GHz | 2.2GHz | 2.6GHz |
最大クロック | 3.6GHz | 3.1GHz | 3.4GHz | 3.4GHz |
CPU内蔵GPU | Intel Iris Graphics 550 | Intel HD Graphics 520 | Intel Iris Graphics 540 | Intel HD Graphics 520 |
4次キャッシュ | 4MB | 4MB | 4MB | 4MB |
CPU(SoC)のTDP | 28ワット | 15ワット | 15ワット | 15ワット |
CPU内蔵GPUコア実行エンジン | 48基 | 24基 | 48基 | 48基 |
CPU内蔵GPUクロック | 300〜1100MHz | 300〜1050MHz | 300〜1050MHz | 300〜1050MHz |
CPU内蔵eDRAM | 64MB | − | 64MB | − |
外部GPU | − | − | − | NVIDIA GeForce GPU |
GPU(CUDA)コア | − | − | − | 384基 |
GPUクロック | − | − | − | 954〜993MHz |
グラフィックスメモリ | − | − | − | GDDR5 1GB |
メモリ容量 | 16GB(デュアルチャンネル) | 8GB(デュアルチャンネル) | 8GB(デュアルチャンネル) | 16GB(デュアルチャンネル) |
液晶ディスプレイ | 13.3型IPS | 11.6型IPS | 12.3型IPS | 13.5型IPS |
解像度 | 2560×1440ピクセル | 1920×1080ピクセル | 2736×1824ピクセル | 3000×2000ピクセル |
データストレージ | 512GB SSD | 512GB SSD | 256GB SSD | 512GB SSD |
データストレージ型番 | NVMe SAMSUNG MZVPV512 | SAMSUNG MZHPV512HDGL | NVMe SAMSUNG MZFLV256 | NVMe SAMSUNG MZFLV512 |
ストレージインタフェース | PCI Express 3.0 x4(NVMe) | PCI Express 3.0 x4 | PCI Express 3.0 x2(NVMe) | PCI Express 3.0 x2(NVMe) |
OS | Windows 10 Pro 64bit(1511) | Windows 10 Pro 64bit(1511) | Windows 10 Pro 64bit | Windows 10 Pro 64bit(1511) |
テスト時の電源プラン | バランス | バランス | バランス | バランス |
テスト時のCPUとファンモード | パフォーマンス優先 | 標準 | − | − |
直販価格(税込) | 32万5404円 | 25万5744円 | 23万1984円 | 37万2384円 |
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